124.ワールドイベント・アルセーヌ攻略戦9
どうなってるの!? どうなってるのぉぉぉ!?
なんか怪人共が俺に向って来るんですけどォ!?
もしかしてヘイトを稼ぎ過ぎたか?
「奴だ、奴を殺せぇ!!」
「あいつ一人で戦況を覆しかねん、囲んで殺せ!!」
なんでだよ!?
ヨシキ達の相手をしていたリオック男もコピーらしいカマキリ男の群れもこぞって俺に群がってくる。
そんな彼等に必死にレーザー銃を叩き込む。
やばい、タイムラグ殺した連射でぎりぎり拮抗してる。
少しでもペース落としたら詰む。
そして相手を殺しまくるせいでヘイトがさらに溜まっていく。
御蔭で怪人共が他の相手をすることなく俺へと殺到し始める。
いや、無理、これ以上は無理だからっ!?
「これは!? 皆、ヒロキが自分を囮にヘイトを稼いでいるぞ! 背後から奇襲で倒しまくれ!」
「怪人の入れ食いじゃーっ」
「ヒャッハー、攻撃してくる怪人は普通の怪人、ヒロキに殺到する怪人は楽に倒せる怪人だァ!!」
だからどうしたっ!?
「潰せ潰せ押し潰せ!! ヒロキ共々押し潰せッ」
おい、そこのハナコさんファンクラブ! 俺殺したらイベント失敗だって理解してるか!?
「ハナコさん、アレ反逆者」
『はいはい、皆ーそれ以上は敵とみなすわよー』
「俺らはハナコさんの味方っす!!」
お前らマジで調子いいな。ハナコさんに言われたら俺もやるけども。
「くっそ、なんで俺ばっか」
泣きごとを言う暇すら惜しい。
歯を食いしばり、ひたすらに引き金を引いてはアイテムボックスにブチ込みクールダウンさせる。
全て使い切ったらクールダウン終えた銃を取り出しまた引き金を引き続ける。
右に左に前に後ろに、近づく奴から撃ち抜いて行く。
ただ、やはり数が多過ぎる。
徐々に俺の包囲網は狭まり、相手の物理攻撃が掠り始める。
おい、よく見たら他の奴等暇そうにしてんじゃん、なんで俺だけこんな過密スケジュールで撃破しまくらないといけないんだよ!?
なんかタヂさんの幻影が、捌き切れ、これぞ漢道ッ! とかサムズアップして歯キラーンしてるんだけど!
ええい、逃げたくとも逃げ場がねぇからやるっきゃねぇんだよっ。
幻影でも出て来たならこれで男気見せられただろっ。
ともかく群がる怪人共を必死に捌く。
おお、回復魔法飛んで来た。
助かる。
他の皆も外側から攻撃して俺の負担を減らしてくれてるみたいだし、一部がキカンダーさんのフォローに入ってるのも見える。
ええい、俺もそっちが良かった。
「何故だ、この人数差でなぜ勝てん!?」
「ありえん、なんなのだこの人間はッ!?」
うるせぇ、こっちは必死なんだよっ!
「ヒロキ、速度を上げるぞ!」
「マネージャー、すぐに外から救出してあげるからねー」
助かる稲荷さん、御蔭でさらに速く行動出来る。
他のメンバーも外側から少しずつ削ってくれてるらしいし、頑張りももうすぐ報われそうだ。
俺が気を付けるべき事はもうすぐ終わるって思ってミスすることだ。
「おのれ、おのれ一般人の分際でぇっ」
「この人数差で負けているだと!?
「血反吐を吐け! 一人でもいい、奴に辿りつき、殺すのだ!」
多少は減ったか?
逆に俺への攻撃は苛烈を極めている。
なんで一人だけこんな事になってんだ!?
うおっ、今の一撃危なっ。
っと、大きく避けたことで隙が出来る。
やべ、このままじゃ……
『鬼火!』
おお、ナイスハナコさん!
俺が作ってしまった致命的な隙をハナコさんの鬼火が牽制して助けてくれた。
御蔭で体勢を立て直し、再びレーザー銃の連射が可能となった。
それにしても、何で俺ばっか狙われるんだ?
レーザー銃撃ってたのは他にもいただろ。
むしろディーネさんとか俺よりも敵倒してたはずだし。
キカンダーさんの御蔭で代表扱いされたせいか、とも思ったけど同じく代表になってるマイネさんの方には敵が群がって無い。なんでだ? 何で俺だけ……
まさか、二つ名のどれかがあいつ等を呼び寄せてるとかじゃねぇだろうな!?
「さすがは怪人殺しだ、この人数差でここまで粘るとは、だが、貴様もここで終わりだ!」
そうか、怪人殺し、これが怪人共が俺に殺到した理由か!
とはいえ、この二つ名は怪人と闘うにあたって必須の二つ名と言ってもいい。
何しろ怪人戦で戦闘力がアップするのだ。
今これを別のと入れ変えると、大幅な戦力ダウンで俺は確実に敗北する。
クソ、となると、この状況を受け入れて迎撃するしかないわけか。
「捉えた!」
うおっ!? 今目の前を鎌が通り過ぎた。
あ、いや、今のはテケテケさんの一撃か。
「助っ人するわよヒロちゃん」
「助かります、でも俺の隙作らせなけりゃもっと嬉しいっす」
「それは期待しないで」
なんでさ!?




