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146.回収はするが借金はいらない

 皆ひでぇや。

 結局、ディーネさんとハナコさんはマスコットキャラとしてCM取りに行っちゃったし、カルカさんとスレイさんは改造部屋の整理等をするってことで付いて来ないらしい。

 結果、芽里さんと一緒に市役所にやって来たのは、俺とツチノコさんだけだった。


「私って、人望ないのかしら?」


「タイミングが悪かっただけだって。ほら、市役所行こうぜ」


「うぅ、ツチノコさんだけだよー」


 ちなみにツチノコさんは芽里さんによりヌイグルミみたいに抱きしめられている。

 ちょっと苦しそうなのは気のせいだろう。


「さて、今日の用件はそちらの芽里さんの私物回収だそうですね」


「問題ありますかね?」


「ふむ。問題が有るにはあるが……一応売り家だが、値段も決められてないので家の所有権はまだあるんだ、ただ主張すれば借金も所有することになるんだが」


 AIさんの言葉にうわぁと思わず唸る。

 借金貰うくらいなら諦めた方がいいかもしれない。


「とはいえ、娘さんだけの荷物であれば私が同行することで回収は認めましょう」


「いいんですか?」


「私物の回収だけですからね。自分の元家に置き忘れていたものの回収であれば許可しましょう。ただし、ご両親の私物は諦めてください。一つでも持ち帰るようであれば借金が付いてきますので、そのつもりで」


「だって芽里さん」


「つまり、現状、私の部屋の中にあるモノならなんでも回収できる、ってことよね?」


「ま、まぁ、そうですね?」


 あー、これは良く分かって無い感じだな。

 芽里さんはおそらくスレイさんやカルカさんのように部屋の中にあるモノは全て回収するつもりだ。

 でも既に言質とっちゃったからなぁ。部屋の中にあるモノなんでも回収できる。それにそうですね、と回答した以上は市役所の許可が出たってことになるわけだ。

 AIさん、がんばれ。


「じゃ、早速行きましょっか」


「そうですね、参りましょうか」


 いざ、回収の旅へ。


 ……

 …………

 ……………………


 やってまいりました芽里さんの家。

 AIさんに鍵を空けて貰って奥内へ。

 芽里さんの部屋へと辿りつく。


「あー、こうやって改めてみると、懐かしいなぁ」


 メリーさん状態でここを見た時はそこまで感慨深そうな顔はしていなかったのだが、やはり人間としてみた場合と人形状態での視界が違うせいなのだろうか?

 随分と懐かしそうな表情でしばし部屋を見回す芽里さん。

 それとも、やはり記憶が戻ったからの表情なのかもしれない。


 しばし、佇む芽里さんを見守っていると、我に返ったのか、少し照れ笑いを浮かべ、「それじゃ、お願いね」と、回収をお願いして来た。

 まずは、と部屋全体を携帯電話の撮影機能で撮っておく。

 これで有る程度似たような配置に設置出来るはずだ。

 アイテムボックスへと人形を片っ端から入れて行く。


「なるほど、アイテムボックスを利用した私物回収ですか。ならば思ったより早く終わりそうですね」


「ええ。すぐに終わると思うのでさっさと帰りましょう」


 そう言いながらベッドを回収。


「うん?」


 さらに箪笥やら鏡台やらを回収。


「ちょ……」


 クローゼットも回収出来そうだな。

 あとは小物類を全回収。カーテンもいけるか。


「ま……」


 とりあえず目に付くモノはあらかた回収。


「どんだけ回収する気だよ!? っつかもう何もねぇじゃねぇか!?」


「あら? 私の部屋の中にあるモノならなんでも回収できる。だったわよね?」


「そ、それは……あああ、嘘だろオイ、まさかマジでなんでも回収したのかよ!?」


「まぁ、芽里さんの言葉に許可しちゃいましたからね。市役所AIさんのお墨付きなんでやらせていただきました」


 ああ、頭抱えちゃったよ。日本語って、ムズカシイよね?

 でもまぁ本人も自覚出来たようで、しゃあねぇか、と言った顔をしてくれたので、このまま回収させて貰おう。

 AIのおっちゃんが今回だけだからな。とか念押ししてきたけど、さすがに他人の部屋ごっそり回収なんてことはもうやらないだろうと思う。

 まぁ次同じ事が起こった時はまたその時ってことで。


 それじゃ帰るか。

 そう思った時だった。


「お、開いてんじゃねーか。家主の御帰還かぁ?」


 と、なんだか嫌な声が聞こえた。

 どかどかと入ってくる音が聞こえる。

 おっちゃん、これって家宅侵入罪じゃね?


「ふむ。さすがにこれはいかんな」


「オルァ、借金の取り立てだクソ共ッ」


 俺は即座に芽里さんを背後に隠す。あ、ツチノコさんも隠蔽覚えたんだ。

 じゃあ芽里さんのこと頼んだよ。


「アァ? なんだお前ら? 男二人で何してんだ?」


「こちらは市役所の者だが? 君たちは何の権限があってこの家に無断侵入したのかね?」


「げぇ、役人かよ」


「お、おい、どうする?」


 入ってきた二人の男は、互いに見合い、決断する。


「発覚する前に殺しちまうか。そうすりゃ俺らの犯罪も消えンだろ」


 いや、家宅侵入罪帳消しにするために役人殺害の罪を作るとか、頭どうなってんだよ!? 

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