166.テメェの罪を支払いな!
「うおぉ! あいつ勝ちやがった!」
「何だあの化け物コンボ? あんなのと出会うイベントとかあんのかよ」
「ってかヒロキンじゃねぇか、なんでこんな場所に居るんだあいつ」
「え、ヒロキンって、あいつ黒髪美少女とかいたっけ? まさかまた新しい女!?」
「あ、あれって、まさか……掲示板にあった……新メンバーのコトリさん?」
「コトリさんっていうのか、めっちゃ可愛くね?」
「おま、マジで知らんのか」
「え? 何が?」
「レベル150のコトリバコ……下手に近づくと呪われるぞ?」
「げ、それってなんかヤバい奴じゃん」
コトリさんが野次馬達の会話を聞いてちょっと嬉しそうだ。
可愛いって言われたもんな、そりゃ嬉しくもなるか。
「さて、あんたの負けだ、闇のゲームってことらしいし、お前の欲しいと言っていたこの三人分の何かを支払って貰うぜ?」
「ま、待てや、ちょっと待ちや! ウチはまだ……違う、今のはチュートリアルや、やから……」
「見苦しいぜクソ野郎。テメェの罪を支払いなッ!!」
―― 闇のゲームの勝敗が付きました。敗者であるカシワザキ ユウキには自分が欲しがったスレイさん、芽里さん、コトリさんに見合ったモノを提示していただきます。提示物をお願いします ――
「あ、い、嫌や、ウチの負けやない、ウチは負けとら……」
―― 提示物をお願いします 10、9、8…… ――
なんかカウントダウン始まったぞ?
―― 1、0、時間内の提出が見受けられなかったため、強制徴発を行います ――
強制徴発!? え、怖っ。
これ、負けてたらマジで三人がコイツの女にされてたのか。冗談じゃ、なかったんだ……
―― スレイさん分の徴発を行います。ヒロキは闇のゲーム機を手に入れた ――
あ、目の前にあるこのゲーム台? もぅ使うことは無いだろうけど、闇のゲームしなけりゃ普通にカードゲーム機として使えるかも?
―― 芽里さん分の徴発を行います……手持ちのアイテムで支払えるモノがありませんでした。姉のサユキをヒロキの彼女として徴発します。姉の持ちモノ全てがヒロキのモノになりました ――
お姉さんが強制徴発された!? え。とばっちり受けてるんですけど!? サユキさん大丈夫なのか!?
「ちょ、ねーちゃんは関係ないやろ!? やめや! それはあかんやつやろが!!」
―― コトリさん分の徴発を行います……手持ちのアイテムで支払えるモノがありません。周辺検索を行います。母親は年齢が適応範囲外でした。手持ちのアイテム全てを徴発します。コトリさんにつり合いませんでした。さらに徴発を行います。自宅にあるもの全てを徴発しました。コトリさんにつり合いませんでした。私物で支払えるモノがありません。両親の私物を徴発……両親に拒否されました。ユウキにはもう支払えるモノがありません。闇のゲーム強制徴発システムを発動します ――
「そんな。ウチの全てが……あ、ああ。がああああああああああああああああああああっ!?」
うわ、なんだ!? カシワザキユウキとかいう少年が悲鳴を上げる。
彼の身体が光り輝き、なんかすっげぇヤバそうな音が響きだす。ボキとかゴキとか全身の骨を折られてるんじゃないかってくらい恐ろしい音が連続で響く。
その場に居たギャラリーもあまりにも突然起こったグロ映像に唖然としてしまっていた。
―― 闇のゲームの強制徴発システムにより、コトリさん分に見合うモノ、ユウキの身体を女体化し、ヒロキの奴隷として徴発します ――
ふぁっ!?
ど、どどど、どれ? どれい? え。何ソレ聞いてない。
ちょ、いいの? ゲームいいの? 奴隷とかありなの? 輝君教えてぷりーず、これって見付かったら警察の方がちょっといいですか? とか肩ポンして来る奴じゃない!?
「あ、ああ、う、ウチの、ウチの身体が……」
光が収まり、地面に倒れ込んだユウキ。その体つきは、先程の少年っぽさが消え、あどけない少女のそれに代わっていた。
骨格から変えられたせいか、妙に汗ばんでおり、なんかもう事後のような顔で倒れている。
いや、待って、そこの皆さん、引かないで!?
俺が奴隷にした訳じゃないぞ! 闇のゲームがなんか勝手に。違うんだ。俺のせいじゃないんだって! マジで、違うから、俺そんな人でなしじゃないから!!
「あ、あいつ、男でも、いけるのか……」
「無関係のお姉さんまで強制徴発って……」
「近づいたら闇のゲームで女体化させられる!? ひ、ひぃっ」
って、なんで蜘蛛の子散らすみたいに皆駆け去って行くの!?
「ま、待ってくれ、誤解だ! 俺は別に何も悪いことは……だ、誰かが俺を嵌めようとしている!?」
ちょ、コトリさん笑わないで。
芽里さんまで。
スレイさん、お前は腹抱えてんじゃねーよ! くっそ、誰もフォローすらしてくれんとは。
と、とにかく闇のゲームはアイテムボックスに仕舞っておこう。
証拠隠滅だ。




