ハイヒール
下駄箱の前でジャンプしている彼女
最初は何をしているのか分からなかった
1番上の下駄箱に届かないらしい
奥に物が入ってしまったみたいだ
僕は
下駄箱の物を取ってあげた
彼女は
下から僕を見上げて
「ありがとう、キミ大きいね」
なんだ、小さいくせに偉そうだなぁ
第一印象だった
それから、なんとなく挨拶をするようになった
「おはよう、暑いね、バイバイ」
そんな日常の挨拶をかわす
部活はバスケ部
いつも人一倍頑張って練習してる
でも
レギュラーは、身長の高い後輩
「頑張ってね」
と、後輩に声をかけていた
ひとり鉄棒にぶら下がりながら泣いている
「おまえ、なんでこんな所で泣いてる?」
「だって、身長伸びるかも知れない」
「・・・・・・・」
彼は背がとても高い
私は背がとても低い
デートに行っても
お兄ちゃんと妹に間違わられる
映画に行っても
いつもいちばん後ろ
お祭りのライブに行っても
後ろの人が見えなくなってしまうから
いつも離れ離れ
でも
いつも 上から見守ってくれている
初めてのキスは
私はめいっぱい背伸びして
彼はしゃがんでのファーストキス
私はちょっと足がつった
彼は腰をさすってた
ふたりで照れながら大笑い
いつか
素敵なハイヒールの似合う女性になって
少しだけ彼の目線に近づきたいな
もう少しだけ
待っててね。
読んで頂きありがとうございます。