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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第七章 人外鬼畜のBREAKER
81/113

解錠

「どうすんの?」

「障壁を全展開して時間を稼ぐ」

「修理費は?」

「国が出すさ」


壁に沿って建てられた螺旋階段を登っていく。第一障壁の起動。保って1分だな。それまでに第二、第三まで起動して突き放す。


「飛んだほうが早くない?」

「そんな力持ってないんだよ。飛びたいなら先行ってろ」

「おけおけ〜、って痛ッ!」


転げ落ちる前に手を掴む。自分も飛べないくせに何言ってんだコイツ。責めてる時間の方が馬鹿馬鹿しいか。


「飛べない…?」

「良いから行くぞ!障壁が保たん!」


第二障壁の隙間から、修復不可能な程の障壁が見え隠れする。熱の原料はどこなのだろうか。能力なのは言うまでもないが、常時爆熱を発していたら体の方が保たない。


「…あ〜らら」

「どうした?」

「だから帰るなって言ったのに」


第二障壁が溶け始めている。予想よりもずっと早い、いや早過ぎる!中央部分から全体に広がっている。中央?飛べるんだったら最初から飛べばよかったのに。


「加瀬っち、提案」

「手短に」

「槍で上まで登れない?」

「呼んだら来るだろうけど登れないな。兵士各自に戻る様にプログラムされてるから動力源には出来ない」

「結構。JOKER離さないで…!」


足を止めようとした瞬間、急に壁に阻まれる。いや、壁じゃなくて結界…?このタイプの結界って確か…。


「しっかり助けてね☆」

「…、やれるだけやってみるさ」


ガラスが圧迫されて割れる様な音が連鎖的に小さく聞こえる。結界の中だからなのだろう。外は酷いだろうな。


「では、2名様ご案内で!」


気が狂いそうな程の強烈な抵抗と共に、蓄積された破壊エネルギーを推進力として一気に屋上へ舞い上がる。さぁ、しっかり約束は果たさないとな。


「取り損ねるなよ!」


溶けた障壁の隙間を縫って、槍が戻ってくるのが見える。相変わらず速度がおかしい。こんな所に予算を使わずに別の所に使ってほしい。エアコンとか床暖とか街灯とか。


「それ、掴んでるのか?」

「うっさいな、黙れナス」

「分かってるよっと」


取り敢えず屋上には着いた。最後の障壁を起動する。逃亡ルートを考えないと、アイツに殺されるかもな…。まだ死にたくはないし、考えるしかないか。


「取り敢えず霧の海行こう。暫くは隠れられる」

「遠いけど、どうすんの?」

「そん時はそん時で考えるさ」

「最悪JOKER使って時間稼…、JOKERどこ?」

「さっき飛んだ衝撃で転がってんじゃないか?」

「…」

「…」


見当たらない。落としたって訳でもないだろう。それはそれで登るときに気付く筈だ。あの化物が来る前に見つけ出さないと…。


「コレですか?捜し物は」

「誰だ…?この人」

「あぁ、ENFORCER。傷良くなったの?」

「えぇ、お蔭様で」

「実は事情が変わってね〜、ソイツ使わなきゃ駄目なんだ」

「そうですか」

「だからさ、ちょっと寄越してくれない?」


本当に仲間なのだろうか。年は…15?くらい。俗に言う美少女って奴か。眼の色も人を惹き付ける様な深紅――


「おい、女止めろ」

「え?」

「…どうしたんです?私が何かしましたか?」

「いいや…、ただ少し赤眼が気に入らないだけだ」

「コレは生まれ持ってこうなんです。仕方ありません」

「そいつは失礼」

「…ところでENFORCER、早く返してくれないかな」


明らかに先程とは空気感が違う。と言うかあの化物はどこだ?障壁がまだ溶けてないのか…?何故?

ふと、眠っているJOKERの頭が目に入る。アレは…、糸?いや、ピアノ線みたいだな。でもなんでそんな所に…。


「ノヴァ、JOKERの頭に付いてるアレはなんだ?」

「なんの事?」

「いや、あのピアノ線みたいな奴」

「んー…、そんなの付いてないよ?」

「私にもそんなの見えませんけど」

「いやいや、だってほらここに――」


線に触れた途端、何かが流れてくる。その手を離そうとしても出来ない。拘束も強制もされていない。

なのに、どうして?


分からない。

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