1122.天界裁判11
「さて、裁判長。マイネさんが告発された罪、一般市民に対し火を放ったこと。商店街を焼き討ちにしたこと。双方、罪に問えない可能性が出てきましたが、どうします? ここらで判決行きますか?」
「くっ、待ちたまえ弁護人。まだ、終わっていない、そう、証人尋問、ウリエル! 証人尋問だ!」
「そ、それはいいですが、バイアスロンの証言に瑕疵は見当たらないぞ裁判長」
「被告人、マイネマイネ! 証言台に立ち、正直に告げよ!!」
必死に考えたメタトロン、まさかのマイネさん自身に証言させることにしたらしい。
これ、天使の裁判としては異例中の異例では?
お兄さん天使に視線を向けると、両手を肩元にあげてお手上げ状態だとジェスチャーしてきた。
あんたが諦めてどうするよ。
「ちょ、ちょっとヒロキ、これ、大丈夫?」
「マイネさんは気にせず正直に告げて。主観は要らないから事実だけを正直に。下手に隠したりしなくていいから、行ったことだけ。感情は言わない。いいか。感情は言わない。重要なことだからな」
「え。ええ。わ、分かった。感情は言わない」
くっ、とっさの判断みたいだがいい手だ。
マイネさんはNPCじゃないから俺も次の一手が読み切れない。
ここでマイネさんが変なこと言ってやらかしたら今まで積み上げてきた言葉が全て無駄になる可能性もある。
ある程度はフォローできるだろうが、頼むぞマイネさん自滅だけは、しないでくれよ。
「はー。ふー。ひっ、ひっ、ふー。ひっ、ひっ、ふー……よし」
マイネさんそれ出産ときの呼吸法だよ。頬張って気合入れるのはいいけどいろいろ間違ってる。
歩いて証言台立つ時も右手右足、左手左足で歩き方変だったし。
ここで緊張してどうすんの!
「おい、マイネの奴ヤバくねぇか?」
「マイネちゃん緊張してるのね」
「頼むぞ、ココで失敗とかすんじゃねぇぞ」
ユウたちが神様に祈りだす。
ここ天界なんだけど、いや、まぁ神様に祈るのは問題ないのか。
「そ、それで。私は何を証言すればいいわけ?」
「今回の告訴に関する全てだ」
「マイネさん、地下に潜入してアレを見つけて、火を放つまで、それと火を放った後持ち場を離れた理由。あと状況を知ったのがいつだったか。だ」
「え、ええと、そうね。クモリエル襲撃作戦を正義の味方と相談して、私たちはヒロキが見つけた商店街の空き家にある地下への階段に潜入、その先で一般市民が改造されたモノを見つけたわ。あまりにも非道「主観」失礼。ヒロキたちを先行させて私が彼らに火を付けました。その後、クモリエル本社襲撃作戦中だったのですぐにヒロキたちの後を追ってクモリエル本社へ。それから……状況を知ったのは、襲撃作戦が終ってクモリエル本社が存在していた表の組織の中で、警察に手錠掛けられながら知らされたわ。以上。でいいのかしら」
よし、余計なことは言ってない。これでまだ何とかなる。
「原告側、尋問を」
「で、では。商店街にある空き家と言ったな。いくら空き家であると分かっていたとして、そして敵の施設への直通路があったとして、だ。一般人が管理人の許可なく空き家に侵入するのは、犯罪ではないのか」
正論来ちゃった!?
まさかそこ突いてくる!?
いや、むしろここを突くってことはそれ以外に突ける場所が見当たらなかったってことかもしれん。
よし、落ち着け。
俺はやれる。マイネさんを無罪にする。
よし、証言開始だ。
「異議あり。これは正義の味方たちとのクモリエル侵入作戦に組み込まれた正義の味方による作戦だ」
「なるほど。だがそもそもそこに直通路があるとどうやって知った? それは犯罪的行いではないのか?」
「ウリエルの疑問に答えて貰おう、被告人マイネマイネ」
「うぇ、私? で、でも、あそこを見つけたのはヒロキだから、私は何か言えるようなことは……」
「つまり、弁護人であるヒロキが犯罪を犯していた、そういうのだなマイネマイネ」
「え? いや、でも……」
あ、これ拙いぞ。向こうもパワープレイで潰しに来やがった。
これで俺が犯罪者に認定されれば、いや、疑惑でも、だ。俺は弁護資格を失ってしまう。
どうする、どうすれば……
そこの証拠はあるっちゃある。でも証拠品としては提出されていない。
「さて、弁護人、今の状況はわかるかい?」
「俺が住居侵入罪を犯していないか、だな。マイネさんと共に踏み込んだのは正義の行いである、と判断できるから不問としても、最初の見つけた経緯に関しては別。そう言いたいのでしょう裁判長。しかし、弁護側としてはその問答はマイネさんの告訴に関して全く関係ないと主張します」
「残念ながら否だ。この状況で貴様が犯罪を犯していた場合、貴様に弁護資格はないと判断する。つまり今までマイネマイネを弁護していた貴様の証言全てが疑わしいと言わざるを得ない」
まぁそうなるよな。やってくれたなメタトロン。裁判長であるのに、ここまで原告びいきされちまったらもう、俺も覚悟決めさせてもらうぜ。




