114.インセクトコントラクター・3
「改めて、ゆけい黄金カブト! そなたのスキルを見せるがいい!!」
おおおっ!? クワガタ君が角でひっくり返された!?
じたばたしているクワガタ君を側面から角で押して、そのまま切り株から押し出してしまう。
黄金カブト君、ちゃんと稲荷さんの指示に従ってくれたらしい。
御蔭で稲荷さんもご満悦だ。
クワガタ君が地面に落下した後もじたばたしている。
どうやら自力では起き上がれないらしい。お間抜けさんだなぁ……あ痛っ!?
こいつ俺の指を挟みやがった!? ええい、このクソ虫め! お前はやめてミヤマ君に変えてくれるっ。
よし、いくぞミヤマ君、君を捨てた稲荷さんに反撃の狼煙をあげるのだ!
指示棒使って突撃ぃ!
あぁ!? 黄金カブトの角でひっくり返された!? そのままクワガタ君と同じ結末に!?
切り株から落とされじたばたしているミヤマ君に手を差し伸べる。……あ痛っ!?
畜生、クワガタなんて大嫌いだっ!
テントウムシくん、君に決めた!
テントウムシVS黄金カブト、いや、戦うまでもあるまいよ!?
それでも、行け! テントウムシッ!!
あああ、角で転がされた!?
「ぬはははは、圧倒的ではないか我が軍は!」
もはや勝負はついたと嬉しそうな稲荷さん。
なんかちょっと煽られてる気分だ。
気のせいだと思いたい。
が、彼女が余裕だったのはそこまでだった。
黄金カブトが勝ち確の側面から押し出し、を行おうとしたその時、テントウムシ君はくるんっと転がり元に戻る。
「なんだと!?」
「おお、そりゃ半円体型だもんなぁ」
さらにばさりと羽を広げて飛び上がるテントウムシ。
逃げるか、と思えば、まさかの黄金カブトに飛び乗った。
そして黄色い汁を放出。
「ああ、明らかに黄金カブトが嫌がってる!?」
「馬鹿な!? 戦意喪失だと!? こ、こんな大番狂わせが……」
あの黄色い汁、ちゃんと役に立ってたんだなぁ。
人からするとばっちぃだけだったんだけど、虫は嫌がるのか。
昆虫王者なカブトムシを屈服させたテントウムシ、お前、すげぇヤツだったんだな。
「ぐ、偶然、偶然じゃ! ええい、ならばいでよ! オオスズメバチ!!」
え、ほんとにそれ出すの!?
あ、制御不能だあいつ。
「あ、これ、空を飛ぶな、ここが主の戦場……ぎゃぁぁ!? ワシは敵ではないぞ!? なぜこちらを襲うのだ!?」
「そりゃ、虫カゴに入れられた恨みなのでは?」
結局オオスズメバチは即座に虫カゴに仕舞われた。あれ、俺のアイテムになっちゃうんだろうなぁ。大丈夫か? 使えそうにないぞ?
「ええい、こうなったら、いでよ似髻虫!」
地獄の虫さんらしいけどなぜか普通に森の中にいらっしゃった危険生物。
なんかお尻から侵入してきて体内食い荒らすらしいよ。
死者オンリーらしいけど怖いよね?
御蔭でハナコさんたちが逃げ出しちゃったじゃん。
幽霊特攻みたいな能力持ちなのかな?
となると、虫バトルにも幽霊系の虫とかいるのかも?
「さぁ、我が指揮の元、あのテントウムシを倒してしまうのじゃ!」
一瞬、稲荷さんの操る棒を追った似髻虫。
しかし、ぷいっとそっぽ向いて自ら切り株を転がり落下。
はい、アイテムとして回収ー。下手に放置して誰かを襲ったら大変だしね。
「馬鹿な!? テントウムシ風情になぜ負けるッ!?」
これは初心者によくあるというビギナーズラックではあるまいか?
下手に続けると敗北しまくる奴だな。
気を付けよう。
「く、くそぅ、ならばチョウチョだ!」
が、チョウチョは切り株に出て来た瞬間、ゆらゆらと空へ舞い上がり、そのままどこかに去っていった。
「む、ムカデ……」
ムカデは切り株に出て来た瞬間、テントウムシを遠巻きにして動きまわり、そのまま地面に這って行く。アイテムとして回収しとこう。触るのはなんか怖いのでさっと回収だ。
「ば、ばかな……」
最後にカマキリが出てくる。
さすがにカマキリ相手だとテントウムシは分が悪いか?
いや、ここは指揮ってみよう。
テントウムシ君、奴はじりじり近づいて殺しに来る。だから……突撃だッ!!
俺の指示棒がカマキリ君向け真っ直ぐに向けられる。
すると、テントウムシ君が必死に足を動かしカマキリ向けて走りだす。
カマキリの射程範囲に入った瞬間、カマキリの一撃が急襲するが、羽を保護する外殻が鎌を弾く。そのままカマキリを押し出すように切り株から落下させた。
「て、テントウムシに、負けた?」
愕然とした表情の稲荷さんが崩れ落ちる。
四つん這いで驚愕している彼女は、なんか新鮮なので放置しとこう。
しかし、テントウムシ強かったな。
強そうな虫でも負けることがある、ソレが見られただけでもよしとするか。




