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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第五章 覚醒無垢の簒奪者
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試合放棄

「作戦時にさ、ENFORCERはどこに居るの?」


エスカが聞いてくる。さっき会議出たばっかりの筈なのに、もう忘れてやがる。


「手錠着けて一番目立つ所、つまり現地司令部だな」

「下手したら巻き込まれない?」

「巻き込もうとしてるんじゃないかな…」


味方を殺させ、感情的にし、更に戦力の増強を図ろうとしているのではなかろうか。俗に言う敵討ちの理論だと思う。そんなモノの為に殺される向こうの身にもなって欲しい。…まぁ、出来ないからこんな事をするんだが。


「今回は、お前らも前線部隊。…しっかり働けよ、サボるなよ」

「私も?」

「お前も…って帰れ!」


ここに寄生して早10日が経ってしまった。馴染んでしまっているのが気に食わない。因みに追い出された時は補導されてた。


「でも、多分無理だよ」

「何がさ」

「ここの全戦力を上げた所で、活動停止までしか追い込めない。対して被害は甚大の可能性は十二分にある。多分、次は私でも足元に及ぶかどうか」


サラッと恐ろしい事を吐きましたよコイツ。そんな蘇生したら強くなるなんてご都合主義能力有ってたまるか。


「いや、強くはならないよ?」

「は?」

「そもそも今は分離体だよ?本来の力より低いのは当たり前。今はね…言わば、リハビリ中って所かな」

「…因みに戻ったら?」

「私も教祖も水鳥も、全員揃ってあの世行きだね」


殆ど負け戦みたいなもんじゃねぇか。絶縁体で包まれりゃまだ何とかなるだろうが、本体が馬鹿みたいに強すぎるから意味をなさなそうだな。


「せめてENFORCERを戦場に引き摺り出せれば、まだ何とかなりそうだがなぁ…。恐らく無理か」

「わざわざ囮を渡す馬鹿は居ないからねぇ。最上部はもう避難を始めてるらしいし、私達も逃げた方が良いのかも知れないなぁ」

「そんな事してみろ?俺達全員極刑だぜ」

「そもそも、私は戦えないんだよ?戦力外通告出してくれたって良いのに」

「使える盾は出来るだけ増やす。それが物量作戦だぞ、っと王手」


盾は増え過ぎても使えないが、味方を挟みかつ自らが敵から一番離れている時、肉盾は力を発揮する。逃亡行為を入れずに考えた場合な。


「そういやさ、ENFORCERって強いの?」

「…うん、まぁめっちゃ強かった」

「何か若干引いてるよね」

「そりゃそうさ、あんなエグい殺し方久々に見たぜ?腕とか落ちるのに気付けない様に、催眠掛けてから死体斬りしてたんだぞ」

「私は直接見た事は無いかな…、何か近寄り難いと言うか何と言うか」

「ノヴァさんは強いの?」

「そりゃ勿の論でご、痛ッ!!」


将棋本を頭頂部へと振り下ろす。軽くだから少し痛みが続くだけだが、こうでもしないとボロが出る。確信と偏見を以て断言する、コイツは喋り続けさせちゃ駄目だ。


「さてと、そろそろお呼びの時間だ」

「作戦本部?」

「武藤だよ、武器点検がそろそろ終わる筈。面倒だが行くしかないさ」


緊急戦闘―1時間前―

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