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105.肝試しイベント・そして誰もいなくなった……

SIDE:タツキ


「……という訳で、チェックポイント三つ目は女子トイレなのよ」


「でもよ、第六チェックポイントの開かずの間には行けないんだよな?」


「ええ、他の五つを回ってからじゃないといけないわ」


 面倒だけど、一応全ての階を回って戻ってくるようなルートになっている。

 僕等はここから近い第三チェックポイントに向って、その後第四チェックポイントである音楽室へと向うのだ。


「うし、んじゃさっさと押しちまうか」


 と、僕とキョウカが何か言うより早く、ぺたんっとチェックポイントのハンコを押してしまうダイスケ。

 これで僕等全員が第二チェックポイント通過となったが、その瞬間、目に見えていたトラップが発動する。


「ケケ……ケケケケケケケケケッ」


 ぎ、ぎゃあああああああああああああああああああああ!?

 テケテケさんが動きだすのは分かってた。

 分かってたけどそう来るのは卑怯だろ!?


 血溜にうつ伏せで倒れていたテケテケさん。その場でぴくりと指先が動き、笑い声と共にそのまま這いずってきた。

 まるでテレビや井戸から出て来たかのような動きと長い髪に隠れた顔がどう考えてもリ○グやラ○ンである。

 動き、その動きだめだからぁぁぁっ!!?


「あ、やべ、正気度なくなる……」


 ダイスケの正気度が逃げ切る直前で無くなった。

 その場で糸が切れたようにダイスケが倒れる。


「はーい、一名様、ごあんなーい」


 そして追い付かれたテケテケさんにより回収されていくダイスケ。

 恐怖過ぎるわッ!


「こ、こっわ。やっぱテケテケさんはヤバいわ」


 僕もキョウカも既に半分を切ってしまった。

 テケテケさんだけでここまで減らされるとは。

 来ると分かってたのに……


「と、とにかく第三チェックポイントはそこよ」


「ああ、急いで回ろう。浮遊霊は無視だ」


 二人揃ってダッシュする。

 背後から何か迫ってくる気がしたが、二人とも振り向くことなく女子トイレに滑り込む。

 って、また人型の触手生物じゃねーか!? あれ絶対未知なるモノさんだろ! なんで脅かす側にいるんだよ。あんなん酷過ぎるわっ。


「女子トイレ到着っ、タツキの変態ー」


 誰が変態だ。今回ばっかりは仕方無いだろ。

 運営から女子トイレに入ったからどうこう、みたいな警告も入ってないし。


「えーっと、確かハナコさんを呼び出すんだっけ?」


「ここにやり方書いてあるぞ」


 洗面台の鏡に血文字で書かれているのは、【三回ノックしてハナコさん遊びましょ、と告げる】という文字だった。

 キョウカがさっさとノックして告げる。

 その、刹那――――


 突如全てのトイレで水が流れ出した。

 ぎょっとした僕らの背後で洗面台へと蛇口から水が勢いよく流れだす。

 視線がそちらに向うと、水に混じって流れていく長い髪。排水溝に詰まって徐々に水が溜まりだす。


「これは、不味い!?」


「ええい、チェックポイントは私がやるわッ、後よろしくっ」


 え? あ、こいつここで終わる気か!?

 キョウカがハナコさんのいるトイレに置かれていたハンコを押す。

 その瞬間、蛇口からぬらぁっと現れる水が人型へと変化していく。

 これ、ハナコさんじゃねぇ!?


「っしゃぁ、後は任せたっ」


 いや、任せずにお前が先行ったら良かったじゃん!?

 クソ、キョウカも正気度消失しちまった。

 残ったのは僕だけだ。

 まだ第三チェックポイント終わったところだぞ。まだ半分にも到達してないのに、もう!?


 と、とにかく第四チェックポイントに向わないと。

 皆の分も出来るだけ遠くへ……

 ん? なんだこのルート、この先教室に一度入らないといけないのか。

 変な所に壁出来てるなぁ。


 この教室、何かある? 大丈夫かな?

 ん? 泣き声? 幽霊でもいる……の、か? いや、女の子?

 白衣を着た金髪の女の子が、教室の片隅で泣いていた。


「君、どうしたの?」


 思わず声を掛けて、違和感に気付く。

 なんで、肝試しの教室内に女の子が?


「わ、私……」


 涙に濡れた少女が顔を上げる。

 まばゆいばかりの美少女に、一瞬心臓が跳ねた。あっぶな。こっちの驚きでも正気度減るのか。

 迷子だから案内してほしいと言われ、僕は思わず頷く。

 少女と共に音楽室へと向う、その途中。

 会話を弾ませ、思わず抱いた恋心。あの、もしよかったら僕と……


「こんな顔でもぉ?」


 ぐじゃぁっと、振り向いた美少女の顔が正気度を直撃した。

 惚れそうだった僕の気持ちは、バケモノへと変化する途中の少女の顔に全身ごと凍りつく。

 パリン、と正気度が一瞬で砕ける音がした。

 少女だった顔は意味不明なバケモノへと変わってしまった。

 目の場所につぶらな魚眼。

 鼻は潰れ口は窄み深淵をのぞき見たようなおぞましい姿へと変貌した美少女だったナニカがニタリと笑った。

 そして、僕の正気度が砕け散り、意識が黒く塗りつぶされた。

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[一言] ーーーーーその顔は、《深きモノども》であった……(白目)
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