1027.圧倒的侵略
「ヒャッハー、汚物は消毒だーっ」
「ヒロキが調子に乗りだしおったぞ」
「いつものことじゃない。ほら、稲荷様、撃ち漏らし来ましたよ!」
「風狐! 全くわらわらとどっからでもでてくるのぅ」
「出現する敵の数多くない? なんやぁ無限増殖しとる気がするんやけど!?」
「これは条件クリアするまで無限湧きとかか? とりあえず……ボスは居ないみたいだから宇宙船を奪い取るか。メインモニタはこれか? ありゃ? ノーデンシス星人宇宙船搭乗許可証が使えるみたいだ。アイツ凄いな。このUFOも支配下に置けるのかよ。よし、扉閉じたぞ。奥の扉からの敵だけ気を付けて駆逐してくれ」
残りのポコロット星人を駆逐し、俺たちは奥の部屋へと向かう。
いやー、戦力が強すぎたな。
ポコロット星人恐るるに足らず。
そもそも戦いにすらなってなかったけど。
奥の部屋には案の定、牢屋と思しき場所とお宝部屋が存在していた。
おそらくいくつかのUFOは同じような造りで俺たちにとっての即席ダンジョン扱いなんだろう。
UFO自体の接収はノーデンシスみたいな上位存在との戦いで許可証を手に入れてないと奪えないみたいだけど。
そう考えるとノーデンシス倒せたのは運が良かったんだな俺。
さすが幸運先生、いい仕事してます。
このUFOもポコロット星人駆逐し終えたら接収させて貰おう。
いつかリーギグス星人のUFOみたいに使うこともあるだろ。
「わうんっ! 長様ぁ!!」
「……おぅ。まさかおめぇが助けに来るたぁな……」
両手両足を磔にされて牢屋奥の壁にいた狸が告げる。
おお、かなりな数の狸たちが捕縛されてるっぽいな。牢屋が殆どぎゅうぎゅう詰めじゃん。
「隠神刑部よ、随分な姿じゃのぅ」
「稲荷か……わざわざすまねぇな。しくっちまった」
「長様は負けたわけではないのだ! 我々が不甲斐ないばかりに庇った結果なのだ!」
捕虜の狸が慌ててフォローしてくるけど、まぁうん。その辺りどうでもいいんでとりあえず開放するぞこいつら。
狸君が率先して隠神刑部狸を解放しようとするものの、枷を外せないようだ。
方法としてはローリィさんの魔法でなんとかするか、枷外しの鍵を見つけるか、四肢切り落としてルルルルーアさんに回復させるか。一番最後が一番やりやすいのが何とも言えんが、多分コントロールルームで枷外せるだろ。
ちょっと待っててくれ。
足早に宝物庫に向かってアイテム根こそぎアイテムボックスにぶち込むと、そのままメインモニタルームに戻って操作を始める。お、日本語化パッチ発見。よしよし、日本語になった。なんでそんなパッチ入ってるかは謎だけど、使えるもんは使っておこう。
えーっと、あったあった。捕虜解放ぽちっとな。
「長っ!」
「よーし、全員解放じゃ! ヒロキのとこに戻るぞ」
全員の解放が終ったようで、メインモニタルームへとやって来る俺のテイムキャラと狸共。
さて、あとは外に出るだけなんだけど、このモニタ見る限り、ポコロット星人が大量にドアの向こういるんだよなぁ。
ボスキャラも向こうにいるっぽいし、あ、これ使えるか?
侵入者撃退装置起動、っと。
―― 侵入者発見しました、当艦は侵入者撃退高熱処理を行います。乗組員の皆様はメインモニタルームか各所のパニックルームにご避難ください。処理発動は手動となっております ――
あ、それじゃすぐ発動で。
敵に逃げる時間を与える訳に行かないし。
選択した瞬間、背後の扉が閉まってメインモニタルームに閉じ込められる。
びーっびーっと赤い点滅と共に部屋全体にアラームが鳴り響く。
えっと、今どういう状況?
とりあえずしばらく待ってればいいのか?
あ、メインモニタに映してた索敵モニタからポコロット星人と思しき熱源が一気に消えた。
残るは一つ。この熱源は……多分ボスだな。
頑張って耐えていたようだが、数分もしないうちに反応が消え去った。
すると、アラームが鳴りやみ、点滅も収まっていく。
―― 侵入者反応全消失を確認しました。これより艦内冷却を開始します。完全復帰まで5……4…… ――
5秒で完全復帰するのか。優秀過ぎないか?
―― 艦内侵入者の消失を確認、全部屋ロックを解除しました。乗組員移動の際は侵入者撃退装置の起動をオフにしてください ――
言われるままにオフに切り替える。
よし、後はボスのいた場所に向かってドロップが残ってないかの確認だ。
「行くぞ皆」
「どこへ?」
目玉しゃぶりさんの言葉には堪えず扉を開く。
ひしめいていただろうポコロット星人が残したドロップが通路に散乱していた。
全部回収してボスのいた部屋へと向かう。
はっはっは。ボス戦回避してドロップだけ回収しちゃうぜぇ。




