1124.天界裁判13
「それでは、まずは弁護人ツチミカドヒロキが犯罪を犯していないかの判断を始める。疑惑は商店街の空き家に対して不法侵入した疑い、だったな。その証明映像があるらしい、ログジエル、映像を」
「りょうかーい」
なんか、司会進行役のアナフィエルさんもログジエルさんも生き生きしてない?
もしかしてメタトロンたち追い詰めるの楽しんでます?
『ああいう店って人が入ってるの見たことないけど、なぜか老舗が多いんだよな。何でだと思うスレイさん?』
その映像は、俺の疑問から始まった。
『え、こっちに振るのか!? そうだな。しいて言うならばあれらは取引店が豊富だからそちらで資金繰りをしているのだろう。一応一般向けにも店は開いているのだろうがメインは店同士だと思われる。私も詳しくは知らんぞ。まぁ要するに、稼ぐ当てがあるから閉店していないというわけだな。例えば……秘密結社の隠れ蓑、とかな』
天使たちに見守られる中、動画では俺が考え始める姿が映される。
今更だけど、自分の出てる映像皆に見られるの恥ずかしいな。
『ん? 待てよ、ここで取引してるかもしれない秘密結社って、クモリエルだけでは? 例えば。例えばだぞ。ここの商店街に存在する全ての店に秘密の通路とかがあれば、どうだろう?』
それは当然と言えば当然の思い付きだった。
だから、俺は頼んだのだ。
『祝さん、ちょいと壁抜けしてそこの店、地下通路とかないか見てこない?』
『えー、アイドルにそゆことさせる? まぁやるけど』
確かに、俺自身は入ってないが、テイムキャラを送り込んだことは認めよう。
「さて、映像を見て分かるように、俺自身は商店街の空き家には入っていません」
「詭弁だ! テイムキャラに指示を飛ばして侵入している以上住居侵入の犯罪を幇助してるじゃないか!!」
アクニエルが叫ぶ。
四大天使長たちはそれに関し、アナフィエルさんに視線を向けた。
アナフィエルさんも理解したようで、俺に視線を向けて来た。
「さて、ヒロキ君、犯罪幇助ではないか、と言われているが?」
「一つ聞きたいのですが、その犯罪というのは、人間の法律に則った、ということでよろしいですか?」
「裁判長、いかがです?」
四人が話し合いを始める。
と言っても確認だけのようで、代表してミカエルさんが告げた。
「ああ。天界での行為ではないからな。人間の法律に則って、だ」
「では俺は無実であると宣言します。理由は、住居侵入をしたテイムキャラをよく見ていただければわかると思います」
「はぁ? どういう……」
アクニエルは分かってないようだけど、メタトロンはわかったようで苦虫噛み潰してるぞ。
「こちら、映像に映っている祝さんですが、ご覧のように壁をすり抜けているのはわかるでしょうか? 当然、人間は壁をすり抜け等出来ません。彼女は昔ストーカーにより刺され、悪霊化した幽霊です。つまり、すでに死んだ存在であり、人間の法律には抵触しません」
「ばかな!?」
「ふむ、事前情報として報告されている彼女のステータスにもアイドル霊とあるな。幽霊は確かに人間の法律には縛られない。建物の中に入って行こうがそこで何かを発見しようが、彼女には罪科が発生しない訳か」
「ゆえに彼女に指示をしたことで俺が住居侵入罪に当たる心配は一切ありません」
「し、しかし、しかしミカエル様、奴がテイムした存在に指示を送り、他人の家に入り込んでいるのですぞ! これでは、これでは住居侵入し放題ではないですか!!」
「そうだな。しかし、先ほど俺は人間の法律に則る、と宣言した。つまり天使の法律で裁くことではない。よってツチミカドヒロキが商店街の住居侵入を行った事実は一切ない。以上証明終了、だな。他に異見がなけりゃ無罪とするが? アクニエル、メタトロン、ツチミカドヒロキへの余罪告発はあるか?」
「……ない」
メタトロンはそういうしかないよね。接点もほとんどないし、今の映像から何かしら告げることもできないだろうし。
でも、もう一人はどうかな?
「ある! あるぞ!! 私にぶつかりおったのだ! こ奴は裁判に向かう私に対し、極悪にもぶつかってきたのでありますぞ!!」
ほら来た。
さぁ、アクニエルさん、審判のお時間ですよ。
「ヒロキよ。アクニエルの言葉について、そちらからの言い分はあるか?」
「言い分というより、映像がありますね。これについては既にログジエルさんに渡してありますし、ミカエルさんが元の映像を持っています。追突時も俺、映像残してんすよね」
「なっ……なんだとぉ!?」
驚くアクニエルが何かを言うより早く、映像が流れ始める。
さて、アクニエル君の言い分が楽しみですなぁ。
あ、ちなみにね。今の映像、リアルタイムで放映されてっからさ、いろんなプレイヤー見てんだぜ?




