185.おいでよギョ人の村
「なんか村あるんだって」
「ほー、それで、俺らがそこを荒らしに来たんじゃないかと様子見に来たわけですか」
「ギョギョ」
「俺らは虫採りに来たんだ。そこの稲荷さんが虫相撲が好きでさ、相撲に使う虫を探してるんだよね」
「ギョー」
得心言った、と頷く頭が魚のゴリマッチョ。正直首と頭の継目がどうなってるのかすっごい気になる。被り物じゃないんだよなこれ。
「あの、可能であればステータスとか確認してもいいっすか?」
「ギョ? ギョー」
「私達のステータス見てもいいならいいって」
「えーっと、皆どうかな? とくにユウ」
「あ? 別に問題ねーぞ。ステータス見られるだけだろ?」
「ステータス確認って結構不快らしいぞ」
「そうなのか。まぁ問題はねーぞ」
「ぎょー」
「ステータス確認していいってさー」
魚人間が許可してくれたので、ステータス確認をしてみる。
名前:ギョリギョリール
種族:ギョ人族 クラス:防人
二つ名:なし
Lv:14
HP:832/832
MP:540/540
TP:880/880
GP:50/50
状態:普通
技スキル:
ウォーターランスLv12:水属性魔法を使用できます。
得意武器・槍Lv11: 槍を持つことで攻撃力が上がります。
深淵の眷族Lv1: ???に繋がる進化の系譜。
野性の勘: 本能的に相手の強さが分かります。
水陸両用: 水中適性を持ちながら陸上でも活動できます。
トルネードシュトラーフ: 水中専用槍技。水流を螺旋状に打ち出し敵を穿つ。
ギョ人族? 魚じゃなくてカタカナでギョ?
レベル的には周辺の敵性生物とそこまで変わらないな。
ただ、深淵の眷族がちょっと怪しいぞ。
深淵だし、最終的にディープなワンさんとかダゴンさんとかになったりするんだろうか?
まぁ、きっとずっと後のことだろうし、そこまで問題は無いか。って、うげぇ、気色悪い感覚が!? これはステータス確認されたときの感覚だな。
しまった。二つ名何にしてたっけ?
「ぎょ!?」
「えー? ちょっとヒロキ? 外道少年ってなに?」
「うをぅ」
なんでまた外道少年が!? あ、そうだった、前に見た時別のにするの忘れてた。
確か今は外道少年とジャイアントテイム、神降しのままだ。
すぐに入れ変えておこう。
えっと、蛇神付きと河童の知り合いと精霊の主当たりでいいか。
「あ。私達も!?」
「シャ!?」
「ふげっ、気持悪」
ユウさんや、凄い声出たぞ今。
「ぎょぎょーぅ」
「んー? ヒロキ、なんかギョ人族の村案内してくれるって、そっちの方が珍しい虫いるらしいよ?」
「ほんとか! 行くぞヒロキ」
えぇ!? まだ信用出来るかどうかも分からないのに!?
深淵の種族だぞ、なんかこう人身御供みたいな感じで俺ら邪神の贄とかにされたりしない?
「ああもう、稲荷さん警戒心ゼロよヒロキ」
「仕方ない。皆行こう。コトリさんも居ないし、一人きりにならないように気を付けてくれよ」
ホント仕方ない、このまま稲荷さんだけ放置って訳にもいかないだろ。
俺達はギョリギョ……ギョリさんに付いて行くことにしたのだった。
ゴリマッチョな体はちょっとどうかと思うんだけど。ある意味女性受けはしそうな体格だよね?
レスラーとかやりそう?
少し歩いた場所に、かなり広い泉があった。
その周辺がギョ人族の集落のようだ。
木製の柵で作った囲いで集落を作り、その中で生活をしているらしい。
基本彼らは泉の中で生活しているが、いくつか家っぽいのは作られていた。
円錐状に藁のようなものを敷きつめて作った建物は、どうやら子供の休息所や、食糧置き場等に使われているようだ。
あと、奥の方に祭壇と思しき物が見える。
「うわぁ。集落だ」
「住んでるのが全部頭魚の人間だなぁ」
マッチョマンとマッチョウーマンだ。
しかも殆どの奴がブーメランパンツとマイクロビキニの男女である。
筋肉祭りである。ちょっと気持悪い。せめて頭の魚風味を減らしてほしい。女性まで魚の顔なのはちょっとさすがに無理っす。
「ギョ?」
「ギョ」
「ギョギョ」
「ギョギョーィ」
うん。全員何言ってるか分からん。妖精さんによる通訳は不可避だろう。
とりあえず妖精さん、あそこで信奉されてる神様ってなんぞ?
「えっとね、く、くとぅ? ごめんちょっと発音が難しい」
うわーお、深淵の御方確定じゃね。
ふんぐるいしちゃうんだろうか。贄になるのだけは勘弁だ。
「ギョー」
「おっと、皆こっちだって。珍しい虫が集まってるらしいよ」
「是非見なければ! ヒロキ、アカズ、征くぞー」
稲荷さん、ホント元気だなぁー。




