4/8
六ヶ月後の世界
~六ヶ月後~
「おかえり。今日もお仕事頑張った?」
“今日もお仕事頑張った?”
いつの日からだろう。
ハルは毎日、僕にそう尋ねるようになった。
君がいた頃は、そんな事は一度だって聞かれたことは無かったのに。
「洗濯するから、早く着替えて」
「うん」
ハルに言われるまま、僕は脱いだ靴下を洗濯機へ入れに行こうとした。
「あれ?その靴下、左右で違うやつじゃない?」
「・・・ほんとだ」
「もう。毎朝ギリギリまで寝てるから」
「・・・すいません」
最近、ハルと君が重なって見えることがある。
そのことが、なぜだか少しだけ嬉しくて、
なぜだかとても落ち着くんだ。
「何ニヤニヤしてるの?早く着替えてよ」
「・・・すいません」
ねぇ、ユズ。
たぶん、君のせいだろうね。
母親として、そして、女性として、
ハルが君のことをずっと尊敬し憧れていたのを、僕は知ってる。
だからハルは将来、きっと君と同じくらい、
いや、もしかしたら君以上に、
素敵な女性になるはずだよ。
短編です。
一週間、毎日少しずつ更新していく予定です。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。