112.インセクトコントラクター・1
「おはよーぅ」
新しい住居となった宇宙船にログインすると、テイムした仲間たちが居間として扱うことにした部屋に集まっていた。
一番最後にやってきた俺が座席に座ると、円卓もかくやとばかりの長机に座っていた面々が挨拶を返してくれる。
「イベント終わったねーマネージャー。これからどーする?」
「とりあえず今日は森に仕掛けた罠確認に行こうと思うんだ。良いかな稲荷さん」
「ほぅ、つまり虫相撲をするのだな」
「ああ。とりあえずやり方教えて貰って、あとはキカンダーさんと連絡取ってアルセーヌに何時突撃するか決めたら知り合い誘って突撃、かな」
「さっさと行くつもりなのね」
「スレイさんの話によるとおねーさんのレベルはそこまでないらしいからさ、恐らく最悪でもハナコさんたちと同レベル帯だと思うんだ。それならレイド組めば十分戦えるだろうからね」
「成る程ねー。そう上手くいくかしら?」
「テケテケさんそれフラグ……って俺フラグ建築士じゃん、やめてよ、絶対やべーフラグ踏んだじゃん。これはまたタヂさん必須じゃね?」
「ソレ無しでも行けるようにするんでしょ。どうする?」
「有力者、引き込むか……?」
それもそれで大変そうなんだよなぁ。
ハナコさんが進化とかしちゃえば……そういえばハナコさんのステータス見てないな。
「え? 私のステータス? そこまで変わってないと思うけど……」
でもあのレギオン戦ったわけだし多少の変動があるはず。見ても、良いですかっ!
「まぁ、いいけど」
名前:ハナコ
種族:守護霊 クラス:七不思議ボス
二つ名:皆のアイドル
Lv:48
HP:4222/4222
MP:1002/1002
TP:891/891
GP:1977/1977
状態:普通
技スキル:
赤いちゃんちゃんこ: 相手を赤く染める攻撃スキル。
霊視Lv42: この世ならざるモノを見ることが出来る。
球遊びLv28: 球技の上手下手に影響。
鬼火: 鬼火を出現させることのできるスキル。
魅了Lv27: 相手が見惚れることがあります。
物理無効: 物理攻撃が効かなくなる。
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スキル拡張Lv1: スキル枠を二つ増やす。
生首ダンクシュートLv3: 相手の首をゴールポストにダンクシュート。
歌唱力(微): 歌を歌う時に効果が倍増する。
陰火: 陰火を出現させることができるスキル。
お、おおっ!? スキル拡張!?
これってアレか。スキルが増えるという噂の?
早速鬼火を外してスキル拡張をメインに加えると、二つスキル枠が増えた。
スキル拡張自体が一枠使うから、実質一つ分スキルが増えたってことになるな。
とりあえず鬼火と陰火でも入れとくか。
あ、でも陰火って確か触れても熱くなくて水与えたら燃えるってだけの火じゃなかったっけ?
じゃあ陰火よりは歌唱力入れとくか。
「スキル拡張ってどうやって覚えたんです?」
「さぁ? いつも気にしてないから分からないわね」
いいなぁスキル拡張。
俺も欲しいなぁ。
「ああ、そういえばイベントの報酬はどうなったのじゃ?」
「え? あー、そういえば? 連絡は……まだ計算中みたいだな。報酬配られるまでもうちょっと時間必要だってさ」
「ふむ。では早速森にでるか? でるだろう? 蜜を塗った木の場所は分かっておろうな? な?」
稲荷さん、ワクワクし過ぎて尻尾でてますよ。めっちゃぶんぶん振ってるよ?
稲荷さんが虫採りしたくてたまらないって様子なので、皆との会話もそこそこに、俺達は家の傍の森へと向うことにした。
おー、さすがに仕掛けをしてから数日経っただけはある。
蜜塗った木に結構な虫がたかっていた。
「おおおおおっ! 凄い、凄いぞヒロキ! アレは黄金カブトではないか!? あっちはオオスズメバチか!? さらにミヤマクワガタ! くぅぅ、なんという入れ食い! ワシは猛烈に感動しておるぞーっ!!」
うわー、稲荷さんがすっごくはしゃいでる。
こうして見ると普通に子供だなぁ。
とりあえず。虫カゴ買っといてよかった。
無邪気に虫を捕まえては虫カゴへと放り込んで行く稲荷さん。
あの、オオスズメバチまで入れちゃうんっすか?
え、それも立派に虫相撲できる? うそん。
他にも何故か集まっていたチョウチョやらカマキリやらを捕まえ一緒の虫カゴに放り込んで行く稲荷さん。いや、それ普通に内部で蠱毒始まりませんかね? 今ムカデ入れませんでした?
ちょ、まっ、今の何!? 今の何ッ!? 何か変な生物虫カゴ入った!? え、お尻から侵入してきてお腹食い破る地獄の虫!? 知らない、そんなの知らないよ!? 待って稲荷さん、それマジで必要なの!?




