表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

192/1105

191.遊園地デスゲーム1

 んで、ここから始める訳か……

 この遊園地には五つのステージがある。

 北側、東側、南東側、南西側、西側の四つで、俺達が最初に乗りまくるのは南東側のエリア。

 ここは大航海大回転、回転木馬フライアウェイ、タコタコ超回転など、回転系の乗り物が集まったエリアだ。

 一応絶叫系ではないモノとして、コーヒーカップとかもあるんだけど、あんまり回転系は好きじゃないんだよあぁ。目が回って吐きそうになるし。


「なんやー、おいちゃんが乗れるんがないやないか」


 駄犬の癖にアトラクション乗れると思うなよ? 背丈が足らんわ。つか獣が乗れるか!


「あ、駄犬、アレなんかいいんじゃない?」


「ん? えーっと、なんや。わんにゃんパラダイス? ほー、ペットだけが楽しめる回転系かいな。って、なんでやねん!? 人間は見とるだけかいな!?」


 どうやらペットが楽しんだり慌てたりする姿を見て飼い主たちがほっこりするための回転系乗り物らしい。折角だし人面犬も参加したら?


「とりあえずなんか一つは乗るとかいうルールだっけ?」


「自分たちで決めただけっすけどね。どれ乗ります?」


 無難にコーヒーカップでいいんじゃないか?

 一人だと乗りづらいけど、皆でなら問題無いだろ。


「他のは絶叫系みたいだしねー、なんでメリーゴーランドが絶叫系になってんだろう」


 コーヒーカップは人があまり並んでなかったので皆で乗る。

 真ん中のハンドルを回せばくるくる回るコーヒーカップ。

 アホな奴はこれを思いっきり回して三半規管の限界にチャレンジ。そして吐き散らす。

 迷惑客になりたくもないので回すのはやめだな。ソレをしなくても普通にコーヒーカップは移動するし。


「私回していい!?」


「やめようか妖精さん。それは迷惑客への第一歩だ」


「えぇーっ」


 次は何乗ろうか? と思った時だった。

 悲鳴が上がる。

 普通の絶叫系による楽しさからの悲鳴じゃなかった。

 絶望するような悲鳴に、俺は思わずそちらに視線を向ける。


 メリーゴーランドの馬たちが空高く射出され、命綱すらなくなった客たちが空を放物線描いて飛んでいる。

 ……は?

 え? どういうこと?


「た、たすけ……」


 一番地面に近かった男が何かを叫ぼうとして、地面に激突した。

 近くに居た客たちが悲鳴を上げる。

 え、まさか機械トラブル?


 と、思ったのもつかの間、他のアトラクションからも悲鳴が上がりだす。

 タコが急速回転を始め、足に繋がった球体に入った客を足で叩きつけ始める。

 船方の左右に揺れる乗り物は、大きく揺れ動きぐるんぐるんと360度回転を始め、突然真上で止まる。

 客は逆立ち状態になり、船から真下へと落下して行く。


「なん、だこりゃ」


「ボウズ、なんやヤバい雰囲気やで!」


「アトラクションから降りた方がよさそう……っ!?」


 コーヒーカップの回転速度が上がった!?

 思わず妖精さんを見る。


「わ、私じゃないわよ!?」


 回転速度がどんどん上がって行く。

 マズい。これはこのコーヒーカップからも死人が出るぞ!?


「ルースさん!」


「ひ、飛行っすね。捕まってくださいッす!」


 ルースさんに捕まって浮かび上がる。

 アカズさんに抱き付かれ、ルースさんに抱きついて。妖精はまぁ問題無いが人面犬が必死にアカズさんのおみ足に引っ掴まって脱出することになった。

 さすがに気持悪かったようでアカズさんに蹴りまくられていたが、人面犬は根性で耐えきった。


「ふぅ、ルースさん助かった」


 コーヒーカップから脱出してアトラクションから距離を取った俺達は地面に降りる。


「痛いっちゅーねん! 嬢ちゃん蹴りすぎやがな!!」


「う、煩い変態ッ! 捕まり方がキモいっ!! ハァハァって息が足に当たるの、生温かくで凄く嫌っ!」


「しかし、急に何が起こったっすか?」


「分からない、けど、嫌な予感しかしないな。あのチケット、もしかして……」


 ぴんぽんぱんぽーん


 どこかで聞いたことあるような無いような音が鳴り、園内全体に放送が掛かる。


【えー、テステス。ご来場の皆さまごきげんよう。私はピエロン。なんとみなさん、私のデスゲームに参加できることになりましたー。わーパチパチパチ】


 いきなりなんだこのイラつく声は。


「デス、ゲーム?」


「ルースさんは知らない?」


「は、はいっす。ヒロキ殿は知ってるっすか?」


「一応な。でも俺の知ってるデスゲームって何かしらの課題があってソレをクリアするために何人もの人が死んだりするのとか、一人か二人になるまで殺し合えとか、やべぇ生物に見付からないように逃げろ、とか。複数人でゲームやって一人か二人死んでいくとか……」


 どのみちろくなもんじゃねーよな。


【さぁ。アトラクションを体験してデスメダルをゲットしてね。沢山溜まったら豪華景品と交換だよー。まぁ、死ぬ可能性が高いんだけどー。でもやらないと脱出もできないから、頑張って死んでねーキャハハハハ】


 とりあえず、皆と合流だな。急ぐぞルースさん、アカズさん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ