1019.サユキさんの厄落とし1
「戻った……」
選択肢一つ押すだけで戻ってきました。
いや、ほんと一瞬だよ。
何だったんだよあそこ。
「お、ヒロキ遅かったな。だぬはもう帰っちまったぞ」
「ヒロキさん? 随分と時間がかかっていたようですけど、何か用事でもあったんです?」
フェノメノンマスクとリテアさんがUFO前で待っていたので二人に何が起こったか伝えておく。
その間、テインさんがメンバーの人数確認を行ってくれており、クティーラさんはUFOという家を見上げてあっけに取られていた。
つか、どうでもいいけどなんかUFOの前にあった広場、ちょっと狭くなってない?
なんか周辺に家っぽいの建ってるんだけど?
「あ、ヒロキ様、サユキ様たちがミーティングルームで待っているそうです。夜間部は誰が行くんだ、と」
アベイユ星人の一人がその家っぽいのから出てきて告げる。
お前らの家かよ!?
なるほど、俺らが助けた奴らがこの周辺に家建てて住み始めてんのか。
まぁ俺のテイムキャラの眷属だし、追い出す気はないけどさ。
あんまり遠くに家建てんなよ。他人の敷地内に家建ててトラブルになっても俺知らねぇからな。
「あ゛あ゛、ヒロギざん」
うお!? 何だと思ったらあんたニーオス・コルガイとか言うのに侵食された人じゃん!? しまった、手術そのうちしようと思って忘れてた!?
蛇女さんでいいんだっけ、なんかコルガイ成分多くなってね?
「あら、ニーオス・コルガイに取り込まれてるのね。これ、もうそろそろ取り外せない状態になるけど、放置で良いの?」
「いや、放置するしかない状態だな。俺らじゃどうすりゃいいかわからんし。なんかリーギグスたちのせいで融合されたらしいんだけど」
「そう。このまま行くと彼女の人格奪われるわよ」
クティーラさんはなんかいい方法知ってる?
「いい方法、というか、これ食べさせればいいわ」
それ、クトゥルフの肉片なんじゃ? え、違うの? まぁ効果があるなら食べさせてみるか。つー訳で食べてみ。
だみ声になっていた蛇女さんに謎肉を食べさせる。
「私の兄の肉なのだけど」
結局クトゥルフ関連じゃん!?
「ガタノソア兄さまの肉片です、結構貴重なんですよ。兄さまムー大陸に封印されたままなので新しく肉片手に入れるの不可能ですし」
また変なモノを……って。黒と黄色の部分が石化し始めた!?
「ご、ごれ、ば……?」
「私の権限でニーオス・コルガイのみお兄様に石化させて貰ったの」
えぇ、肉食べたら石化すんの!? お兄さんヤバくね?
「元々は視線が合ったら石化とかなんだけどね。ちょっとお願いしてみたの。そこの残りの三人にも食べさせてあげて」
石化した部分は砕けばいいらしいので、ささっと砕いて回復魔法を掛ければ元通りになるらしい。
簡単な回復魔法は覚えているので俺が回復しておいた。
蛇娘さん、自分の人生が残り少ないと気付いて俺に別れの挨拶しようとして声を掛けたらしい。
良かったな、タイミングずれてたら死んでた可能性が高かったぞ君ら。運がよかったな。
丁度クティーラさん連れ帰ったタイミングで声掛けてくるとかほんと一番いいタイミングだったな。
……もしかしてアレか? 俺らがあの変な場所に転移しちまったのってこの幸運を掴み取るために最初に不幸体験させられたとか?
幸運君仕事したんだから、そりゃしゃーない、そう思うしかなさそうだ。
リテアさんとフェノメノンマスクはログアウトするらしいので一旦別れ、俺たちはUFOへと帰還する。
さて、次の夜間の部メンバーを選出しないとな。
そろそろキマリスさんは休ませよう。
あいつなんか最近出まくってる気がするし、重用すると調子乗るからそろそろステイさせておこう。
えーっとお寺参りだし、サユキさんと稲荷さん、ローリィさんは確定かな。あとは……目玉しゃぶりさんと神聖系だしルルルルーアさんとシマエさん連れてくか。
祝さん放置状態な気がするけど、霊体だから下手に寺とか連れて行くとヘンリエッタさんみたいに成仏しかねないからな、今回はこのメンツで行こう。
って、あれ? 今度はツチノコさん2号が一緒に行動したいの? まぁ一人増えても問題ないか。
じゃあこのメンツでサユキさんの厄落とし行っちゃおうか。
時間的にもそろそろ夕闇が降りてくるころだし。
っていうか、もうこんな時間かよ!?
あの謎世界彷徨ってる時間結構経ってたんだな。
そう思うとUFO前で俺の帰り待っててくれたフェノメノンマスクとリテア、めちゃくちゃいい人過ぎるんじゃなかろうか。心配かけたみたいだし、後で何かお詫びしないといけないな。
なんかないかなぁ。ちょうど皆ここにいるし、せっかくだから相談してみるか。
あ、クティーラさん、その近親者の肉はいらないから。あの二人の喜びそうなものって古代関連と薬品関係なんだよなぁ、なんかいいの無い?




