1008.トォーク山脈
洞窟を抜けたら光が、なんてことはなく、地下世界なのでどこまでも漆黒、光差さない暗闇世界の中で、洞窟がついに途切れた。
どうやらどこかの山に出来た洞窟と繋がっているようで、傾斜の山肌に辿り着く。
切り立った崖じゃなかったので一度全員が出てくるまでその場で待機。
「ここがトォーク山脈だ」
「ほー、これが地下の山脈になるのか」
っていうかこの山光ってね?
淡く光る山肌に今更ながら気付く。
ナイトビジョン状態だったせいで光が出てるの気付かなかったぜ。
「トォーク山脈は不浄な鬼火に覆われているらしい。人間はまずこのような場所に来ないのだが、お前たちは普通に来ているからな、ナスの谷に落ちないよう気を付けてくれ。一応、ここから戻った者は誰一人いない、という触れ込みだ」
それだと俺ら戻れないじゃん。
まぁゲームだし普通に戻れはするだろうけども。
しかし、どうすっかなぁ、休めそうな場所ないよな? そろそろ時間的にはドリームランドから出たいところだが。
「この辺に休めそうな場所ってあるかな?」
「一応麓まで降りればシュッゴブという食屍鬼が住んでいる場所がある。それ以外は、休めそうな場所はないな。どうする?」
「リーギグスのUFO使うかぁ」
一応回収しといたし、家として使えなくはないだろ。
あとはアレが設置できるだけの広場の確保かな。
「そう言えばそんなのあったな。安全にできるのか?」
「とりあえずUFO内は安全になるはずなんだけど、ドリームランドだしなぁ。最悪宇宙船に乗って安全な街にでも向かうか」
「安全な街なんてあるのか?」
それ天王星の猫が言うか?
お前の方が知ってるんじゃねぇの?
「一応、町としてはガグの町とささやくものの町があるかな。でもここは多分人間には危険地帯。俺らが休めそうなのはカロスの廃墟かノーデンス神殿くらいかな」
「ああ、なるほど、確かにその辺りが比較的安全か。カロスはタークに敵意を感知されなければ問題はないだろうし、ノーデンス神殿ならば地上の話を手土産にすれば休むくらいは出来よう」
「とりあえず平らな場所見つけてUFO設置だな。宇宙船でもいいけどナイトゴーントに壊されたら嫌だし」
UFOの方は二つ目だし壊れても問題ないかな。
「こっちも夜鬼共がいるみたいだな」
「この辺りは山頂付近だからな、雪が降り積もる辺りまでは奴らの縄張りだ」
地下世界なのに雪、積もるんだ?
「ん? 何か来ますよ?」
「チッ、夜の群れだ。地上の方なら夜以外出てくることはないが、地下だとどこにでも出てくるぞ」
「触れられると恐怖を食われるからねー。触れられないよう気を付けて」
俺ら恐怖してないから貰える恐怖量も少ないだろうに。
久々の人間ってことで集まって来たのかもしれん。
とりあえずレーザーで順次撃ち殺していく。
なんかヤバそうな容姿の生物が群れ成して来てるけど、こっちの方が高い場所にいるおかげで撃ち殺し放題だ。
皆遠距離攻撃に切り替えて次々と一斉射している。
「ええい、寄るな寄るなー」
キマリスさんだけはなぜか突撃してモーニングスター振り回してるけど。
あれってどっから持ってきたんだ?
「ひゃっはー。あ、ちょ、待って待って、ボク美味しくないよぉ!?」
捕まってるし、何がしたかったんだあのピエロモドキは?
「ギーァ!」
仕方なく、ギーァが助けに入って周囲を切り刻んでいく。
「あっぶなー、助かったよギーァ」
とりあえずキマリスさんは放置しとくとろくなことしないトラブルメーカーだからコトリさん、アレ遊びそうになってたら腹パン決めて良いんで。
「了解しました。遠慮なく叩き潰しておきますね」
「あれ? ボクの扱い酷くない?」
「自分から捕まりに行く阿呆はこのくらいで良いと思うんだ。結局何がしたかったのキマリスさん?」
「いやー、ボクも魔王の端くれなんだし、あいつら襲い掛かってこないんじゃないかなーって。魔界の深部もこんな感じだし、あっちはボクに対して襲い掛かって来ることはないんだよ。魔族だから」
で、きっちり襲われた、と。馬鹿かな?
「お、ヒロキ、あの辺りどうだ? いい感じに広場になってね?」
「あー、良い感じっすね。さすが未知なるモノさん」
よくもまぁ広場探せたなぁ。この暗闇なのに夜目レベル高いんじゃないか未知なるモノさん。
「今回は地下世界に移動するだけでかなり時間使ったからな。安全性を確認したらここでドリームランドから出てしまおう」
「猫たちはこの場に残ることになるけど、大丈夫か?」
「まぁ、問題は無かろう。出来るだけ施設内にいるようにしておくさ」
猫たち勝手に外出てそうだけど、まぁ中にいるつもりなら問題はないかな。
んじゃ、UFO設置してドリームランドから撤退しようか。




