131.まずは漁りに行くとしよう
「こんだけ出そろった訳だけど、どれすんの?」
「時間との勝負みたいな所あるし、壊滅したアルセーヌの宝物庫探し行ってみる? 元組織もついでにどうだろ?」
『あー、確かに、同じ事考える人いるかもだし、早めに見ておいた方がいいのか』
「そういう訳でマイネさんとキカンダーさんに連絡してみよう」
と、いう訳で、本日の動きが決まった。
早速マイネさんと合流し、皆でキカンダーさんの待つ最初に見付けたアルセーヌに向う隠し通路前の裏路地へと辿りつく。
「やぁ、またここで話があると聞いたけど、何をするんだい?」
「実はカルカさん、まぁアルセーヌの元首領なんだけど。アルセーヌが溜めてる宝物庫とか資料とか他のいろいろがあるんで他の組織やプレイヤーに回収される前に接収しといたほうがいいんじゃないかと言われたんだ」
「あー、確かに悪用されるよりはキカンダーさんが管理しといたほうがいいわよね」
「なるほど。そういうことなら了解だ。場所は分かるのかい?」
「分かるも何もキカンダー。私がここに居るのだぞ?」
そう、カルカさん自身が案内してくれるのだから重要施設にはすぐ行けるのだ。
「いや待て姉上。姉上首領だったから部屋から殆ど出ないだろ」
「……施設の場所は爺から教わっている」
あ、これ聞いただけだ。
「ったく、ダーリン、キカンダー。こっちだ。まずは近場の我が職場から行くぞ」
スレイさんが率先して歩きだす。
そういえばマイネさん。今日グレートマンさんどしたの?
「あー、グレートマンさんは宇宙人が襲来したらしくてそっちに行ってるよ。今日は私だけ」
「正義の味方は忙しいからな。アルセーヌが滅んだからと言ってこの地域が安全になった訳じゃない。秘密結社に宇宙人。悪性生物、UMA。様々な脅威が潜んでいる。彼らが人を襲う時、我々の戦いが始まるのさ」
「そりゃ確かに、あれ、でもそれだとキカンダーさんマイネさんのテイムは受け入れなかったのか」
「ん? ああ、それなら受け入れてあるよ」
「私の場合は正義の味方執行が優先だからね。そういう危険があるのに私に同行して、なんて傲慢な事言わないわよ」
なんという正義の味方よいしょ。彼女にとってテイムメンバーは自分の傍で共に戦う仲間ではく、彼らの仕事の邪魔をせず離れていても想いは一つ、というタイプなのだろう。
「ここだ」
地下施設を案内された俺達は、一つの部屋へと至る。
大戦中はこういう部屋には寄らなかったからなぁ。
うわ、手術台が三つもある。
「この辺りの資料が改造に必要な資料だな。ああ、そうだキカンダー。我としては今の技術を廃れさすのは惜しいと思うのだが、いっそ改造受け付けますと大手を振るって告知を行い、希望者に改造をしようかと思うのだが、その辺りは正義の味方として許可できる範囲なのだろうか? 他の正義の味方から襲われたりしないかな?」
「また難しい事をやろうとするな。正直な気持ちを言えば却下だろう。が……正義の味方全体で許可されるかどうか話し合わねば分からんだろうな。後で説明しろ。詳細が分かり次第提案はしてみよう」
「了解した。では許可が降りることを見越してこの辺りの資料はヒロキのアイテムボックスに保存してもらうとしよう」
ソレが狙いかスレイさん。
「では次に宝物庫に向おうか」
「正直頭が痛いな。ヒロキ君、本当に彼らを味方にしておくつもりかい? なんだか途中で裏切りそうなんだが」
「余程ヤバいことしそうなら止めるつもりです。まぁそうならないとは信じてますけど」
改造についても危険性を被験者にしっかりと伝えたうえでやるらしいからなぁ。
本人が改造されることを了承してるならいいかなって思うんだよなぁ。
「あ、そうだ。一応キカンダーさん。ウチに自由に出入りできるようになっときます? それならウチの宇宙船でスレイさんやカルカさんがやらかしても乗り込めますし」
「そう、だな。済まないがソレでお願いする。これが終わったら一度訪問させてくれ」
「了解です」
宝物庫にやってきた。
どうやらまだ誰もここには来てないらしい。
扉を開いて中へと進む。
カルカさんとスレイさんが率先して部屋の一部に走り、カルカさんはデカい金庫を持って来た。
コレに活動資金が入っているらしい。金庫ごと俺のアイテムボックスへと放り込まれた。
スレイさんが持って来たのは……何ソレ? 昔倒した正義の味方の変身セット!?
ちょぉ、キカンダーさんコレどうする!?
「ふむ、まぁ持っておけというのなら持っておけばいいのでは?」
そんな軽いノリでいいの!?
「主の居ない道具だ。有効活用できるならやった方がいい、その方が道具も喜ぶだろう」
まぁ、そういうことなら。
それからもいろんなものを持ってくる二人や他のメンバーが持って来たものをアイテムボックスに放り込んで行く事しばし、倉庫の中身が消え去った。




