NUMBERS-26 WORST
「准尉…?」
「…本部に通達。先の事件の重要参考人として、凛・ライナーズを拘束、事件についての詳細な報告を求める」
「ちょっと待って下さい!同じ部隊員の拘束には参加出来ない規則ですよ!流石にそれは――」
首を掴んだまま、地面に叩きつける。抵抗すればそのまま昏倒させて、無許可で捜索してやる。コレは仕事だ。仕事である以上、そこに私情は挟むな。
「命令だ、もう一度言う。通達しろ」
「ぐッ…、嫌です…!」
「…そう」
力を強める。暫く抵抗していたが、時間が経てば経つ程動きは緩慢になっていく。流石に息の根までは止めないが、意識の元は止めさせてもらう。
「凛…、」
思わず泣き出したくなる孤独。セレナも、武藤も、凛も居ない。だからって、それを言い訳にはしない。1人でも多く助ける。それが、自分にとって不都合だとしても、私は選ぶ。
エレベーターの降音が聞こえる。急いで捜査官を引き摺り隠れる。今バレてしまえば、私まで追われる羽目になる。そうなれば、完全にリヴェルは機能停止してしまう…。
「…結構駄目そうな雰囲気だな」
「いいから黙って探してよ」
「止めといた方が良いと思うけどなぁ…」
直後、騒音とも呼べる程の金属音が鳴り響く。ドアをこじ開けた、と言う事は真っ当な要事じゃ無さそうだ。
「ホントに探せるのか?こんな機械で」
「情報自体は絶対あるよ。軍の機密事項以外はほぼ全て記録される仕組みだし」
「で、先ずは誰を探す?」
「凛・ライナーズ、だね」
「凛…」
「誰だッ!!」
無意識で言葉が出てしまう。ドアをこじ開けて入ってくる様な輩だ、関わっていい筈が無い。だが、バレてしまったモノは仕方がない。上手く行けば、気絶と破壊行為を全て押し付けられるかもしれない。
「どうも、無知な姫君と騎士」
「姫君…」
「2.3だけ質問させてもらえないかな」
「…どうする」
「聞いてどうするの?」
「そりゃあ勿論――」
背中の剣を引き抜く。鉛とも鋼とも似つかない、刀身どころか柄まで全て錆び付いた刀。そしてそれでいて、全くと言っていい程年期が感じられない鞘。
「この場で拘束する」
「…行け、ルーシア」
「そうさせてもらう」
ルーシア、と呼ばれた娘はその言葉通り速攻で逃げ出す。追いかけなくても別に良い。この男を拘束すれば、自然とあの娘は寄って来る。
「見逃してはくれないのか?」
「勿論、する訳ないでしょ?」
そう言いながらも、A-VOLT構えてるって事は、最初から抵抗する気満々だって意味か。面倒なヤツ。
「じゃあ、死ぬかもしれないな」
「私が?随分と舐められたもんだね」
「はっ、アンタの心配なんざしてねぇさ…」
戦力差は歴然。それ以前に同じ土俵にすら立てていない。それを自覚した上で立ち向かう。
余程の阿呆か、とんでもない異常者だ。
「ALPHABET RIVELE隊長兼准尉焔人エスカ。名前は」
「焔のお嬢か…。参ったな、こりゃ」
「良いから、質問に答えな」
渋々とジャージを脱ぎ、腰に巻き付ける。背中には、大きく
『NUMBERS-26 WORST』
の文字。
「イデアシア皇女専属 CLASS-WORSTワズムルド・オーデイン
…アンタとは、気が合いそうだったんだがな」
「同感、だね」




