1038.秘密結社クモリエル攻略作戦2
「こいつぁとある図書館で見つけた地図だ。こいつにはなぜか様々な組織の本社が書かれてる。本来見せていいのかわからんが、一応ヤバそうなら天の声辺りから待ったがかかると思うんだが、ないから大丈夫だろ」
―― それ設置したの人間の運営だし、こっちゃ関係ないんで ――
まぁそんな感じらしい。
「今俺たちがいるのがここ、んでクモリエル本社のある場所がここだ」
「あそこは有名な会社がある場所じゃないか?」
「確か天候を調べる、ウェザーディバインサイトカンパニーだ」
「おいおい。そりゃないだろ。あそこは政府公認の優良企業だぜ?」
「でも、もしもクモリエルの本拠地がその優良企業だったなら……今まで見つからなかったのも理解できるわ。私たち確かにあの辺りでよく見失ったりするでしょう?」
カイセイジャーの五人が口々に意見を言い始める。
俺の告げた場所に襲撃を仕掛けるか否か。
特に下手に突けば自分たちが国から犯罪者扱いを受けかねない大手企業へのカチコミだ。
怪人や戦闘員が匿われていると証明できなければ、潰されるのは自分たちになってしまう。
「と、皆さん二の足を踏むだろう、と思ったので俺の方から作戦を持ってきました」
「え、ヒロキが?」
なんだよマイネさん。俺だってちゃんと考えて来たんだって。
「まず問題点としては相手が優良企業であること、証拠がなければ全て握り潰されるし、正義の味方が今後動きにくくなる、悪人たちがのさばりかねないなら攻め入るべきじゃない。そんな不安を根こそぎブッチする方法は……潜入作戦だ!」
「「「「「潜入作戦!?」」」」」
「そう、俺たちには、とても潜入向きのメンバーが加入した! そう、影女のチヨさんだ!」
「えぇ!? 私ですかぁ」
影女である彼女ならば潜入も容易だろう。他人の影を移動して、潜入してほしいのだ。
「やって、貰えないかなチヨさん?」
「そ、それはー、その……わかりました! チヨ、がんばります!」
「なんだろ、私チヨさんの姿見えないはずなのにくのいちっぽく見えて来た」
なんでだよ!?
「それから蛙娘さんは壁を伝って重役さんたちの会話を壁から盗み聞きしてほしい。情報収集だ。他のメンバーはこれまで通り奴らの本拠地への道を探すってことで、どうだろう? いわゆる大規模な囮ってやつだ」
「ふむ。確かに彼女なら気付かれにくいか……」
「チヨさん、仲間になって貰って早速で悪いんだけど、クモリエルの怪人、または戦闘員の捜索、ピュアパープル君の捜索、あとクモリエルに関係ありそうな人間の洗い出し、お願いしてもいいかな?」
「が、頑張ります!」
いやー、丁度いい時に丁度いいメンバーが入ったな。
まぁニャルさんとかが居ればもっとスマートな潜入とかも出来たんだけどね。
テインさん使えば角を転移しまくれるし、秘密の施設とかすぐに発見してくれそうな気がする。
「で、では、早速行ってきます」
「連絡方法は分かってる?」
「はい、これですね。影に隠して移動するので電話する時だけ気を付けます」
優秀な人材だ。
見ろよマイネさん、本当に使える人材ってのはばかすか魔法撃って森を焼いたりしねぇんだ。ああいう子を言うんだぜ!
「あら、変ね? なんだか今凄くけなされた気がするわ。ちょっとヒロキ、マンホールで頭カチ割らせて貰っていいかしら?」
「それ、俺が死んじゃう」
影女さんがウェザーディバインサイトカンパニーへと向かって行ったので俺たちも作戦開始だ。ひとまずカイセイジャーは今まで通りに探索して貰うのと、プリピュアメンバーは格ゲー少女と豚のレバーの炒め物君を加えて探索。マイネさんはいつメンと共に探索。いつメン、つまりいつものメンバーね。
グレートマンさんとジェイクとキカンダーさんの三人を舎弟にせいぜい囮役しといてくれ。
それから、スレイさん、カルカさん、分福茶釜、シコメさん、ナギさん、鷹閖祝さん、ベーヒアル、クティーラさんは俺と一緒に探索ね。カンパニー周辺に敵がいないか確認で。
「ちょっとヒロキ。なんかそっち多くない? 二人位こっち回しなさいよ」
「いやでも、祝さんとかナギさんそこまで強くないよ?」
「なんでその二人確定なのよ、居るでしょカルカとか、そこの新顔とか」
「クティさんはダメです。俺の傍にいて貰うので」
「いろいろとこの世界を教えてくださるそうなので」
「どういう意味かわからないけど、またあんたが変なことやらかしてるってことは理解したわ。んじゃナギとかいうのでいいわ。足手まといならグレートマンさんが守ってくれるわよ」
え、自分!? と驚いているグレートマンさん。相変わらず無茶振りするなぁ。可哀想に。
ナギさん大丈夫?
「うん。ちゃんと戦えるのは戦えるから、でも、危なくなったら助けてね?」
う、めっちゃ可愛い。助けるよ、って叫びたくなるけど、物理的には無理そうだしなぁ。俺は軽はずみな約束はしないんだ。




