表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1009/1104

1005.ングラネク山の生物

「ところでングラネクからどう行くんだ?」


「とりあえず私たちが見て来た感じだと、中腹までは行くみたい」


「ナイトゴーントとかが出るから気を付けてくれ。拉致されればナスの谷に捨てられるぞ」


「あいつらはノーデンスに仕えてるからねぇ、ウチ等だと敵認定してくるんだよ」


 ニャルさんの場合奉仕種族も普通に攻撃してくるよね?


「はっはっは、んなばかな?」


 すっと視線を逸らす土星の猫。ほら、やっぱり。

 多分猫化状態だと気付かれず、地球の猫死ねぇ、みたいに襲い掛かってると思われる。


「ここがングラネク山?」


 雑談しながらアンダハドからングラネク山へと向かうと、異形の生物が数体襲い掛かって来た。

 まぁ今いるメンツ相手には実力不足なのでティリティさんとテインさんにより瞬殺されたけど。

 なんていうか、護衛が大量にいるピクニックみたいな感じだな。

 俺の傍にはピッタリ寄り添うコトリさん。本来結界とか張る作業を行っている彼女ですら、今回は完全に休日モードである。


「おー、すっげ、顔に見えるなアレ」


「さすがにでっかいある」


「登るところってあるのこれ?」


「れっつロッククライミン! なの」


 クライミングじゃないのか。

 というか、ほんとに登り口も何もなくね?


「なに、そこまで急斜面というわけじゃない。ついてこい」


 テインさんを先頭に、俺たちは道なき道を登っていく。

 どうでもいいけど、少し前も山登りしたよなぁ、俺。しかもめっちゃ面倒な急斜面を登り切ったら山姥とばったりだぜ。今回はそんなことにならないことを祈るよ。


 しばらく昇っていくと、歌が聞こえ始める。

 なんだろー、と思っていると、急になのさんたちが突出して歩き出そうとし始める。


「チッ、催眠音波だ。歌声を聞くな!」


「いや、テインさん。さすがに歌は聞かないとか無理だろ」


「土星の猫、お前なら出来よう?」


「仕方ないな。人間は精神耐性にもろくて困る」


 どうやら土星の猫が魔法で結界を張ってくれたようだ。

 りんりんさんレイレイさん、なのさん、案内人君といった面々があれ? っと正気を取り戻す。

 歌を聞いて催眠状態にされたらしい。


「敵か?」


「ああ、おそらくマガ鳥だろう」


 まが?

 

「綺麗な羽をもつ小さな鳥だ。歌で捕食相手を催眠するのだが、普段は自分より小さいモノしか襲わんはずだ」


「まぁここに猫とか猫とか猫がいるからそっちを求めたんだろうねー。かかったのはりんりんたちだけど」


 ニャルさんの言葉でようやく理解する。

 なるほど、本来狙った獲物とは別の人間が掛かったのか。


「ほれ、あいつらだろ」


 マイノグーラさんの指さす先、わざわざ山肌まで降りてきて獲物が近づいてくるのを待っている綺麗な鳥が一羽。

 まだ歌っているようだが、その歌声は結界のおかげで俺たちまで届いていない。


「せっかくだしちょっと狩ってくるか」


「うぅ、反撃したいけど結界からでるとなのでは操られるの!」


 レベルが足りないのかね?


「基本魔力対抗値が相手より低かったら催眠されるぞヒロキ」


「なるほど、この中だと、りんりんさんより抵抗値が高くないといけなくて、未知なるモノさんくらいの抵抗値があれば催眠されないってことか」


「俺の場合すでに捕食した何かのおかげじゃねぇかな?」


 あ、それもあるのか。


「おーっし仕留めた! ヒロキ、アイテムボックス突っ込んどいてくれ」


 ドロップしたアイテム持ってきたマイノグーラさんが俺に手渡してくる。

 自分のだろー、まぁくれるなら貰うけど。


「たすけてー」


 お? 今度はなんだ?


「女性の声、だな」


「助けなきゃ!」


 と、走り出そうとしたりんりんさんの首根っこをむんずと掴む。


「ちょ、ヒロキさん!? 首締まったんだけど!?」


「失敬。つかこんな場所にまず人はいねぇ」


「索敵にも人型の生物はいません!」


 案内人君の言葉でようやくりんりんさんが押し留まる。

 ねぇ、俺の言葉聞いてくれなかったの? 案内人君の言葉は信じるのに?


「マンティコアだ!」


 うおぉ!? 逆落としだぁ!?


「たすけてーっ」


「にがすかーっ」


「ぎゃー、たべないでー」


 人の顔をした四つ足の化け物が三体程、どこからともなく現れ斜面を駆け下りてくる。

 

「うっわ、クリーチャー」


「キッモ!?」


「マンティコアちゃんじゃん。かあいーねぇ。確かフルフルとかがペットとして飼ってたんだよ」


 キマリスさん、今その情報居る? というかアレをペット? アミノサン以外にそんな趣味の奴いるの!?

 とりあえずアレならやれるな。

 俺はレーザー銃を引き抜き迫る魔物たちへと引き金を三度、引き絞る。


「ぎゃ!?」


「おひ?」


「おいしーっ!!」


 おっし、全員眉間撃破!


「おいおい、全部命中かよ!?」


「ヒロキさん命中率おかしくない?」


「さすがヒロキなの! あなたがなののだーりん?」


「それは知らんがとりあえず金目当てじゃないなら付き合うのもやぶさかでは……おいなのさん、目がドルマークになってんぞ!」


「おっと。失敗なの。こっちだったの」


 ああ、アバターの自動表情変更システムか。決まった動作をあらかじめ登録しておいてボタン一つで同じポーズや表情を見せられる奴。

 いつドルマーク視線仕込んだんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ