1049.秘密結社クモリエル攻略作戦13
中ボスブラッククラウド将軍を撃破した俺たちは、その勢いのままにさらなる奥地へと到達する。
中ボス部屋越えた先にも結構通路があるんだけど、この辺りは戦闘員や怪人たちの生活区でもあるようだ。
おそらくここか、その先辺りに怪人改造施設があるはずだ。
ここか? こことか? ここだったり?
部屋がいくつもあるので一つ一つ開けて確認していく。
戦闘員がいたり、怪人が着替え中だったり、カフェテラスっぽい場所があったりしたものの、目的の場所は見当たらない。
正義の味方たちにもお願いしてるので分岐ルートの道へと向かった正義の味方が発見してくれてればいいんだが。
でもまぁこの辺り完全に生活区っぽいから見つかりそうにねぇな。
怪人を見つけたらとりあえず洗脳解除を行うことにしてるんだけど、まだ結構いるんだよなぁ。
特にアイドル系の怪人。
獣人とかになってる奴は良いんだけど、昆虫型とか意味不明型怪人にされてる子は正気に戻ったら一瞬で正気消失して喚き散らすからなぁ、確かにさっきのヘドロみたいな怪人になってたアイドルは可哀想だったな。元々の可愛い顔は完全になくなってるとか本人パニックになって顔返せとか言い始めてたし。
生活区を越えると、再び通路が多くなる。
ここから先は生活区を維持するための設備などが配置された施設のようだ。
さらに医療系施設が散見される。
ブリーフィングルームに、モニタールーム、待機所、訓練所かここは?
どうやらクモリエルの怪人たちはこの地で暮らしていたようだ。
ほとんどこの地下施設で過ごして地上に出るときはクモリエルとしての作戦行動中だけだったんだろう。
その生活は、洗脳されてたとはいえ、さすがにやりたくない生活だなぁ。
いや、でもサユキさんとかのニートたちの生活も変わりない、のか?
基本外に出るのはコンビニ行くときくらいだし。
っと、この辺り怪しいな。
このドアは、どうだ!
「ぬう!? ここまで来おったか正義の味方共!?」
モノクル掛けた老人、施設内には手術台、ビンゴ! ここにあるな。というかこいつが改造手掛けたドクターだな!
とりあえず洗脳解除!
「ぬお? ええい、いきなり触れてきて何がしたいのだ!」
ありゃ、洗脳受けてない奴か。
「あのーじいさん、ちょっといいか」
なのでとりあえず交渉を始める。
性別変更の改造方法を知りたかったんだが、話を聞くと、爺さんは困惑した顔をする。
「なんじゃい、儂を殺す気はないんか、ちょいと失敗したのぅ」
「は?」
「すまんのぅ若いの。もっと早くお前さんと会話出来ておったら、降ってもよかったんじゃがなぁ……失敗したのぅ」
虚空を見上げ、爺さんはため息一つ。
次の瞬間、全身を泡と化して消滅した。
「は?」
「ヒロキさん! なんか部屋の奥焦げ臭いわ!?」
え、焦げ臭い? ピュアグリーンの言葉にそちらを見れば、丁度施設の重要機械が発火したところだった。
あの爺さん、まさか証拠隠滅しちまってるのか!?
くそ、資料だけでも……だめだ、紙の資料がねぇ。
機械内だけだから今の発火で使えなくなっちまってる!?
重要データぶっこ抜くのは、無理? ああクソ、すでに破壊済みじゃねぇか!?
確かに、もう少し早くに話してればあの爺さん無抵抗でテイムされたかもしれん。改造しまくりたい系のマッドサイエンティストだからスレイさんと話し合いそうだったのに。
「クソ、貴重な資料が!?」
「ええい、まだだ、まだ可能性は捨てるでないわーっ」
スレイさんが慌てて火花散らす機械へ突撃。
何かを差し込みキーボードを叩きだす。
「動け、動け! 行けるはずだ。まだシステムは死んでない! できるだけ、できるだけ手に入れ……」
「危ねぇ!」
危機察知反応。俺は即座に動いてスレイさんの首根っこを引き寄せる。
そのまま後ろに思いきり飛んでスレイさんを庇う。
体を捻ってスレイさんを後ろ庇ったところで、機械が爆発。
爆風にあおられ、ピュアブルーの胸元に顔から突っ込んだ。
「にゃぁ!?」
突然のことに驚くピュアブルー。貧乳だが確かな柔らかさ、俺はこういうのも好きですよ。あ、嘘、待って待って、そこのマンホール振り上げるの待った!?
「この、スケコマシがぁ!」
「ぬおぁ!? っぶねぇ!?」
今の避けなかったら俺の頭がべっこり二つに折れ曲がってたぞ!?
しかも避けたおかげでスレイさんの後頭部すれすれに落下して来たし。
「チッ」
「マイネさん、今のはただのラッキースケベ、俺、悪くない」
「おだまり危険人物。悪くないとかいいながらスレイちゃん抱きしめたままじゃない! さっさと開放しなさいよ!」
「っと、そうだった。大丈夫かスレイさん?」
「は、ひゃい……」
顔真っ赤じゃん。大丈夫? マジで今のやばかったもんな。っていうかちゃっかりデータは手に入れたらしい。さすがドクター。転んでもただでは起きないな。




