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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第八章 終末思考の金剛珠
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純粋、再臨

「ん…、?」

「起きたか、()()()

「ここ、は…?」

「霧の海、その中腹だ」


体が動き辛い。特に両腕は、上げる事すらままならない。そう言えばなんで寝てたんだっけ…?確かサードちゃんが――


「なぁ、イ――」

「サードは、死んだの?」

「え?」

あの娘(サード)は死んだの、って聞いてるの」


…ヨネか。確かに、サードが死んだかどうか。そんな事に意識を向けさせちゃ駄目そうだもんな。まだアイツは、そんな事を受け入れられる様な状態じゃない。


「多分、な。消えた分のお前らの魂は戻るだろうが…」

「…分かった」


手馴れた様子で、左眼の眼帯を巻き直していく。そこにある筈の傷に、目を向ける言は出来なかった。

布の擦れる音が消えた後、森は呼吸すらしていなかった。


暗い部屋。

暗い世界。

その全てが希望であり、

その全てに絶望を。

我が存在は人間(ケダモノ)として。

我が肉体は化物(ニンゲン)として。

我が魂魄は血獣(バケモノ)として。

他が存在を希望とし、

我が存在に絶望を与えん。


「…随分とまた、遅かったな。」

「苦労して、ここまで辿り着いてやったんだ。感謝の1つぐらい、言ってもらっても良いと思うね」


助けてもらって置きながら悪態をつくとは、流石オリジナルとしか言いようがない。どうせ一人では出られないくせに。


「さて、と。…大体状況は知ってる」

「じゃ、私の役目は終わりか――」

「…?、ちょっと待て」

「…なんでさ」


コイツがここを見つけられたのは、恐らくデバイスの残存記憶を読み取ったのだろうが。それにしたら不可解過ぎるな。

()()残存記憶を読み取れる力を持ってるんだ?コイツ。


「それくらい、自分で考えたら?」

「気付くのが遅かった詫びをしろよ」

「…」

「…ま、良いかね」


気付くのが遅かった、なんて言っているが、デバイスか本体かの違いは殆ど無いに等しい。ノーヒントでここまで来た私を褒めて欲しいもんだね。


『変異隔離ブース第1083-13-B13の無断開放を検知。防衛体制A0957-8番を稼働します。速やかに対象を無力化してください。繰り返します、…』


「あ〜らら、動いちゃった」

「…馬鹿なの?」

「ここまで見つからなかった私をまず褒めてよ!」

「誰が褒めるか厨二病女!テメェの乳搾るぞ!」

「あ〜もう頭きたわホントに!」

「やんのかテメェ!!」

「やってらろうじゃないのさ!!」


能力も使わず、ただ純粋な力のみの激突。

つまり――


「は〜い、私の勝利〜♪」

「この怪力バカめ…」


凛が負ける事は、必然だった。


「…馬鹿騒ぎは、これくらいで十分か?」

「えぇ、このくらいで」


外壁まで一直線に爆破する。我ながら思うが、(オリジナル)よりなんでこんな強くなっているのか分からない。まぁ、それによる弊害なんて無いし、問題は無いから良いか。


ゴミカス女(アホ)の記憶を見た。

だからこそ正さなきゃならない。

(デバイス)の正義も、

ENFORCERの正義も、

その全てが、

俺にとっては愚考でしかない。

日々の安定?

弱者の保護?

馬鹿らしくて笑えてくるぜ。

正義とは何か。

善悪とは何か。

そんな所に執着するから、


―殺人鬼程度に墜ちるんだ


「さぁ、()()()()還してもらうぜ…!」

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