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1094.こいつら妹好き過ぎだろ!?

 弥勒菩薩にお願いされたことを伝え終えた。

 時間的にはそろそろ一分経つだろうか。


「ふむ、良い説明であった。嘘偽りもなく、誇張もない。篁。そろそろ時間だ。案内役を連れてこい。後は任せる」


「はい。それじゃあ仕事はお任せします」


 と、篁さんがどこかへと足早に去っていき、閻魔王はその場で亡者の裁きを始める。


「えーっと篁の妹さん?」


「はい、なんですか?」


「とりあえず俺らどうしたらいいの?」


「兄が案内役を連れてきますので、もうしばらくお待ちください。あと、何か気になることがあれば私が説明しますよ?」


 説明ねぇ。未知なるモノさん、案内人君、なのさん、なにか聞きたいことある?


「んー。ねぇな」


「ないの」


「じゃあ、せっかくなので。篁さん以外に閻魔王様の部下って誰が居るんですか?」


「えっと、ここにはいないですけどぉ。太山府君さんとか五道転輪王とか? あ、それからそこにいる四大判官が部下といえば部下ですねぇ。右からぁ、賞善司シャンシェンスー罰悪司ファーオースー査察司チャーチャースー崔判司ツィパングェンさんです」


 おお、まさかのモブ文官っぽい人たちに名前があった。

 

「僕そちらの方々知らないですね。どういう方なんです?」


「賞善司さんは善簿という善人を記した帳簿を持ってます。亡者さんの生前の善行に合わせて褒賞をくださいますよ」


「ってことは次の罰悪司は……」


「はい四不四無の罪罰に応じて罰則を与え地獄に落とす役割をになってます。次の査察司さんは善行、悪行、そして冤罪に関して信賞必罰する役目を持ってます。この三人が亡者さんを囲んでいろいろと聞いたり証明したりするわけですね。それで善行が勝っていれば閻魔王さんが天国や極楽、人界などに行くよう沙汰をだし、悪行が勝っていれば地獄や畜生道行きを決めるんです」


「あれ? じゃあ最後の崔判司は?」


「あちらの方は刑罰が決まってからですね。善人は寿命を延ばし、悪人は陰に帰らせる役割をしています」


 うん、よくわからんが、転生時にちょっと裕福な家庭に生まれたり、人生ツイてたり、不運だったり、貧しい家庭に生まれたり、を決めていくんだろう。

 

「多分だが、地獄の概念に関して、日本だけじゃなく中国やインドの概念も取り入れたせいで変な感じになってんだろ。閻魔王と役割被ってんじゃん。運営の失敗じゃね?」


「あー。あれもこれも詰め込んだせいで役割被ってたり変な後付けが入ったりしてるわけな」


「あとで運営に抗議しとけヒロキ」


「未知なるモノさんがやればいいじゃん!? なんで俺?」


「俺が下手にそんなクレーム入れたら垢バンされるかもだろ」


「俺ならいいのかよ!? 酷くないすか」


「さすがに運営もヒロキを垢バンはしねぇだろ。このゲームの稼ぎ頭だぞ」


 いやーどうだろなぁ。天の声さんとか普通にやりそうなんだよなあ。だから下手に女性キャラに触れたりはしてないわけだし。

 え、胸揉んだりしてないかって? それはラッキースケベのせいだ、俺が自分からやってるわけじゃないんだぜ。


「お待たせしました。おや? 皆さんどうしました?」


 篁さんが誰かを連れてやってきた。

 背後の方がひょいっと篁さんの横に現れる。


 こ、これはぁ!?

 艶やかな浅黒い健康的な肌に野性的な美女顔。髪はおそらく肩元くらいまであるのだろう。左右で髑髏の髪留めに止められ、毛先はハリネズミのようにツンツンしている。

 服装は野人と言われても納得できる髑髏のビキニブラに中央に髑髏が覗くパンツ、いや、あえて言おう。ドクロのパンティー、と!

 そしてそのパンティーを隠すように取り付けられた腰布。だいぶくたびれているのかボロボロで、ところどころが擦り切れている。


「ちぃーっす。今回案内役に決まったアタシちゃんでーす。よろぴくー」


「あ、ハイ」


 未知なるモノさんと案内人君の眼が死んだ!?


「うぇーい」


「う、うぇーい、なの」


 何を思ったかなのさんの前に行くと両手を突き出してうぇーいとか言ってくるお姉さん。パリピタイプについていけてないなのさんが恐る恐る両手を合わせてハイタッチ。


「あのー。篁さん、こちらの方は?」


「ヤムナー川の女神様です」


「お、おぉ、女神……」


「ちょっと篁ぁ、そっちじゃ通じないって。んじゃま改めてぇ」


 一昔前に流行ったチョリーッスポーズを決めて、お姉さんは自己紹介を開始した。


「初めましてヤマ兄の妹にして最愛の妻、ヤミーちゃんでぃっす! よろぴ~」


 なん、だって?

 え? ヤマ兄?

 俺は思わず案内人君を見る。

 ヤマって確か閻魔大王の別名……


「あ、はい。ヤマはインドの双王です。向こうでは初めて死んだ人間で冥府の世界が存在することを見つけた存在で、またそのまま地獄の王になったそうです。確かその時付き従った犬が二匹いて、サーラとメーヤだった、かな? あとヤマは妹のヤミーに惚れられていて、たびたび肉体関係を求められたそうで、ヤマがそれを断って自死したとかなんとか」


 で、結局そのまま冥府で結婚しちゃったわけですか。


「あれ? でも案内人君、たしか閻魔さんの妻は奪衣婆だって聞いたの!」


 なのさんがはっと気づいて思わず告げる。

 そこは多分運営の采配ミスじゃね? 

 それより閻魔と部下の篁さん、二人とも妹と関係持つとか、妹好き過ぎだろこいつら!

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― 新着の感想 ―
ヒロキが霞む程度に濃いメンツっすね…
ググると 妹が死ぬことで 地位の重要さを知る篁さんは 右大臣に婿入りの提案した 先?求婚書 後?篁物語 古い物はどこまではフィクションがわからないけど 閻魔さんの民間伝承が多すぎる 衣領樹…
運営のミスをヒロキが暴く! ヒロキ「ヤッたら更に狙われそう」 未知「えー貢献してるから平気だろ?」 ヒロキ「開発スタッフがデスマーチしてるのが オレのせいなんでその影響がヤバい」 未知「それは狙われる…
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