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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第六章 画竜点睛の絵描き主
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生誕否定

少し前…


「おい、ENFORCER。勝算は」

「有るから従ってるんです。貴方達戦闘狂と一緒にしないで下さい、面倒なので」

「そんな物かねぇ」

「そんな物です」


何か出会う度に無礼が増してくるのは何故なんだ畜生め。JOKERを何とか出来るのはENFORCERと青髪だけだからな…。これくらい目を瞑らないと機嫌が良くならない。


「それにしても、よく出て来ませんね」

「アイツからしたら変わらないんだろうよ。…恐らく、俺らの作戦が筒抜けだかなんだか知らんが、お前が来る事は知ってるらしいからな」


恐ろしく頭まで回ってやがるしな…。障壁を閉じたのは、未龍との干渉を避ける為だろうし、気付いていると言うアピールも有るかもしれない。何が言いたいかって事は、結局人間なんだなって。


「着いたぞ。…一応援護はするが、期待はするな」

「始めから有りませんよ」


最悪だなこの女。性格が根本から歪みきってる。俺が嫌いなタイプに他ならねぇや。

最前防護壁を解錠する。真冬の感覚だ。喉の奥が貼り付くような、乾いていく感覚だ。乾燥した空気は、電子を貯めるのに最適な環境だと思っている。

その空気の中、空間が薄く渦を巻くように見える存在があった。電子が可視化されている様に思える程に、その存在感があった。


「やっと、来てくれたんだね」

「えぇ、修正しないといけないですから」

「貴方も来てくれたんだ、武藤さん?」

「直接対面は久し振りかな…。前は親父としか対面してないし」

「あの腐れ親父は来ないよ。だから…」


空間が物質化していく。ブロックを組み立てる様に、剣が柄の方から徐々に出来上がっていく。と同時に、空中に砲台が、体に装甲が組み立てられる。

まるで芸術だ、命が掛かってなかったら称賛物だってのによ畜生…。


「ここまで来たって事は、勝算は有るらしい」

「まぁ、ね。じゃなきゃ、俺もコイツもとっくに逃げてるからな」

「給料はしっかり払って下さいよ、私も生きてるんですから」


生きて帰れるかが分からねぇのに、よくもそんな事が言えたな。まぁ、しっかりやれば払うけど。


「…アイツがこっちに来る前に、さっさとケリ付けようか」


ENFORCERが踏み込む。そのまま剣を薙ぎ払おうとした刹那、急に仰け反る。見ると、先程まで頭があった場所に弾丸が飛ばされている。あの砲台は、そんな小細工の為に造ったのか?

流石に防戦が始まってしまう。しかしそれは負けに近付く。弾丸などいつまでも避けれるモノでは無い。何とかして砲台を破壊しなければならない。

いや、果たしてそうだろうか。アレは無から作られた。つまりいくら破壊しようが無駄ではないか。しかしさっきの状態を見る限り、再構築まで時間が掛かるのだろう。…それに賭けるしか援護が出来ない!


「…、」

「ッ!!」


間一髪の所で弾道を反らす。昔から石とか網なんかは当たらなかった。だが弾丸となると厄介だ。アレは投擲物じゃ無い。弾道が見えはするが、あくまでも見えるだけである。避けるのは自分の意思しかない。


「背中に目でも付いてんのか…?畜生め…」


あの砲台自体が判断しているのだろう。少なくとも近距離に関しては、何かセンサーの様な物が付いているに違いない。今の手持ちでは、遠距離からの破壊は不可能。


「意外と無傷なんですね」

「伊達に対人してねぇからな…、畜生…」

「あんまりそう悲観する事はないですよ」


何となく言おうとしている事は判っている。だが、現実にソレがない以上何を言っても無駄だ。


「…そうですか、残念」


左右に跳び退き、一気に距離を詰める。左右からの攻撃は、戦闘慣れすればする程耐性が付く。本人も意識してないのにも関わらず、素人の拳を読むのと原理としては一緒だ。現実として、上体が少しずつ動くのが分かる。

だがソレは原理としてだけだ。


「…ッ!?」


人間には考える脳がある。世界がループしないのも、その杜撰な人間のせいだ。前通じたから今も通じるなんて、思考が甘いとしか言い様が無い。

確かに俺は左手側から攻撃した。だがあくまで攻撃開始が左手側である。ド直球に攻撃する馬鹿はただの命知らずなだけだ。背中側の固定器具らしき鎖を引き千切る。確かに気休めにしかならないが、この気休めが戦力として変換される。


「さぁ、続きをしようや――」


突如、障壁が崩壊する。黒い影が蛸の様に蠢いていた。

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