1045.秘密結社クモリエル攻略作戦9
【ヒロキ君、そっちはどうかね?】
「怪人の群れが来たとこっすね、っていうか、バイアスロンさん!?」
表の部隊にどうやら正義の味方で余裕があるメンバーが助っ人参戦してくれたようだ。
その代表としてキャプテンバイアスロンが来てくれたらしい。
彼が来てくれたなら向こうはもう安全だな。
ヒーローの最高峰が来たんだし、負ける要素が見当たらん。
なら、表の部隊は放置で良いだろう。あとは、ブラッククラウド将軍とお付きの怪人たちを撃破するだけ。
つっても怪人たちが百体くらい出てきたんだけど、これ、勝てるかな?
最悪トンカラトンさん送り出すくらいしかないけど。
誰か死亡したらその方法も視野に入れるか。
「ちょっと、ブラッククラウド、この卑怯者! 私と勝負なさいよ!」
「なぜ貴様のような雑魚と戦ってやらねばならん? さて。こうなってしまったからには、準備を整えねばなるまいか」
ブラッククラウド将軍はそう告げると、踵を返して奥の道へと去っていく。
多分イベントで首領近くの広場で中ボス戦するために引っ込んだんだろう。
ま、その辺りはどうでもいいや。まずは表の正義の味方たちがクモリエル本社に侵入し始めてるから彼らとの合流を目指す。
そのためにこの怪人の群れを撃破しなきゃなんだけど……
なんか効率のいい方法ねぇかな?
えーっと……
「そういえばヒロキさん。確か地蔵菩薩にスキル貰ったとか報告会で言ってませんでしたっけ?」
合流して来た格ゲー少女に言われて思い出す。
「ああ、洗脳を解くスキルだけど?」
「怪人って洗脳されてるんじゃなかったでしたっけ?」
……ああ!
それはまさに電灯がともるような感覚での閃きだった。
スキルは選択式だったので使用を意識する。
すると、使用方法が視界の片隅に白文字で現れた。
なるほど、相手に触れて洗脳解除と告げればいいのか。
つまり、怪人に接敵しないといけない訳だな。
「スレイさん、フォロー頼む。敵の動き止めちゃって!」
「了解!」
無数の触手が怪人たちに絡みつく。
痺れる一撃を喰らった怪人たちを片っ端から手を添えて洗脳解除。
ほいほいほいっと、これで効果あればいいんだけど。
よっ、はっ、ふにょん。おっと女性型怪人さんの胸に触れちゃったい。
ありゃ、およ? なんか、この周辺女性怪人さんが多いな。
ラッキースケベが発動してるのか触る場所がいちいちセクハラになってるけど、洗脳解除するためだから仕方ないよね。
最後に転んだ怪人に足を取られて獣人型女性怪人の胸に顔から飛び込む。洗脳解除っ。
「あ、あのー、ヒロキさんがエッチなことしてますが……」
「豚のレバーの炒め物君は知らない? アレがヒロキのラッキースケベよ。最悪よね」
「あの状態の時に近づくとこっちにまで被害来ますからね。気を付けてください」
「いや、僕男ですし」
男にまで見境なくラッキースケベ発動する訳ないだろ。まったくも……ん?
ふにゅり、触れた胸の主、猫型獣人の顔を見て、俺は固まった。
衝撃の余り胸を三度くらい揉んでしまったが、それも仕方ないことだった。
「ぴゅあ、ぱーぷる?」
「え? パープルきゅん!?」
俺の呆然とした言葉に皆が寄って来る。
怪人たちはほとんど洗脳解除済みか他のメンバーとの戦闘中なので俺やマイネさんの傍には居なかったらしい。
やって来たマイネさんと共に相手を見る。
どう見てもこの顔は、パープル君だ。
でも、この胸の感触はどう考えても女の子である。
「な、なぁマイネさん、男の子って、胸おっきくなるっけか?」
「なる人もいるらしいけど、パープルきゅんは普通の子だからそんなことは、ちょっと待ってて」
と、マイネさんはまさかのパープル君の股間に手を這わせる。
「……ない」
「な、何が、ないんで?」
「シンボルが、男のシンボルが、なくなってる!?」
ちょ、それ存在してたらマイネさん垢バン案件だったのでは!?
―― 確認のためなので今回は見逃すよー、最近バンし過ぎて月読に怒られたし ――
天の声最近よく返答してくるな。
監視されてるみたいで怖いんですが?
え、もしかして今の俺の行動見てた?
―― ヒロキはラッキースケベ無かったらすでに何回バンしてることか。あんま調子乗んなよ小僧 ――
最後の言葉だけドス利かせるのやめてくれません!?
「パープルきゅんが、女の子に……」
「怪人になってるし、これはTS改造って奴か。恐ろしい秘密結社だな、クモリエル」
でもパープルちゃん、猫耳可愛いな。
あ、この耳めっちゃもふもふだ。
「ちょっと何して、あ、これいいわね、普通の猫よりもふもふじゃない」
しかし、なんで猫型なんだろう?
最近俺の傍、猫多くね? 犬は? 犬関連はないのかね?




