1076.まずは下調べから
「それじゃ、私は一旦戻ってキカンダーさんたち連れてくるわ」
「んじゃ、その間天界探索しとくわ。着いたら連絡よろ」
「選択肢選ぶだけだからすぐよ、居る場所伝えてくれたらすぐ合流するわ」
マイネさんがキカンダーさんたちを連れてくるために一旦下界へと移動する。
おお、選択肢選んだプレイヤーは他のプレイヤーから見ると瞬間移動したみたいに消えるのか。
「んでヒロキ、どこ行くんだ?」
「俺ら一通り行ったから、大体の場所分かるぞ」
「でもヒロキだしねぇ、変なイベントにひっかかるんじゃないかしら?」
「俺ら何度も足運んでるけどそんなイベント起こらねぇぜ?」
「あーしらだけだからじゃん。ヒロキが居たら起こるかもだぜ? こいつほんとトラブルに愛されてっからな」
本人を前に酷い言いぐさだ。
「おいおい、俺だって進んでトラブルに首突っ込んだりしねぇって。そんな直ぐイベントが向こうからやってくる訳な「邪魔だ!」っとぉ、何すんだテメェ!」
突然背後から駆けて来た天使が俺を押しのけようとしてきたので、倒れるながら足を引っかけてやる。
「ぐあぁ!?」
そして盛大にすっころぶおっさん天使。
「おい、トラブルがマジで来たぞ……」
「めっちゃ注目集めてんだけど」
「ま、今更だな。つかどんなイベントだ?」
いや、誰か起こしてくれたりしねぇの?
「ぐ、くっそ、テメェ誰に喧嘩売ったか分かってんのか! エロアだぞ! エロヒムの一人だぞ!」
「ぶつかって来たのはそっちだろ!?」
「うるせぇ! 裁判に遅れたらテメェのせいだからな! 訴えてやる、地獄送りにしてやるからな!!」
男の天使は口悪くそんなことを叫び立ち上がると、時間が惜しいと去っていく。
「き、君大丈夫かい? 大変なことになってしまったね」
「え? あー、なんかヤバい感じです?」
天使の一人が心配そうに近づいて来たので、立ち上がって埃を払う。
「あの天使は裁判官の一人なんだ。下手に逆らうと犯罪者扱いされて堕天させられてしまうんだ」
「ほぅ、ちなみに彼の名は?」
「アクニエルだよ」
「そのアクニエルはなんでそんな非道なことしてて天使のままなんだ? 堕天するんじゃないのか?」
「彼が判決を下す側だからね。よほど悪行の証拠がない限りは彼が堕天することはないよ」
ほほぅ。
天使の中にもそういう奴居る訳か。
「あー、ヒロキ、もしかして?」
「おそらくあいつはマイネさんの裁判に参加予定だろう。ちょうどいい。売られた喧嘩は買うぜ?」
「大丈夫か? 向こう裁判官なんだろ?」
「いいかヨシキ君。戦いというのはね、始まる前から勝利が決まっているモノなのだよ。そもそも戦う前に情報を手に入れ相手の必勝の策を潰し、逃れられない戦力で叩き潰す。それが戦闘だ」
「いや、そんなもん戦いじゃねぇよ!?」
そうか? 戦いを起こすなら相手を確実に潰す状況に持って行ってからやるべきだろ?
「さ、そうと決まれば情報収集だ。皆、まずは分かれてアクニエルに関して情報収集。面白い情報手に入れたら教えてくれ」
「しっかりと調べます、天使の中に神の意に背くような輩がいるなど言語道断です。天に変わって私が必ず裁きを下しましょう。まして勇者であるヒロキ様に対して何たる侮辱、許すまじ!」
あ、ルルルルーアさんがキレてる。
「まぁまぁ落ち着いてルルルルーアさん。裁きなんざ俺らが下すまでもねぇんだ。俺らはざまぁを味わおう。そのために、手伝ってくれるかな?」
「はい。怒りは収まりませんが、勇者様のためならば!」
「相変わらず狂信者だねぇ」
「ヒバリたちはどうする? 俺とテイムキャラは各地でアクニエルの所業捜査始めるけど」
「面白そうだから手伝うわ」
「ついでによ、大天使たちにも話聞いとくか?」
「それは一旦天使たちの話聞き終えた後でいいかな。マイネさんが来て準備整えてその後で、んで大天使の話を聞いたら裁判といこう」
「だったらよ。たしかルルルルーアも裁判受けるんだよな。その辺りも聞いてみたらどうだ?」
「それは一般天使に聞いても意味なさそうだけど……まぁ聞いてみるか」
「人海戦術必要だしよ、ヒロキのテイムキャラもっと連れてきたら?」
「いや、いいよ。下手に呼ぶと収拾付かなくなるし、ダメそうなら地下世界だけじゃなく天界にアレが設置されるだけさ」
「なんだよアレって?」
「人が作り得た最高傑作にして最凶傑作だな。まぁそうならないことを俺は祈ってる。んじゃま聞き込み行こうか。ついでに目的の場所にも寄るような感じでな」
「天界の図書館、皆もくればよかったす」
「そういえば図書館あるんだし、本好きが来そうなもんだけどなぁ。ま、イベント全部終わったら皆で来るのもいいかもしれないな」
天界で観光、それもまた、アリだな。




