1072.ドールはどこへ?
「回収完了っす」
「すまないね。ざわざわ回収して貰って」
ノーデンス神殿へと戻ってくると、ヌグス=ユグさんとノーデンスが出迎えて来た。
「ところで報酬は、なの?」
「ここで渡してもドリームランド内でしか使えんだろう? すでに現実の方に連絡済みだ。近く訪れるだろう。少し待ってほしい」
この人もその神関連だからか現実世界とドリームランド自由に行き来できるみたいだな。
ま、コトリバコ撤去のお礼とやらはドリームランド出た後に期待しておこう。
気に入らなければまた設置しておけばいいんだし。
「ところでノーデンスさんよ」
「儂、一応神なんだが……で、何かね?」
「ナスの谷、ドールいなくなってたんだけど、ドールどこ行ったんすか?」
「……」
俺の質問に、ノーデンスはなぜか何とも言えない顔をする。
「そのコトリバコでの、全滅したのだ」
「は? 全滅!?」
「ナスの谷を隙間なくコトリバコの範囲にしおっただろ! 気付いた時にはナスの谷にたドール全滅しとったわ! 我が眷属がナスの谷から居なくなったんだが、どうしてくれるっ、どうしてくれる!!」
「はは、ざーまぁーっ」
こらニャルさん、マイノグーラさんまで指さして笑わない。
「ドールにはもう会えないってことですか?」
「いや、障壁山脈の方にならおるぞ。さすがに全滅した以上ナスの谷にドールが復活するのは難しいだろうが、卵は無事のようだからな。しばらくすればまたドールも戻るだろう。ナイトゴーントたちも遠くに逃げているが戻りだしておるはずだ」
「あ、でも骨の海の奥に落下したコトリバコは放置してますよ、地図に丸付けといたんで、こいつらの処理はお任せします」
「おぬしら、一番面倒事残しおったな」
はっはっは、なんのことやら。
「それよりノーデンスさんよ。その障壁山脈ってどう行けばいいの?」
「ここからだと、一番早いのはナイトゴーントに連れて行って貰って、ガグの都市まで向かい、コスの塔からサルコマンドにでて、インクァノクとの間にある山脈の穴にいる。ちなみに、現実世界から行くなら最下層のアブホースと合うことになるぞ」
「ん。母いつでも来ていい、言ってる」
スパウさんのお母さん、どこにいるかもわからんのに現実世界で向かう……地図、載ってたかな?
ま、まぁいいや、ドールに会うつもりならガグの都市に行かないといけないってことだな。
しかもガグの都市はここからだと頭上にある食死鬼の岩山だかなんだったかの先にある訳だ。
つまり、空飛ばないとここからガグの都市には向かえないってことだな。
あるいは遠回りで山脈越えていくか?
トォーク山脈と違ってかなり急な岩山を歩きで? 無理だな。
しゃーねぇ、行くなら宇宙船に乗って行くしかねぇな。
「未知なるモノさん、どーします?」
「んー。サルコマンドっつったらオリアブ島から行くとま逆方向だろ。地下から行った方が速そうだな。でも、今日はもう疲れたぞ?」
トォーク山脈一周しましたしね。
しかもコトリバコを数千個回収作業まで付いて来たし。
確かに今日はもういい時間かな。
「んじゃ、次のドリームランドでガグの都市行きますか」
「ああ。だがヒロキ、確かガグの都市って、ガグとかいう危険生物の都市だろ? 大丈夫か?」
「最悪コスの塔最上階まで駆け抜ければいいだけですし、あとガグって確かニャルさんの眷属じゃなかったでしたっけ?」
「はっはっは、称えるが良い」
ニャルさんの奉仕種族結構いるからなぁ。
ガグも確かその一つだったはず。
だからガグが俺たちを襲ってくることなどありえないのさ。
フラグじゃないよ。フラグじゃないからねっ!
「なんか、襲われそうな気がするね」
「皆さん大変ですね」
「チヨさんも、ってチヨさんは影女だから襲われないのか」
ま、行くだけ行ってみてダメそうならトォーク山脈戻って地上に出ればいいだろ。
最悪、確か他にも外に出られる場所があったはずだし。そっちに向かって脱出してもいいな。
「ああ、今回は行かないのかね。ならコトリバコを回収しきれるだろうし、どうせならナイトゴーントたちに送ってもらうかね?」
「あ、そういうのいいんで」
あいつらに空連れていかれたらナスの谷に落とされそうだし。
「そうか。ならば其方らには手出ししないよう厳命しておこう」
「ええ。それでお願いします。手ぇ出してくるようならそれこそ地下中にコトリバコ設置するんで」
「いや、怖いこといわんでくれんか!? そんなことしたら地下世界からナイトゴーントが死滅してしまうではないか!?」
「そのつもりですんでマジで手出ししないよう言っといてくださいよ。俺、有言実行するタイプなんで」
ノーデンスさんが全身ぶるぶると震えてたんだけど、そんな年老いてたっけか?




