1077.天界探索
俺たちは早速別行動を行い、おのおのアクニエルの話を聞くことにした。
他のこともいろいろ聞いてみたくはあるが、一般天使がその辺り話してくれるかどうか。
意外とAI高性能だからこっちの話に対応はしてくれるんだが、さすがに関係ないこと聞いても話してくれない可能性あるんだよな。
「ヒロキ、あそこの天使は何をしているのかしら?」
ちなみに、メリーさんは俺のポケット入ったままである。
さすがにメリーさん単独行動させるには小さすぎるからな。
ツチノコさんも個別行動してもシャーじゃ話にならないのでルースさんに付いてってもらっている。
ベーヒアルはローリィさんがサボらないように監視を頼んでおいた。
ルルルルーアさんは単独行動になるんだけど、大丈夫かな。さすがに天使相手に神の裁きです、とかしないと思うけど、あの人かなりイカレてるからな。最悪のことは想定しておいた方がいいかもしれない。
さて、メリーさんが指摘した天使は、っと。あいつか。
どうやら花壇か自生してる花園と思われるんだけど、一角だけ周囲と植生が違う場所に、天使が一人、変な踊りを踊っている。
傍目から見るとどう考えてもヤバい人なんだけど、周囲の天使たちが無反応なのでアレは行われていて不思議のない日常的な行動、ということだろう。
「あ、すいませんそこの天使さん」
「はい、なんでしょう?」
比較的女性っぽい姿の天使に声をかける。腰元迄のロングヘア似合ってますよ。
「あちらの天使は何してるんです? 踊っているように見えますけど」
「ああ、あちらは天界植物の育成を早める踊りです。各天使持ち回りで一時間事にあのように踊ることであの植物たちが育つのです。植物名はダンシングトホネサンです」
ただのヒマワリにしか見えませんが?
とりあえずあの植物を生やすためにひたすら踊る作業が天使たちの仕事として存在してるのか。
なんか、嫌だな天使になるの。まぁならないんだけど。
ルースさんも天界戻れたわけだし、たまに踊ったりするんだろうか?
そもそも踊り方すら知らないだろうルースさんが踊れるとも思えないけどな。
どっかでダンスレッスンとかしてるんだろうか?
「あ、ついでにアクニエルに関して何すけど、噂とか知りません?」
「ああ、アクニエル様ですか。また何かやらかしたのですか」
どうやらアクニエルは一般天使たちにも評判が悪いらしい。
しかし証拠というものがないのと、無駄に位が高いために手出しできず、上位天使相手にはへりくだるタイプなので決して自分の失態を見せないクソ野郎らしい。
つっても天使だし、そういう奴さっさと堕天させたりしねぇの?
天界も天界で少々問題があるみたいだな。
そもそもクソみたいな天使が普通に闊歩してるだけでも天界としての威厳がなくなってるのに、それで人や天使を自分たちで裁くとかお笑い草である。
神の代理? そんな欲望の塊どもが代理とは神様もたかが知れますな。
ついでに天使さんにいろいろと質問を行い、最後に長々付き合ってくださりありがとうございます、と礼を尽くして感謝を示す。
こういう徳の高いだろう天使には丁寧に返す方がいいのだ。
それからも適当な天使に話しかけては情報を手に入れていく。
一貫してアクニエルの評判は悪い。
でも悪いのは悪いんだけど、悪いってだけでどう悪いのかが出てこない。
おそらくどこかにイベントが転がってるはずだけど、そのイベントに繋がる証言が出てこない。
うーん、施設に入ってみた方がいいかな。
つか、この辺の施設って何があるんだ?
「えーっと、ユウから地図貰ってるわよ。これによると、近くにあるのは図書館と、あっちの施設が訓練所、あと向こうのが神殿ね」
「あの施設神殿なのか。オリュンポス系の施設っぽいとは思ったけどまんま神殿とはな。神様いるかな?」
「いたらアクニエルなんて跳梁跋扈してないんじゃない?」
「ノーデンスみたいに眷属に甘い奴かもしれないっしょ。とりあえず行ってみよう」
せっかくなので神殿に行ってみることにした。
神殿内にも天使が行き来しているようで、結構な数の天使と入れ違う。
話聞こうと思ったんだけど今忙しいので後でお願いします、と断られた。おそらくこの移動中天使はモブ中のモブで会話イベントがないのだろう。
「神殿にようこそ、迷える子羊よ。私はガブリエル、この神殿の司祭を務めています」
いきなり大天使長出てきたんだけど!?
「えーっとこの神殿で出来ることをまず教えていただけますか。先ほど天界に来たばかりでして」
「まぁ、人の身で天界に辿り着いたのですか!? 随分とご苦労なさったでしょう」
苦労はしてないかな。
「友人がすでに天界に来てましたので移動方法を教えてもらいこちらに。別の友人が裁判に出頭するので付き添いとして来たのですが」
ま、せっかくなのでアクニエルについてお聞きしましょう。神への祈りというか苦言はその後で。




