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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第七章 人外鬼畜のBREAKER
77/113

もう揃わない集合写真

勝負は一瞬。先に相手に届いた方の勝利。その一瞬が何千倍にも引き伸ばされる感覚。息が止まっているのか、喉奥が乾いていく。

その一瞬が、何故か懐かしい。


「…、分かってるさ」


伸ばしたゴムがその分縮む様に、決着の瞬間は認知出来なかった。左手が折れている。でも、それでも勝ったんだ。


あれ…、なんでこんなに霞んでるんだろ…。


「えっと…、結局何にやられたんだい?」

「分かんない」

「じゃあ人影とかは見たかい?」

「見てない」


こんな小さい娘の聞き込みなんて殆ど無いからな。それにしても、聞き方を工夫するのは基本じゃないのか?


「…どけ、俺がやるから」

「で、でも…」

「嬢ちゃん、俺は加瀬士って言うんだ。加瀬おじちゃんって呼んでくれ」

「加瀬…おじちゃん?」

「名前はなんて言うんだい」

「天廻…、おねぇちゃんがそう言ってた」

「そうか…、そのおねぇちゃんはどうしたんだ?」

「おねぇちゃんはお兄ちゃんの友達なの」


家主には交際相手が居たって意味なのか?言い方的にそうらしいが、どうも違いそうだな。あの家には女物の化粧品とかも無かったしな。


「お兄ちゃんは居なかったのか?」

「お兄ちゃんは仕事だって言ってた。帰ってきたらいっつもジャックちゃんに怒られるんだよ」


上の姉か。確か誰も血は繋がってないんだったな。呼ぶのに抵抗が無いって事は、結構な信頼関係があるんだな。


「お兄ちゃんの名前…、分かる?」

「えっとね…、あかさたなは…りん。凛って言ってた」

「凛?…なぁ天廻ちゃん」

「あ〜ちゃんで良いよ」

「あ〜ちゃん、もしかしてこんな顔じゃないか?」


カメラフォルダーから、写真を探して見せる。2032.5.20。時期がずれても綺麗に咲いた桜を背景に、記念として集合写真を撮ったあの日。

武藤、エスカ、セレナ、俺、田口、佐々実、姫華、凛。

そう言う時の予感は、この20年外れた事は無かった。


「…ルーシア」

『何?』

「マザーが壊れた。逃げるぞ」


誰かの喋り声が聞こえる


『…地道に探すしかないか』

「いや、この嬢は焔の奴だ。凛の事も知ってるだろう」


凛…、頑張ったよね。私は頑張ったよね…


『分かった、出発準備お願い』

「早めに来いよ」

『分ぁってるよ、うるさいな…』


だから…、だからさ…



慰めてよ…、早く泣かせてよ…!

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