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174.助けてください

 人面犬はそのまま酒盛りするそうなので別れ、俺達はハナコさんのいるトイレへと向った。

 ここではNPCと化したハナコさんが出現するらしいんだけど。

 パーティーでの戦闘になるんだっけ。


『はーなーこーさーん、遊びましょー』


 三回ノックしてハナコさんがハナコさんを呼び出す。


『は・ぁ・ー・い』


 返答と共に扉が開き、俺達は特殊フィールドへと飛ばされた。

 あれ?

 マイネさんたちが居ない?

 ハナコさん、テケテケさん、ツチノコさん、稲荷さん、ディーネさん、は居るけど他のメンバーが居なくなった?


 アイネさん、ルースルスさん、芽里さん、妖精さん、コトリさん、マイネさんが周辺に見当たらない。

 もしかして分断された?


「あー、恐らくだけど、ハナコさん戦って1パーティーづつになるんじゃないかしら? 六人組。つまりヒロちゃんとマイネさんがプレイヤーってことでパーティーが強制的に分けられた?」


「な、なるほど、つまり向こうでも戦闘が始まっているわけか」


 っと、ハナコさんが出て来た。

 NPCとはいえ、可愛いなぁハナコさん。

 やっぱりダメだ、俺はこの戦い、役に立てそうにない。


『はいはい、わかってるわよ、私に任せなさい』


 ハナコさんが頼もしいっ。お、推しが、てぇてぇ。

 ハナコさんの対ハナコさん。

 これは、まさに本物と偽物の対戦じゃないか!


 攻撃方法は同じ、ただ、レベルが違うだけ。

 だから、ハナコさんが負けることは無い。


「うーん、お姉さん暇」


「気持はわかるけど、今回は諦めて」


 ふんすふんすしながらハナコさんの活躍を待つ。

 互いにゆっくりと旋回しながら相手の隙を伺いだす。

 鬼火を放ちながら移動……NPCハナコさんの動きが遅い。

 ハナコさんは避けたのにNPCハナコさんは直撃を喰らっていた。


 これを見たハナコさんは一気に鬼火を生成して連射。畳み掛ける。

 やはりレベル差か、それとも能力値が低くなった事による能力値の差か、むしろ両方か。

 NPCハナコさんは手も足も出せずにハナコさんにより倒されたのだった。


『うん、結構楽勝だったわね』


「そりゃ自分より弱くなってるボスだもの、苦戦する方が難しいでしょ」


 自分のNPCが顔面蹴られて瞬殺したこと、まだ根に持ってるらしいテケテケさんが頬を膨らませて告げる。

 ハナコさんは苦笑いしながら俺の傍へと戻ってきた。

 おっと、戦闘リザルドが終わったらすぐに元の場所に戻ったな。


「あ、ヒロキンさん達も終わり?」


「そっちも結構早かったね」


「そりゃ、ヒロキンさんと分断されたコトリさんが呪詛吐き散らしたから……」


 うわぁ、現場に居なくて良かった。

 呪殺されるハナコさんとか見た日にはトラウマになってコトリさんを嫌いになっていたかもしれない。

 皆が不幸な結末になるからそんなこと起こらない事を祈っておこう。


「ふと思ったんだけど、NPCハナコさんをテイムしまくったらハナコさんハーレムが……」


『ヒロキ、それはさすがにちょっと……自分と同じ顔がわらわらしてる自宅とか帰りたくないかなぁ』


「ははは、ハナコさんが嫌がるような事やる訳ないじゃないですか!」


 全員合流したので、俺達はそのまま音楽室へと向った。

 確か三回だか四回だか聞くと死ぬんだっけ?

 購買で耳栓を買ったので幽霊組以外はこれを身に着ける。


「凄いなこの耳栓、何も聞こえないや」


「ヒロキンさん何か言った?」


「え? マイネさん何か言った?」


 喋ってる人が皆口パクにしか見えない状態でお約束のセリフを吐きながら、俺達は音楽室へ。

 ピアノは自動で鳴ってるっぽいけど、ピアノしか見当たらない。

 演奏者は不在のままのようだ。

 幽霊が弾いてるかと思ったけど本当にピアノが鳴るだけの部屋っぽい。


 それ以上何もないようなので、俺達はさっさと体育館に。

 体育館ではハナコさんのNPCがバスケットボールをゆっくりとドリブルしていた。

 くぅ、可愛い。写真撮っていいですか?


 戦うつもりだったNPCハナコさんが困惑しているなか、写真撮影させていただく。

 ハナコさんが呆れた顔で先頭に立ち、再びハナコさん対ハナコさんが始まった。

 今回も苦戦らしい苦戦は無く、NPCハナコさんはハナコさんにより討伐されたのだった。


 んで、最終到達地となった開かずの間へと向う俺達は、幽霊に襲われそうになっている女の子に遭遇した。


「あ、あの、助けてくださいっ」


 一人きりの少女がこんなところに居るのって不自然な気はするんだけど、

 なんかちょっと警戒してしまうのは何故だろう。

 とりあえず幽霊自体は雑魚だったのでさっさと追い払う。


「あ、ありがとうございますヒロキさん、友達と二人で来たんだけどはぐれちゃって……」


 幽霊を払うと縋りつくように寄ってくるその女の子は、俺に近寄り、濡れた瞳で告げたのだった。

 ……うーん、なんかわざとらしいの気のせいだろうか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] あからさまだが、ハナコさんと言う存在がいる限り、そう言うのは効果がないんだよな。 [一言] てかこう言う、ハニトラ系の怪談やらの物語の敵って多いけど、主人公がハナコさん推し過ぎて、全くと言…
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