100.新居
「おおーっ」
宇宙船に乗り込んだ俺達は、内装を内見して思わず感嘆した。
一部屋一部屋が広い。
さらに前衛的デザイン。
宇宙的で神秘的でメタリックな内装、さらに床面は絶えず靄のようなものが漂っていて床の汚れが全く見えない。
とりあえず自宅になった御蔭で宇宙船内がマップに出て来たので自分の部屋を決めて寝具などを適当に配置する。
その間に他のメンバーが各地に散って自分の部屋を適当に決めていく。
うん、まぁこのマップに書き込んで行くか。
とりあえずここはキッチンルームにして、隣が皆で食事が取れる場所かな。
「ハナコさん、こんな感じでいいかな?」
「ええ。それとせっかくだしお風呂とかトイレも設置したら?」
「マネージャーさーん、ディーネの部屋決めたんだけど大きな水槽か浴槽が欲しいっ。水一杯張りたいの!」
「おらも水場があった方がええだ」
「ちょっと、この部屋広すぎるわよ。私用のドールハウス買ってきなさいよッ」
「ふむ、せっかくじゃしここに神社の社をこさえるのもいいな。せっかくだし盛大なモノに改造するかの」
「部屋は決めたんだけどさーダーリン、改造用の部屋貰えないか?」
「部屋、好きにしていいの? 巣作りするよ?」
皆思い思い好き勝手過ぎません!?
「ディーネの歌歌える場所もほしいっ!」
とりあえずコントロールルームでいくつかは変更できるみたいなので、特設ステージ部屋と怪人改造部屋、部屋一つ丸ごと風呂場にした大浴場。あと巨大水槽を設置したディーネさんの部屋と浴場と同じ作りで水風呂にしたネネコさんの部屋。それと神社?
うん、この位でいいかな?
「ドールハウスって売ってるっけ」
「玩具系売ってる場所探せばあるんじゃないかしら? あとは、へファイで頼んでみる?」
「折角出来た信頼が地の底に落ちそうなんですが?」
「またお得意の輝君聞けばー? あ、おねーさんはヒロちゃんの部屋でいいわよー。そこらへん駆けまわってるかヒロちゃんの寝顔見てるから」
それはそれで恐いのですが?
でもまぁ輝に聞くのは王道か。
ただ、もうすぐイベントだしなぁ。
「挨拶行くのかヒロキよ。せっかくじゃしワシも同行するぞ? この近辺の神々に挨拶せねばな」
「神様ってそんな居るの?」
「道祖神に山神、土地神、泉神、八百万の神々は様々な場所に宿っておる、本気で挨拶回りをしようものなら一生を使っても回り切れんわ。なので土地神と周辺の有力神の場所でも行こうかの」
「あと地図に書き込まれた有力な存在に挨拶回りか」
折角なので何かお土産みたいなの持って行きたいな。何かあったっけ?
……ないな、とりあえず買い物行くか。
全員引き連れ商店街に向う。
とりあえず残しておいたレーザー銃いくつか売ってお金に変えてっと。
NPCのおばちゃんにメリーさん見せながらドールハウス売ってるとこないか尋ねてみる。
さすがに知らなかったけど、お土産物屋は知っていたのでまずそちらに向う。
いくつか土産の種類があったけど、とりあえずそこまで高くなかった土産を数点買っておく。
あとはイベントで使いそうな油揚げとかキュウリとかニンジンとか買っとこうかな。
その足でとりあえず近場から挨拶回りする事にする。
「まず向うべきは土地神じゃ。神の居る場所はワシが教えられるからの、そろそろ着くぞ」
稲荷さんに付いて山の中の小さな神社にお参りする。
白兎を祭ってる神社らしいのでニンジンをお供えしてご挨拶。
なんとなく買ったニンジンが早速役に立つとか、俺の運勢どうなってんだ?
ゲームに使うより現実で使ってほしいんだけど。いや、彼女とかはいいんだハナコさんがいるし。
次に有力な存在が居る場所へと向う。
一人目はどうやらピラミッドに住むなんかヤバそうな存在だ。
正直対面した時は生きた心地しなかった。
とりあえずファラオさんと呼んでおくけど、正式な挨拶は輝君に作法とか聞いた後で改めてする予定だ。
下手な事すると不敬で死刑とかなりそうだったし。
もう一体のヤバい人外さんは妖怪だった。
実際にそいつに会うことは出来なかったものの、部下の鬼にお酒を手渡しして挨拶を終えることに。
さすがにレベル差があり過ぎて鬼相手に正面突破する気にもならなかったよ。
雑魚鬼だけでレベル50とか、ヤバ過ぎだろ大江山……
ふふ、まさかの近隣の有力者の一人が大江山の酒呑童子とは。
というかここらの人外さんいろいろ混ぜ過ぎだろ。
なんで酒呑童子とミイラなファラオさんが同じ地域に存在してるのか。
新居、前途多難ではあるまいか?
ただ、茨木童子とかファラオの側近さんとか可愛い女の子らしいんだよな。
会うの少し楽しみである。べ、別にテイム期待したりとかしてないからっ。




