116.ワールドイベント・アルセーヌ攻略戦2
「おはー」
「ヒロキ、なんか疲れてるな」
ワールドイベント開始日になったので、俺は指定された場所へとやってきた。
既に参加者が物凄い数この地に集っていて人ゴミ掻き分けてマイネさん達の元にやって来たのである。
御蔭でスレイさんやアイネさん、ネネコさんも辟易した顔をしている。
そして、やっぱり参加してたよ未知なるモノさん。
相変わらず容姿が人外じみてきてるなぁ。
「しかし、凄い人よね。しかもイベント主催者みたいな感じで私とヒロキンさんがリーダーになってるのよね。私達が倒されるか、キカンダーさんが倒されたらイベント失敗だって」
「うわーお、責任重大だ」
つか、なんで俺ら写メられてるの?
「そりゃ有名税だな。諦めろ」
未知なるモノさん全然気にしてないな。
マイネさんも……もしかして目立つってことで前々から写メられてた?
「私達の場合結構5N5とかでアップされるのよ」
あー、そっち系は見てなかったなぁ、自己検索掛けたら恐ろしい事になりそうだ。
知らなかった事にしておこう。
「あんまりマンホールマンホール言ってる奴は垢BANして貰ってるわ」
うわー、よっぽどマンホール少女って呼ばれるの嫌なんだなぁ。言わないように気を付けよう。
「おーいヒロキー」
ん? 人ごみから声が……うっわ、強引に抜けて来た!?
「おぅヒロキ、なかなかおもしろそうな事に首突っ込んでんじゃねーか」
前回何かイベントするなら声掛けろと言われてたのでヨシキたち三人にも声を掛けたのだが……やっぱ小学生ヤンキーどもはここでも場違い感が半端無いな。
「ヒロキンさん、知り合い?」
「あはは、同じ学校で知り合いになった人たちっす」
「成る程」
「うお!? びっくりした。人じゃねーのいるじゃん、それどうやって変化したんだ?」
「俺か? 未確認生物に食われて死に掛けたからソイツを中から食い破ったらこうなった」
「ガッツあり過ぎじゃね!?」
「やだ、そこのお嬢さん可愛い服着てるじゃない」
「え? はぁ……」
「あ、ヒバリさんはガチな人じゃなくて中の人が女性だよ」
「え? 女性なの? なんでまた男性アバターに?」
「うふふ、折角自分じゃない自分になれるんだもの、ちょっとはっちゃけたのよ」
「はっちゃけすぎじゃないかしら?」
「おぅ、ヒロキ、それで、いつカチコミすんだ?」
「ユウさんや、マブダチみたいに肩抱きしてくるけど君と俺のアバターは異性だからはずかしいのですが?」
「あぁん? 同じ男なんだから問題ねぇだろ。そんだけ女に囲まれてて今更ボディタッチで恥ずかしがるタイプでもねーだろが」
いや、普通に垢BAN怖いからね。
それからしばらく自己紹介合戦が始まった。
俺は仲間と蚊帳の外になってたんだけど、そこに話し掛けてくるチームが一つ。
「ヒロキさん、こんにちわ」
「え? あ、はい」
誰だ?
「直接は会わなかったですけど、前にかくれんぼイベントだっけ? それの募集に参加表明してたタツキです。覚えてます?」
「タツキ……」
『あー、確かにあったなぁ。確か看破持ちだっけ?』
ん? あー、未知なるモノさん達を募集した時のか。
「となると、とりあえずはじめまして、でいいのか?」
「ああ。初めまして。タツキです。で、こっちがチームメンバーの……」
「ヒナギです」
「ダイスケだ。よろしくな」
「キョウカよ。肝試しイベントでは世話になったわ、本当にっ」
「アパポテトだ。アミノサンには手ぇだすなよ」
「アミノサン、よろ」
うん、まぁ、アクの強そうなメンバーだ。
「今回のイベント、参加させて貰ってもいいかな?」
「ああ、問題はないよ。というか希望者参加型だし。これだけ集まるならレイドイベントか広大なマップ攻略系になるだろうし、人が多いに越したことは無いだろうな」
「やっぱりそうなるか。全力で頑張るよ、同じレイドに当たったらよろしく頼む」
「ああ、こちらこそ」
挨拶を交わし、タツキチームと別れる。
結構良い感じの人だったな。
アレだったらまた会った時にでもフレンド登録してもいいかも……
そういえば、俺のフレンドってほっとんど居ないなぁ。
いや、別にフレンドが欲しい訳じゃないし、その内いい人がいたらフレンド登録するだけでいいんだし。
「は、ハナコさん、これ、霊でも持てるサインペンです、どうかこれで俺に色紙を、サイン色紙をくださいっ」
『え? まぁいいけど?』
って、いつの間にかハナコさんの前に長蛇の列が!?
おい、お前ら、何列の整理しながらアイドル握手会みたいなノリやってんだ!? これから秘密結社に乗り込むんだぞ!?
「うるせぇ! テメェもハナコさんファンなら分かるだろうッ、ハナコさんのサインを貰うにはこういう機会でもなきゃできねぇんだよ! 毎日会えるテメェと一緒にすんなッ、殺すぞ!」
えぇ……?
なんか凄い剣幕でキレられたんですが?
これ、俺が悪いんだろうか?




