117.ワールドイベント・アルセーヌ攻略戦3
結局、ハナコさんサイン会はイベントを壊しかねないってことで後日専用イベント開催することを運営さんが約束することで終結した。
これ以上時間を遅らせるのは他のプレイヤーが不満を募らせるだけなので、他人への迷惑行為ってことで垢BANするわよ、と事態収拾にやってきたタマモ様により集まったハナコさんファンたちは蹴散らされたのである。
「さて、入口はこれ一つとは限らない。ただ、一度でも侵入されれば他の出口からもアルセーヌの戦闘員たちが現れるだろう。俺達突入班以外はこれらを撃破後、その入り口から入ってくれ。恐らくこの街中に幾つもあるはずだ」
なるほど、これだけ集まったのは街中にある進入路から各チームに別れて入って貰う為か。
さすがワールドクエストになるだけあるなぁ。
皆もこの狭い通路の先に全員で挑む事にならなくてホッとしてる感じだ。
「っし、全力で追い付くぜ!」
「どっからでも掛かって来やがれ!」
それ、フラグになりません? 大丈夫?
「では、突撃開始だ! 行くぞマイネ君、ヒロキ君」
あ、俺らこのまま直進するんすね?
「じゃあ未知なるモノさん、行きましょうか」
「そだな。そっちの不良三人も来るんだろ?」
「お、おぅ、当然だ!」
「幽霊が相手じゃないからね。任せなさい!」
「つってもレベルは低いけどな」
お前ら殆ど学校から出てないだろ。
「突入を開始する! 一気に行くぞ!!」
目的地に駆け付けたキカンダーさんは、気合一撃、地面に拳を叩き込む。
すると、地面が砕け、隠し階段が露わになった。
「さぁ、皆続け! 奴らもどんどん出てくるぞ!!」
突入班は俺達と見知らぬパーティーが数チームだ。
俺ら以外はジャンケンとかして突入チームを決めていた。
なんでも攻略組の一部も混じってるんだとか。
「ヒロキンさん、今回はよろしくお願いします。検証班なのでいろいろ質問とかするかもですが、気さくにお答えください」
え、気軽に質問してくれ、じゃなくて俺が気さくに答えるの!?
さすがにそれはちょっと無理ではなかろうか?
あんまり返答しづらいような質問はやめてくれよ?
「とりあえず早速一つ質問したいんですが」
「いきなりっすか!? まぁ敵がまだ出てないから良いですけど」
「ずばり、テイムのコツはなんでしょうか?」
テイムのコツとか言われても?
「正直よくわからん、ですね。もともとテイム取ったのはハナコさんをテイム出来ないかと思ったから取っただけですし、とりあえずハナコさんの元に行って土下座して俺にテイムされてくださいって叫んだくらいっすよ。動画だしてるけど。それ以外のテイムは成り行き?」
基本勝手にテイム対象が近づいて来てこれまた勝手にテイム環境が整うからテイムしたって感じのばっかだよな。ディーネさんなんか自分から強制テイムされに来たし。
「「「「「リーッ!!」」」」」
「来たぞ! 全員戦闘準備!」
何処からともなくわらわらと現れる戦闘員たち。
レベルは14と弱めだ。
しかし数が多い。
「ひゃっはー! 高レベルの雑魚じゃねぇか! 入れ食いじゃぁぁぁ!!」
「あ、ちょっとヨシキ、弱いんだから突出しないっ!」
テケテケさん、あの二人フォローよろしく。
「ユウは突撃しないのか?」
「阿保じゃあるまいし、自分の実力は理解してるよ、あーしはしばらく補助的に動くに留めるよ」
なら良いけども。
さて、アイネさん、稲荷さん、メリーさん、やっておしまいなさい!
「ちょっと私を露払い役にしないでよ!」
メリーさんはさすがに小さすぎるので移動が難しい。
なのでツチノコさんに乗っての参戦だ。
ツチノコさんも意外と戦いに出れるってことで乗り気だったりする。
あんましはしゃいじゃダメだよツチノコさん。肝試しの時みたいにするとメリーさん泣いちゃうから。
「泣いてないわよっ!?」
いやいや、ちゃんと動画に取ってあるし、涙流しながら「誰かとぉめてぇぇぇぇ」って回転するツチノコさんの内輪に入ってぐるぐるしてたからなぁ。俺だったら吐いてたぜ。
「ワタシがんばる! ヒロキ、あれ、苗床にしていい?」
「やめて差し上げろ!?」
アイネさんいきなり怖い事言わないでくれる!?
残念。じゃないよ、ダメだからね本気で、戦闘員さんたちももともと人間なんだからな。
「ワタシ、ウチュウジン、ヒトトカセントウイントカワカラナイ」
絶対分かってるでしょ!? ほら、さっさと撃退向って、レーザー銃貸すから。
「わお、これメレオン星人の銃だ。ヒロキ、何で持ってるの?」
「それはまた今度落ち付いた時に話してやるよ。今は、お戦闘の時間だ!」
「了解! 頑張るであります」
アイネさんと軽口叩きながらレーザー銃で敵の数を減らしていく。
にしても、一気に凄い数来たな。おそらく地上もアルセーヌ戦闘員で溢れてるんじゃないか?




