1052.秘密結社クモリエル攻略作戦16
迫りくる無数のブラッククラウド将軍たち。
同じ顔が一斉に、あるいは時間差で襲ってくるのは恐怖以外の何物でもない。
というかもうホラーの領域入ってないか?
ただ、ここでこいつら相手にしていて終わるかどうかが不安だな。
こんなことなら正義の味方たち帰すんじゃなかった。
ブラッククラウド将軍と快晴レッドの一騎打ちイベントくらいだと思ったのによ。
「祝さんチヨさん、壁を調べてくれ! まだ隠し部屋があるはずだ!」
「は、はい!」
「ったく、しゃーないわね」
二人が壁の奥を探索してくれる。
俺たちは何かしらの変化があるまで耐え切れば……
「ちょっとヒロキ! なんでこいつらどんどん出てくるの!?」
「どっかに自動でコピー人間生成する装置でもあるんだろ! それか大量に存在してて在庫なくなるまで大量放出かもな!」
「同じ顔ばっかキモいわよ!?」
「し、しかも結構強いですよこの人たち!? あぁ!? 武器が!?」
それを武器と言い張るのかい豚のレバーの炒め物君。安全看板が見事に折れ曲がった。
武器がなくなって嘆く彼だったが、すぐに新たな武器を……なぁにそれぇ。
「てりゃー!」
交通整理に使う誘導棒らしきものを振り回し始める豚のレバーの炒め物君。あいつ工事現場関連の道具しか武器ねぇのか?
「うおらぁ!!」
っと、あっぶね。
俺の眼の前をマンホールが飛んでいく。
無数のブラッククラウド将軍を薙ぎ散らし、ブーメランよろしくマイネさんの元へと戻っていくマンホール。
あの重量武器何で戻って来れるんだ?
蛙娘さんは天井部分に退避して、そこから舌でブラッククラウド将軍を持ち上げ、他の将軍にぶち当てるなどで攻撃しているようだ。
乱戦だからあそこはむしろ安全地帯かもしれないけど、舌切り裂かれても知らんぞ? しかもブラッククラウド将軍じゃなくマンホールに。
「クティーラさん大丈夫?」
「ナギさんこそ、武装なさそうだけど? 私はほら、これがあるし」
と、タコ触手を伸ばしブラッククラウド将軍をひっぱたいたり巻き付いて投げつけたり、意外と広範囲をカバーできるクティーラさん。それに守られるようにしていたナギさんだったけど、大丈夫。と掌を点へ掲げる。
「無意識領域接続、可能変性模索、アカシックレコード読取、形骸変異・サムワンウィッシュドエインセル」
ナギさんの右手が光を放ち、その形を崩し始める。
そして光が新たなる手を構築し、砲塔のような流線形の異物へと変化させて光が消えた。
「発射!」
おおお!? まさかのサイコな銃ですか!? それともロックな奴ですか!?
エネルギー弾というよりは何か豆粒のような赤黒いモノをブラッククラウド将軍へと発射するようだ。
お、額に命中。風穴開けたぞ!? 意外と殺傷力高いな!?
「血を固めて撃ちだすよ」
自分の血かよ!? 多用すると貧血起こしそうだな。
「んー、今回はハズレ引いたかな? まぁいいや、クティーラさん、フォローに回るね」
「ん。了解」
あの二人は任せてよさそうだな。
カルカさんとスレイさんも鞭や触手で多数を相手取ってるし、格ゲー少女は上手く立ち回って拳で戦う女学生と化している。
茶釜さんは手あたり次第ボディプレスしてるし、シコメさんは死体だからか狙われてすらいないな。
シコメさん涙目になってるぞブラッククラウド将軍。一体位相手してやれよ。
それは死体じゃないんだ。戦う必要のないモノ、じゃないんだからな!
「レッド、さすがに数が多すぎるよ!」
「そうね。皆! アレ行くよ!」
「了解!!」
「皆、大技いくよ! 射線上に行かないよう気を付けてね!」
ピュアレッドが声高に叫ぶ。
おお、ピュアパープルもいつの間にか変身してるじゃん。
猫獣人のままでもプリピュア変化できるのか!
「行くよ! 五人のプリピュアが集えば、どんな敵だって負けやしない!」
これは、あの必殺か! 全員退避!!
「「「「「マーブルピュアリアブラスター!!」」」」」
うおお、これこれぇ! やっぱ正義の味方って言ったら必殺技だよな! 五人揃っての必殺、最高っす! しかもなぜかビームの形状肉球になってるし、これ絶対パープルちゃんの影響だろ!
「な、なんかちょっと変じゃなかった?」
「んー、可愛いから、よし!」
プリピュア的にはアリっぽい。
カイセイジャーもやれればいいんだけど、残念ながらブラックがいないので四人だけだとちょっと見劣りする必殺になるんだろうな。
「ああもう、対抗すべき正義の味方いないじゃない、何でグレートマンたちこういう時にいないのよー!」
「もう、マイネさんが必殺使うしかないんじゃない?」
「そんなもんはない!」
無いっけ? ああ、協力技はないな、マイネさんそういうの得意そうじゃないし。




