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1059.あなたを逮捕します

 必要なモノは粗方手に入れたはずだ。

 一時バッドエンドっぽくなってしまったけど、この世界がゲーム世界だったのが幸いだった。

 ボス戦ということでブラッククラウド将軍を復活する方法があったので、黄泉の国カイセイジャー誘ったりする必要はなく、このまま地上に戻って大団円である。


 地下施設から脱出し、首領部屋へ戻る。

 部屋を出るとき、一瞬立ち止まって振り返った暗雲ブラック。

 きっと、この施設内にも思い入れはあるんだろう。

 決して絶望だけじゃなかったはずだ。


 その思いを内に秘め、彼はすぐに俺たちに合流して来た。

 魂抜けたような、というかなんか強姦にでもあったような瞳のマイネさんを引きずりながら皆で脱出していくと、どうやら俺たちの帰りが遅いと気付き、迎えに来ていた正義の味方たちが前方からやって来た。


「あ、良かった居ました。皆さんご無事ですか!?」


 おっと超能力少年隊のハルト君だ。

 快晴レッドの名前も晴斗なんだよなぁ。これ運営のミスか?

 あるいはここの共通点にも何かしら理由があったり?


「ほら、来るだけ無駄だっただろハルト」


「まぁまぁマナブ君。もしもが無くて良かったってことでいいじゃん」

 

 マナブ君とリクト君も一緒に来てたようだ。

 三人に案内されながら地上へと向かう。

 どうやら地上側では逃げ出したクモリエル戦闘員などが居ないか探索を始めているらしい。

 また、ウェザーディバインサイトカンパニーの方で警察組織と連携して不正を行っていた者の洗い出しなども行いはじめているのだとか。


 バイアスロンさんが証言者として出張ってるから政府としてももみ消しは出来ないだろうってことらしい。

 ま、そういう後始末的な物はバイアスロンさんに任せりゃいいや。俺たちはしれっと皆に混ざってんじゃ俺らこの辺で、っとささっと帰ってくればいいだけである。


 クモリエル本社内部を越えて、エレベーターのある場所まで辿り着く。

 このエレベーターに乗れば地上へと脱出だ。

 かなり巨大なエレベーターなので全員乗っても大丈夫らしい。

 マイネさんが乗ったところでビーッてなったらおもしろかったんだがな。


 ぽーんっと音を鳴らしてエレベーターが開く。俺たちが出て来た階層は、どうやらエントランスホールだったらしい。

 現れた俺たちに、集まっていた人々の視線が殺到する。


「か、カイセイジャーだ!」


「凄い、本物だ!」


「え。じゃあ本当にクモリエル本社がこの会社の下に!?」


 まだ信じてない奴もいたのか。


「ヒロキ君、随分遅かったようだが?」


「バイアスロンさんお疲れ様です。ちょっと野暮用が長引きましたが、なんとかなりました。このように、暗雲ブラックも無事救出できました!」


「ん? 救出? いや、しかし、彼はブラッククラウド将軍で……」


「それはブラッククラウド将軍が成りすましてなんですよ。いやー、最深部に掴まってるの見たときは焦りましたよー。それに、ブラッククラウド将軍がどの面下げてここにいるっていうんですか。案だけ盛大に裏切ったんですよ」


「それは……まぁそうだが。快晴レッド、いいのかね?」


「ああ……なんとかブラックを救出できた。皆に感謝するよ」


 おお、良かった俺の嘘に乗っかってくれた。

 しれっとそれっぽい救出出来ましたイベントにしたんだけど、あー、バイアスロンさんにはバレてるっぽいな。

 あと暗雲ブラック、俺がどの面とか言ってる時に胸押さえるのやめてくれ。バレちゃうだろ。


「ふはー。いや、今日はありがとうございました格ゲー少女さん。ヒロキさんと行動すると今までと違ったイベント起きるとは言われてましたけど、ここまで大規模イベントがログイン中に解決するのは初めてですよ」


「あ、はは。確かに濃密だったよね」


「貴重な体験ができました」


 なんかもう帰りそうな言い方だな。でもここのイベント最後まで見届けるつもりはあるらしい。


「ヒロキよ、これからどうするのかね?」


「えーっと格ゲー少女はどうする? たぶんカイセイジャーはここの後始末するだろ?」


「ああ、俺たちの管轄だしな。格ゲー少女さん、すまないがしばしの間、君の傍から離れても構わないかな?」


「あ、はい。皆さん正義の味方なんですからそっちを優先してください。私の冒険については一緒出来る範囲で構わないですよ」


「恩に着るよ」


 んじゃ、俺たちはもうお役御免だな。


「んじゃバイアスロンさん。俺らのやることは終わったっぽいからここらで帰ってもいいかな?」


「そう、だな。後始末はこちらでやっておこう。今回はよく頑張ってくれた」


「ホントよ、なんかすっごい戦った気がするわ。最後だけ、特に」


 コピー部隊と激戦出来てストレス解消出来ただろマイネさ……


「あの、マイネさんは、貴女ですか?」


 ぽんぽんっとマイネさんの肩を叩く誰か。

 はい、私だけど? っと振り向いたマイネさんに、そいつらは素早く手錠を掛けた。


「マンホール少女マイネさん、商店街放火と大量虐殺の疑いで、貴女を逮捕します」


「はい?」


 マイネさんが、捕まった。

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― 新着の感想 ―
ヒロキ『いつもやってると思ってました』
ヒ□キ『いつかはやると思ってました』
マイネさんが逮捕された!? 目隠し眼帯と首枷と手枷と足枷と腕枷と太腿枷と口枷と狐耳枷と狐尻尾枷と拘束具を着けて、意思も思考も感情も身も心も黒く黒く黒く塗り潰され満たされて、何も見ることも聞くこと…
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