1123.天界裁判12
「さぁどうする弁護人。お前の口先もこれで終わりかぁ?」
アクニエルが水を得た魚のように嬉しそうだ。
実に不快である。
「はぁ、では証拠映像の提出をしたくございます」
「ダメだ。証拠は既に提出済みのもの、のみを取り扱う」
「裁判長。これはマイネさんの罪状に関する証拠ではなく俺が犯罪を犯していない証拠の映像ですが?」
「ダメだな。証拠映像は既に出しておいたものだけだ」
ほぅ。そう来たか。
ならつけ入る隙があるってもんだ。
「証拠が出せないというのなら貴様を告発せざるをえない。そしてそれはつまり、今回の被告マイネマイネの審判において貴様は弁護士不適格となる。異論はあるか」
ざわつく天使たち。
彼らもまた、メタトロンの判断が暴論に近いと思っているのかもしれない。
しかし、彼は裁判長。この裁判において罪を判断する最高の存在である。
ゆえに、彼の判断こそ、絶対。
絶対? いいや、そんなことは、ないんだなぁ、こ・れ・が。
「現状の状況を鑑み、ツチミカドヒロキをマイネマイネの弁護士として不適格であると判断す「異議あり!」異議は認めん」
強硬手段に出るメタトロン。しかし、それこそが悪手というものだ。
なぜそんな手段に出ているのかは謎だが、俺としてはありがとう。と言わざるを得ない。
「この場の全天使に問う!」
「おい、弁護人!? 貴様法廷侮辱罪で退出したいのか!」
「今の裁判長の言を聞いて「おい、話を聞けお、ログジエル!? 何をする」どう思った? 俺には無罪を証明する映像証拠がある。しかし今回のマイネさん告発に関しての証言にはなんら関係ないために証拠としては登録していない。だからこそ新たに登録したい。そう告げたのに断られ、現状の証拠で証明できなければ犯罪者だと言われた。これが裁判長の行うべき公正な裁判か? 否である! よってツチミカドヒロキは裁判能力に難ありと判断し、裁判長メタトロンならびにアクニエルを……告発する!!」
「な、何で私まで!?」
「ツチミカドヒロキ! 貴様ッ! この私を告発するだと!」
「貴方の裁判長としての資質を問うているのですよ。どうも貴方は告発者側に寄り過ぎな気がするんですよね。それって公平に判断する立場の裁判長としては不適格じゃないんですか? 先ほども本来俺に対する疑惑などはウリエルさんがやるべきところ、裁判長主導でした。つまり、貴方はマイネマイネを有罪にしたい。そのためにこちらの不利になることを率先して行っているように見受けられます。これは公平性に欠ける。よって今回の裁判において、裁判長を行うには不適格だと言わざるをえません。ゆえにここにいる全ての天使に問いたい。この二人が裁判員、裁判長として適格か。そして私、ツチミカドヒロキが弁護人として適格か、ぜひその審判をマイネさん審判の前に行わせていただきたい」
「なかなかに面白い催しだなヒロキ!」
「お兄さん天使?」
「ではここにいる全天使に問おう! 彼ら三人の審判を行うべき、そう思う者は起立せよ。場の三分の二が立ち上がるならば……ってもう結果でたな」
ほぼ全員が即座に立ったな。
彼らが天使であるゆえに、正義の行いのを見定めるために必須のことなら迷いはないのだろう。
「良かろう! メタトロン、並びにアクニエル、被告人席へ向かえ。ヒロキ、お前から始める、証言台に立て。マイネマイネ、ルルルルーアは原告席に移れ。現時点を持って疑いを持たれたメタトロンの裁判長としての任を一時的に解く」
「なっ!? 正気か!」
「これより裁判の判決人として四大天使長が相談して決を採る。ウリエル、天使長席に座れ。ラファエル、ガブリエルもだ。ログジエルたちはヒロキから新たなる証拠を提出後、改ざんの有無を確認。クシエル、ラハティエル、ショフティエルはメタトロンとアクニエルの暴走警戒。プシエル、フトリエルはヒロキ側の暴走を警戒せよ。アナフィエル、司会を任せる」
「良かろう。ではさっさと自分の席に座れミカエル」
あー、やっぱお兄さん天使、ミカエルだったかぁ。
「んじゃー、ヒロキ君証拠をくださいな」
「とりあえずこれがそん時の映像っすね。他に必要なものが出た場合は?」
「都度証拠提示のうえ、その場で改竄の有無を調べるで。それでいいかミカエル」
「許可しよう」
「了解。さて、そんじゃま、徹底的にやらせて貰いますかね」
「でも、メタトロンまで巻き込むことなかったんじゃ……」
逆っすよログジエルさん。メタトロンの不適格審判にアクニエルを巻き込んだんです。
本当はアクニエルだけのつもりだったんですけどね。
なんか、メタトロンは必要以上にこっちに敵意向けてる気がするんですよね。
これ、もしかすると、もしかしちゃうんじゃないかなぁ。
なぁ、アクニエルさん。
あんた次第だぜ? あんたの結果次第で、メタトロンの地位が揺らいじまう事、分かってんだよな?




