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1096.等活地獄

 案内人君の案内の元、目的地へと向かうと、一切失敗もイレギュラーもなく辿り着けた。

 まさしく安心安全の案内人である。

 門番さんに目的伝えて、ヤミーさんと共に扉を潜る。


「今度こそとうちゃーく! ここが噂の等活地獄でぇーっす! どんどんぱふぱふーっ」


「ヤミーさん、古いっす」


「あり? まーいーじゃん未知なる君。それよりも! ここが六万四千地獄の一つにして小地獄を統括する八大地獄の一つ、等活地獄だぜぃ。どよ? どよ! 凄いっしょ」


 あー、うん。凄いね。殺伐としてますね。

 まぁ地獄だからってのはわかるんだけど、亡者さんたちの悲鳴がそこかしこから轟いている。

 

「あ、ちなみにね、ここに来る通路の隣の場所にある扉を移動すると八熱地獄に行けるのよ。昔はそっち使ってたんだけどねぇ、ぐるっと八の地獄が囲む様にあって、他の地獄の亡者さんが迷い込んできたりでややこしかったのよ。私が死んでヤマ兄の元へ来た時に地獄広げちゃおうぜ! ってなってさー、なんやかんやこんやかんやってな感じで今の階層地獄になったのだよ」


 そんな地獄の過去話聞かされても。そもそも八熱地獄? とか言うのがあることすら知らんし。

 

「えっと、確か想地獄、黒縄地獄、堆圧地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焼炙しょうしゃ地獄、大焼炙地獄、無間地獄ですっけ?」


 案内人君そんなことも知ってんのかよ


「そう、一応今のと対応してて想地獄は等活、黒縄や叫喚はそのままよねぇ。無間は阿鼻で焼炙は焦熱、大焦熱になってるんだよね。堆圧地獄は衆合地獄になってるの」


「はー、昔は中央をぐるっと囲うような地獄だったんすか」


「そーそー。八寒の方は昔は十地獄でね、ちょっと多いんじゃない? ってことで八つに替えてみたの。そっちの方は知ってる?」


「えーと。厚雲、無雲、呵呵、奈呵、羊鳴、順乾提、憂鉢羅、拘物頭、分陀利、鉢頭摩でしたっけ?」


 未知なるモノさんや、案内人君は何語を喋ってるんだい?


「俺に聞くな。俺もわからん。なんだかか? なか? はどま? はどまっていや八寒地獄の七つめだっけか?」


「なの知ってるの! 黒沙なの!」


「なのさん、それは十地獄じゃなくて八熱地獄の四門地獄にある十六小地獄ですよ」


「な、なの?」


「なのさんや。案内人君に無理について行こうとしなくていいんだ。ほら、俺の隣でぼーっと二人のやり取り見てようぜ」


「バックサウンドが亡者さんたちの野太い叫びだからさっさと通り抜けたいの」


「ムリだって、こっから先こんなのばっかだしさらにひどいと思うぜ。つか下手したらゲームとしてヤバいぐらいスプラッターな状況見ることになるんじゃねぇか?」


 未知なるモノさんの言う通りだ。この先は亡者が拷問受けてるところだから、映像としては見せられないよ、な場所が多いんじゃないかと思うんだ。

 俺も映像撮ってるけどおそらく自分たち以外全背景モザイクになると思うんだ。


「ヤミー」


「あいあい、なんだね少女」


「暇。亡者の首引っこ抜いてきていい?」


「おっとめんごー。案内人君との会話が面白くてさー。地獄の知識凄いじゃん、君地獄の文官やらない?」


「すいませんツアーコンダクターの方が性に合ってるので」


「おー、じゃあ地獄めぐりツアーとか企画しちゃう? ちょっとヤマ兄に提案してみよっか?」


「えーっと……」


 おお、助けてくれと目が言っている!

 しゃーねーな。放置してるとブキミちゃんがおこになるしなぁ。


「ヤミーさんまた脱線してますよ。こっからどうすんです?」


「っと、そうそう。こっから八大地獄の中の小地獄を通って次の階層へ向かっていくことになるんだよね。アタシだけだったらぱっといってぴっといってぷっぺっぽっと目的地に到着できるんだけど、皆は一度移動しなきゃ端折れないんでしょ」


 端折る?

 あ。未知なるモノさん、これ! カーソール移動のところに現世と地獄の文字が! すげぇ、選択肢一つで現世と天界と地獄と魔界に行けるようになってるぜ! 


「最初の地獄の庁には行けないみたいだがな」


「それなー」


 ま、地獄内に来ることはもうないだろうし、別に行かなくてもよかろ。この先の庁に関しても向かうことはなさそうだし。


「えー、ちなみにここは等活地獄といいまして、殺生に関しての罰を受ける場所になります。無暗に殺生を行った場合ここで罪を償うらしいです。ちなみに殺生に関しては、蚊やアリなどの小さな虫なども含まれますので、その辺りを正直に殺したと認めておかないとここに来ることになるそうです」


 ガガンボの体ぶちぶちしちゃった子供とか絶対大罪人になるよな。

 生きながら羽も四肢も引きちぎられて体だけ転がされるの、昔の子供程やらかしてたらしいし。

 虫殺し、ダメ、絶対。一寸の虫にも五分の魂って奴だね。


「……どうしようヒロキ」


「未知なるモノさんどうした?」


「おれ、ガガンボ転がして遊んでたぞ昔。田舎だからいろんな虫を、その、ほら、虫取り網振ったらトンボが真っ二つになったりさ……」


「地獄へようこそ未知なるモノさん。ちょっと生前懺悔してく?」


 生前に罰受けとくと、死後ちょっと罪が軽くなるかもよ?

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― 新着の感想 ―
あれですね 生きるための殺生はしっかり認罪すると軽くなるか 家の中の虫は殺し無罪 外の虫は有罪 国の罪は民の罪 雑食は植物か動物かどちらを食べるが選択できる 各々定められた量を超える殺生と見なす 食べ…
亡者の嘆きをラップ的に演出できないかヤミーさんに嘆願してみたらできそうじゃない?って思ったんだけど 次に来るような事あればヤミーさんの性格?がギャル風味からラッパー風味になりそうよね
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