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179.そこに正座

「ハナコさぁぁぁんっ!!」


 UFOの家にトンボ返りした俺を待っていたのは、居間に戻って来ていたツチノコさんとハナコさんだった。

 ハナコさんの姿を見た瞬間、涙がぼろぼろ出てきて鼻水だらぁで感動のあまり飛び付いた。

 ひぃっと聞こえた気がするがハナコさんを抱き締める寸前ふわっと空に逃げられ、放物線を描いた俺は床と熱いキスを交わした。


 おっふ鼻血でた。鼻水と混じってねとっとした鼻血が地面と繋がる。

 おっと、スレイさんありがと。

 ティッシュを貰ったので思い切りふんっと鼻をかむ。ゲームなのにこの辺りリアルなのはちょっとどうかと思う。


「落ち付いた?」


「なんとか。でも、ほんとよかった。ハナコさんがちゃんと居てくれて」


『それはいいけどヒロキ、とりあえず落ち着いたならその場に正座』


 え? なんで? でも正座する。


「何の疑問も持たずに座ったわね」


「旦那様が正座するなら私も」


『コトリさんやってもいいけど口出しは無用にね。これもヒロキの為だもの』


「旦那様のためなら、仕方ないわ。どうぞ私には気にせずお話ください」


 俺の横にちょこんと座るコトリさん。うん、なんか悪いことした気がしてきた。

 自分だけならともかくコトリさんまで正座させてしまうと罪悪感が……


『まず、私が倒れた後のことはディーネさんを通して聞いたわ。だから怒ってくれたのは嬉しいし、ちゃんと無事帰って来てくれて嬉しいわ。でもね』


 ふぅ、っと息を吐き、まなじり吊り上げるハナコさん。普段怒らないから目を吊り上げても可愛さしか無い。でもハナコさんが怒ってるのでしゅんとする。


『私達ボスは一度倒されたら終わりなの。AIはもう廃棄案件よ。確かに開かずの間はやり過ぎたかもしれないけど、彼女は最初からヒロキに付いてくる気だったのわかってるわよね?』


 そりゃ、あんなにあからさまだったら。俺なんていつでも倒せるのに手を抜いて水の結界が破壊される寸前で手を緩めてたし。攻撃タイミングも自分が倒されると気付いた時以外はかなりゆっくりだった。


「今だから言えるけど、開かずの間って自分の実力を見せつけてマネージャーさんに仲間に欲しいって言われたかったんだと思うな。ちょっと意地っ張りだったのかな?」


『私を倒した事に怒ってくれるのは嬉しいの、嬉しいけどね。私だって最初に倒されていれば同じ状況だったって思うと、どうしても、テイムしてあげればよかったって思うの。開かずの間もきっと、最後まできっとテイムしてくれるって思ってたはずよ。でも全部裏切られて消されてしまった。今、きっとすごく後悔してると思うの』


「そうかもしれないけど、もう彼女をテイムすることは出来ないし、俺はハナコさんを倒した相手をテイムしたくは……」


『ヒロキだって、少し間違えば同じ道だったわよ』


 っ!?


『私とは最初敵だったでしょ、あの時、ヒロキはすぐ殺せる状態だったけど、私はテイムされることにしたわ。土下座して、テイムされてくださいって。開かずの間も必死だったでしょ、テイムしてくださいって。ねぇヒロキ、あの子のこと、許してあげて?』


 許すも何も……


「ああもう、一番の被害者であるハナコさんに言われちゃ許さない訳にいかないじゃないか。でも、だからってどうしようもないでしょ。もう開かずの間はNPCになってるし、本体はAI墓場でしょ?」


『それについてはアイテムを見てみなさいヒロキ』


 アイテム?

 えっと、開かずの間討伐で手に入ったのは嘆きの呪塊、解放の呪宝、開かずの間怪の御魂という三つだけだ。

 

 名前:嘆きの呪塊

 特性:呪いの塊 呪物系生物の成長・使用者に呪いあれ

 説明:孤独な悲しみの叫びが詰まった呪いの塊。アイテムボックスから取り出すと呪われる。コトリさんなどの呪物生物にとっては成長の糧となる。


 名前:解放の呪宝

 特性:呪宝 呪いにより鍵の掛かった扉などを開放する

 説明:鍵、呪いなどにより閉まった扉を開放する呪われた宝具。開き過ぎに注意。また外なる世界への扉、魔界の扉、天界の扉などを開くことは出来ない。


 名前:開かずの間怪の御魂

 特性:御魂 ボス系生物が稀に落とす魂のような物

 説明:私はずっと独りきり。その部屋だけが私の居場所。誰かここから出して。連れ出して。助けて、たすけて、タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ……


 三つともアクの強いアイテムですな。

 これが、何か?


『上の二つはどうでもいいけど、最後のこれ、御魂。これはAI復活、最後のチャンスなの。これがあれば召喚方法さえちゃんとしてれば開かずの間の怪を呼び出すことができるの。だからヒロキ、あの子にもう一度だけ、チャンスをあげて?』


 チャンス……?


「あー、その、おねーさんから言うのもなんだけど、彼女、イジメを受けて失意のまま死んだ悪霊でね。あの部屋にロッカーがあるでしょ。掃除用の。あそこに閉じ込められて、その日が夏休み直前だったせいで誰にも気付かれずに死んじゃったのよ、九月の新学期で掃除する時に見付かったんだけど、全身引っかき傷で血塗れになって必死に足掻いたらしい乾いたミイラが……」


 裏設定が重過ぎません!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 救済あってよかったなヒロキンもしなかったら 花子さんを倒されたことがあるにしても、あからさまに最初から仲間になりたそうにしてて最後には助けてくれって懇願してた子をしっかり話を聞かず一方的に撃…
[一言] 裏設定が・・・・・・・・・・・・・・・ 作者は経験したことしか書けないって言うけど・・・・・・・・・?
[一言] あれ?闇のゲームはどうなったの?あとで結末だけ語られるのかな?
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