魔女、再来
「焦げたニオイは好きじゃないんだけどな」
「どうして?」
「何かあの場所思い出す感じがするからねぇ」
「んー?」
アレだろうか。核爆発があった所で見つかったからなのだろうか。確かに物は焼けたりするのだろうが、放射線とかは大丈夫なんだろうか。疑問しか沸かないのも不思議なモノだ。
「凛から色々聞いてはいたが、間近で見るとエゲつない物だな」
「キャンプファイアとかも出来るよ」
「応用が効いて何よりでごザマス」
確かに能力面では物凄く強そうには思えるよ。触れたら即死だし。でも素が弱いと不意打ち以外出来やしないからさ。コッチだって不意打ちに弱いから、もうメチャクチャ。
「それにしてもまだ着かないのかね…。結構上った気もするんだけど」
「確かに眺めも良、…い?」
遠くから大量に押し寄せる未龍達が見える。しかも本来なら同士討ちする筈なのに、何かに惹きつけられている様な感じだ。
とにかくここに入れる訳にはいかない。登るまで待てなんて言われたが、そうも言ってられなそうだ。腹括ってもらわなきゃね、男なんだし。
「ノヴァさん、引き返すよ」
「…それなら、任せて下さいな」
突然襟元を掴まれ、窓を破壊して外へ出る。避難指示の事をちゃんと覚えててくれたんだ。結構優しい所有るじゃん?
『おいテメェッ!!一体何考えてやがんだ!』
「何ってこれから避難指示を…」
『何で障壁を起動出来た!』
「良いじゃん作戦内だよ?」
『俺はまだ許可信号出してねぇぞ!』
「は?!」
慌てて手元のリモコンを見る。確かに電池は入っているが、許可ランプが点いていない。つまり、このリモコンに主導権は存在していない。障壁の起動なんて出来ない…。
「多分JOKERが点けたんだろ!?」
『…そうか、だったら分かった。お前らはそのまま避難指示を出せ。従わなかったり、反逆するのなら…』
「…そんなヘマはしないよ。アンタ達じゃないし」
『じゃあ、切るぞ』
先ずは近い所から誘導をしよう。逃げる方向の街は人に任せるとして、その残りを追い立てれば良いのかな。
「ノヴァさん、アッチの街お願い!」
「了解、!?」
明らかに落下スピードが上がっている。つまりコレは重さが増えたと言う意味で、突然増える事は絶対にあり得ない。と言う事は残る可能性としては…。
「お話は済んだ?NUCLEAR」
ノヴァさんが下になって落ちているので、上を見る事は出来ない。だが、一声で分かる。台詞で分かる。態度で分かる。
「相変わらず悪趣味な奴にしか使役されないんだね…!」
「私は創造主の為に動くの。それ以外なんて無いわ」
「出来損ないの駄作風情が笑わせるじゃないの、えぇ?」
「ノヴァさん!」
「…分かった」
地面ギリギリで、これまでの速度をピッタリ帳消しにするくらいの力で打ち上げられる。ノヴァさんはしっかり受け身をとって着地。私も問題ない。
「私の分も、宜しくね☆」
「後で残業ですからね」




