2035.2.13
「セレ…ナ?」
「…懐かしいと思わない?また、ここで会うなんて」
余りにも違う空気、余りにも違う気配の中に、いつか感じた優しい声が響く。だが前と違う哀しみが含まれた音だった。
「もう…会ってくれないの?」
「…今は貴女が居るじゃない。私が居なくても、…貴女が居るならそれで良い」
「そうやって責任から逃げてるだけでしょ?凛の為に何も出来ないからって、そんな風に思い込んで…、皆から逃げ続けてるだけでしょ?!」
あの時出す事が出来なかった、無駄な言葉。
「何も出来ない…?!それは貴女でしょ!いつも凛にくっ付いて、自分は何もしないくせにッ!!」
「違うそんな事言ってない!!」
「さっき言った!!自分を棚に上げて!私を批判するの?!傲慢にも程があるッ!!」
「セレナこそ聞いてよ!何で?何で聞いてくれないの?!前だってそうだった、私にも、武藤にも、凛にも!!誰にも相談せずに一人で消えたッ!!
そんな奴が傲慢なんて言えたモノか、薄情者ッ!!」
産まれ持った世界が違うのだ。セレナにはセレナの世界が有って、エスカにはエスカの世界が有る。だが、人間とは世界をも変えるのか。いや、異常なだけなのだろう。
人間が最も嫌悪するのは、結局同じ様な者なのだ。
「…もう2度と会わないさ」
「待って!話を聞いてよ!!」
手は届かない
あの頃は戻らない
席を奪ったから?
甘え過ぎたから?
私が消えるまで、戻ってこないのか?
結局、
私が嫌いなだけなんだ




