108.第一回イベント終了
「終わった……」
七日間、しっかり頑張った。
普通小学校七不思議巡りツアー、皆勘違いしてるみたいだけど、開かずの間が最後じゃないぞ。
それだと六不思議だからな。
ちなみに、今回最高到達点はタツキチームとかいうチームで、開かずの間前のアイネさんだった。
うん、開かずの間まで向えなかったよ、七日もあったのに。
そんな高難易度にしたっけか?
「アヌビスさんや、あの肝試し、高難易度過ぎたかな?」
「いや、一つ一つはそこまで怖い訳でもなさそうだが。配置の問題かな? スレイ君の脅かしが一番被害が出て、その後のハナコ君とメリー君で癒しトキメクことで感情値が振れて正気度が消失してしまうモノが多くでたようだ」
「スレイさん攻略が中日だったのも不味かったかもですね。もう少し早く攻略されてれば輝のいる最終チェックポイントまで行けただろうに」
「ほれ見ぃ。結局ワシの出番なかったではないか」
風狐が襲いかかる通路を担当するはずだった稲荷さん。結局配置場所が開かずの間から輝君の居る購買部までの間襲いかかる予定だっただけに、全く脅かす相手が来なくて暇だったようだ。
御免稲荷さん。イベント終わったし森で何か捕まえて虫相撲しよう、満足するまで付き合うから。
「これを元にして次回肝試しの参考にする予定だが、ヒロキよ、やはり攻略者ゼロはさすがにやり過ぎだな」
「うーん、でも。そんなヤバかったかなぁ?」
「脅かし役が多過ぎたのかもしれんな。もう少し減らせなかったのか?」
「むしろイベント用にいろいろ回って集めたんだよ。メリーさんとかアイネさんを」
「そうか……気合を入れ過ぎたか、いや、小学校に集中させ過ぎたか。これは運営の反省点だな。だが、十分過ぎるイベントの賑わいにはなったか。他の場所をクリアした者たちも最終日にここに来ていたしな」
「いやー、現実世界で七日もあるし、と思ってたんだけど、さすがに攻略者ゼロになるとは思わなかったよ。恐らく未知なるモノさん引き込まなかったら彼だけならクリアしてたと思うけど」
あの人絶対怖がるよりも拳で殴るタイプだからな。むしろ噛みついて食べるタイプか。
「報酬についてはさすがに与えないという訳にも行かないな。ふむ……少しハナコ達を借りてもいいか?」
「え? 何するんです?」
「このままだと暴動が起きるかもしれんからな。ハナコやディーネを使って打ち上げライブでも行おうかと思う。校庭に特設会場を作ろう」
「あ、それなら応援グッズ販売した方がいいですよ。ピンクの法被とかサイリウムとかウチワとか」
「普通のアイドル等と同じグッズ販売か。運営に伝えておこう」
と、いうことで――――
―― 皆様第一回イベント肝試し大会へのご参加ありがとうございました。ゲーム時間20:00時より、閉幕式、の代わりに打ち上げライブを行いますので、ご参加希望の方は普通小学校校庭でハナコさんやディーネさんの生ライブを見て行ってください ――
「ライブするの、ウチのテイムキャラばっかりなんですが?」
「すまんが一番有名なキャラたちだからな。そこは諦めろ。あとお前は裏方をして貰うぞ?」
「まぁ、仕方ないか。ここで終わると確かに皆暴動起こしそうだし後日俺の命がヤバそうだし。ハナコさんたちの可愛さの一端を皆に共有させといた方がいいか。うん、飴と鞭だな」
「お主、その内刺されるぞ……」
アヌビスさんが呆れた顔で呟き、そうだ、とプレートを差し出して来る。
「これは?」
「我がカタコンベへの通行許可証だ。あと主の家にたまに行くが問題はあるか?」
「え、家に? UFOですけど?」
「ああ、知っている。で、どうだ?」
「まぁ来る分には問題無いですけど、いきなり来られてももてなしは出来ないですよ。事前連絡があればなんか買っておきますけど」
「よい、そこまでして何かを欲しい訳ではないからな。ただ神同士話が合う場合もある、ということだ、なぁ稲荷よ」
「うむうむ。それならぜひとも仲良くしておきたいところだな。冥府の神と顔見知りになっておくのは悪いことではないぞヒロキよ」
「まぁ、そういうことなら問題ないです」
NPCが家に来る方法って、もしかして向こうから家に来たいとかのイベントを起こしてからになるのだろうか?
「さて、そろそろ皆戻ってくるだろう、概要の説明をせねばな」
「ハナコさんたち、そう言えば本人に無断で歌うことになったのか。大丈夫かソレ?」
「最悪お前のペナルティになるやもな」
最悪過ぎませんかね!?
「いやー、楽しんだ楽しんだ」
「マネージャーさん見てたー? ディーネ凄く活躍したでしょ」
凄く? ごめん、スレイさんが強過ぎて殆ど迎撃しちゃってるせいでそっちに意識が向いてディーネさんの戦いはあっさり終わらせた気がする。
女子トイレの水が一斉に流れ出すとか怖いことは怖いんだけど、美少女の顔がなんか凄い事になるというショッキングシーンに比べるとさすがに弱過ぎたようだ。




