1028.接収、接収♪
ボスと思しき存在退いた部屋には、ドロップアイテムだけが残されていた。
ありゃ、もう一つあるな。これは……あ、またノーデンシスの宇宙船許可証だ。
ってことはノーデンシスこの船にも乗ってたのか。
ノーデンスにも似てるし、何かしら近しい存在か、関係性でもあるのかもしれんが、随分といろんな星人の船に乗ってるんだな。
敵船団の首魁みたいな扱いだろうか?
となるとそのうちドールみたいに世界中にノーデンシスの息が掛かったUFOが降りてくる可能性あったりするか?
あー、おそらくエンドコンテンツの一つとして考えてそうだな。
今は他のプレイヤーがUFOとか宇宙船持ってないからさすがにこれを起動させるのはやめた方がいいみたいだが、このまま進むと普通に年内にイベント発動させかねない気がするなぁ。
ははは、さすがにそれはないか。
さて、とりあえずアイテム回収は終わったし、残ってる生命体は俺たちだけだろ。
ならUFOから降りてこのUFOごと接収だな。
皆に伝えてぞろぞろとUFOから撤収することにした。
「人間よ、礼を言う。正直我々だけでは滅ぼされるしかなかった」
「ああいや、成り行きだったからさ。礼はここを紹介してくれた稲荷さんに言ってくれ」
隠神刑部狸がお礼をしてきたので、稲荷さんのことをよいしょしておく。
よし、全員脱出したな。んじゃ回収っと。
アイテムボックスにUFOを入れて、狸たちと共にぽんぽこ寺へと戻る。
「ところで、なぜ我が寺に?」
「そうそう、ここにいるサユキさんの浄化をお願いしたくてさ」
「もういい加減認めたらええやんヒロキさん。ウチ呪われてへんよ」
「うぐっ」
小首をかしげる隠神刑部狸に稲荷さんが耳打ちをする。
ようやく理解がいったようで、彼はサユキさんに近づくように告げる。
どうやらお祓いをやってくれるようだ。
「ヒロキ殿、せっかくなので其方も受けるといい」
俺も!? ま、まぁせっかくだし受けとこうか。
サユキさんともども寺前の広場中央に向かった俺たち、そんな二人を狸たちが囲みだす。
「いいか野郎共! ぽんぽこ寺お祓い術、腹鼓の伎を開始する!」
腹鼓の伎!?
「いざやはじめや! よーい」
ぽんっと俺たちを囲む狸たちが一斉に腹を打ち始めた。
ぽんぽこぽん。ぽんぽこぽん。
なんですかー、これぇ?
そのまま円を描いて狸たちが踊りながらお腹を太鼓に舞い始める。
盆踊りか何かかな?
隠神刑部狸も狸の縁の一部に入り、一緒に腹鼓を打ちながら、ぽんぽこぽんぽんと踊りだした。
「ほぅ、これは凄い! 儀式魔法か!」
「へー、狸式魔法ってところかしら。ちょっとメモとっとこう」
「しゃー?」
「ぴゅーい」
「はんむ。んー、ポップコーン欲しいわね」
「とか言いつつ目玉を口に放り込んでるじゃないですかー。あら? 救世主様から何か黒いモノが……」
お、おお? 何か靄っぽいモノが立ち上っていくような?
あ、ダメだコレめっちゃこびり付いて……あ、これコトリさんの呪詛だわ。俺と離れないための呪詛だから浄化は無理っぽいぞ。
「そーれぽんぽこ!」
「「「「「「「「「「ぽんぽこ」」」」」」」」」」
それから小一時間。狸たちの饗宴が続いた。
いや、ずっと俺たちの周り回ってただけなんだけどな。
「ふー。いや、踊った踊った。久しぶりにいい運動になったわい」
いや、爽やかな汗拭ってるとこ申し訳ないんだけど、俺の呪詛落ちてませんよ?
「その呪詛は落とすべきもんじゃなさそうだしな。お主を守っているものだ、放置でよかろう」
なるほど、さすがコトリさんの呪詛。知らず俺を守ってくれていたのか。
「それと、やはりそこの雌からは呪われた何かは発見できんかった。ここまでやって出てこんなら呪いはあるまいよ」
そっすか。じゃあやっぱり俺の幸運が仕事してた結果かぁ。
んじゃ幸運さんよ、七不思議攻略するには他に何したらいいんすか?
せめて道くらい示してくださいよぉ。
って言ったところで何かしら反応がある訳でもないんだよなぁ。
まぁとりあえず、なるようになるしかないんだよな。
うし、気持ち切り替えよう。
次はドリームランド。明日以降は明日考える!
とりあえず予定として夜は七不思議攻略を目指す。何かしら妨害があればそれを攻略する。うん、それで行こう。
あと、明日の朝はやることの残り書きだしといた方がいいかもしれんな。
「どうするんじゃヒロキ、あと一つ神社紹介されとっただろ?」
「今日はもういいかな。とりあえず家に帰ろうぜ」
「まぁUFO一つ鹵獲する冒険したものねぇ。私も疲れたわ」
「結構回ったもんなぁ。ウチももう足が棒や」
こいつらいつもあまり運動してない訳だし、もうちょい動かしてもいいきはしなくもないけど、今日は確かにかなり頑張ったし、この後ドリームランドでも頑張る予定だから今回は大人しく帰るとしよう。




