表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第九章 反復記号と複数線
97/113

騎士として、友として

『私は、私の為に…。貴方は、貴方の為に…!』


澄んだ瞳が、潤んでいくのが分かる。

どこまでも鋭利で、

どこまでも正直な刃。

一度として血を吸った事の無い、純情な刃。


『…、私は…』


だが、それを下す勇気はなかった。

あの人を裏切る事は出来ない。

たとえ、私が死ぬとしても、

私にはあの人が、必要なのだから。

だから、私は下さなければならない。


その全てを、断たなければならない。


『私は…、貴方を、』


―コレガオマエノ世界ダ

死シテナオ必要トサレ

ソノ死ヲ認メラレヌ


―ソレデモマダ、自ラヲ殺スカ


「あぁ、テメェを殺して、処刑される。それが宿命だ」


―オマエハ仲間ヲモ裏切ルノカ

兄妹ノ様ニ、オマエヲ想ウル者モ

過去ヲ封ジ、オマエヲ愛スル者モ

戦友トシテ、オマエヲ信ズル者モ


―ソノ全テヲ、オマエハ裏切ルノカ


「…だから、何度だって言ってやるさ」


幻は、露に消える。

その理を護れないなら、この茶番は必要ない。


「仲間ってのはな、消耗品だ。…覚えておけよ、8bit」


空間が砕け散る。この程度の幻惑如きで止めてみせるなんて、どこまでも巫山戯た野郎だ。嘲笑わせてくれるぜ。


「おい、尻軽。飛べ」

「…階段は?」

「あんな長いの上る気にならん」


あの螺旋階段の高さ。本当に成層圏を突破してるんじゃないか?いや、誇張でもそれはないが、少なくとも雲は突き抜けてる。


「…武藤はどうすんの?」

「さぁな、俺の知った事じゃねぇ」

「…じゃ、飛ばすから捕まっててよ」


―同時刻、OIL AIRS 最下層


「…で、ホントにやるのか?」

「お兄ちゃんは…、止めるだろうけど。私は…、やるよ」


澄み切った声。その震える体を見て、俺は何が出来るのだろう。産まれ落ちて12年。たったそれ如きで、少女は無垢な人々を手にかけられるのだろうか。


「私は、ってのは駄目だな。私達、だろ」

「ムー君は…、嫌なら辞めても良いんだよ?」


いつもの威厳も、小生意気な声も、そこには無かった。

それは、自らを責苦する少女の声。

羨望を、愛情を、親愛を。

その全てを消されても、

自分が悪いのだと自己暗示する少女の声。


「嫌だったら、俺はここまで来てないな」

「…そう、なのかな」

「あぁ、だからいい加減――」


照明を全て点灯させる。

紛れもない守護者(侵入者)が、そこに一人。

抹消するべき対象として、コチラを見据えていた。


「武藤辰吉、で合ってるか?」

「ああ。覚える必要性はないが、な」


殺気が感じられない。

だが、明らかな敵意は感じ取れる。


「ルーシア、隠れてろ。俺がやる」

「俺がやる、じゃない。俺しか殺れない、だろ?」

「…」

「青髪から、エスカの事は聞いた。凛と義妹を手にかける為だけに、国1つ焼き払うとはいい度胸だ」


左腕があまり動いていない。事前情報では、身体能力に問題はないと記憶している。後は、危機時の爆発力だけか。

先のJOKER戦の影響、なのか。


「…お互い、苦労してるな」

「あぁ、お前も年取ればわかるぜ」


突如襲い来る静寂が、嵐の如く舞い込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ