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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第四章 予測不能のアンノウン
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強制捕縛

その言葉が終わる寸前、両者が同時に踏み込み、打ち合いが始まった。

力関係としては青髪の方が高く見えるが、打ち合いは力だけで決まらない。受け流されでもしたら只々空きを見せるだけ。実際その通りになった。速度、精密度に置いて、JOKERの方が数段、いやそれ以上に差が付いている。見た目にそぐわない力を発揮しているが、加速によって生み出される遠心力を強め、大気に対する反発力を極限まで減らす事で可能になっているのか。

予想通り、青髪の方が打ち負けたが、JOKERの息が上がり始めた。相手の力が高ければ高いほど、打ち合いは厳しくなる。

JOKERの追撃を肩に掠めながら、反撃が成功する。音を超え、衝撃波が先に飛んでくる程の威力。人間がすれば間違いなく両者粉微塵。しかし青髪自身の反動を除けば、ダメージを受けたのはJOKERだけだった。


「同種とは思えねぇな…」


戦闘の余波や踏み台で、周囲のテントが軒並み破壊されている。JOKERを捕縛したと言う結果よりはまだマシか。

そのJOKERも移送中に死んでしまうかも知れない。先の反撃で、胃の辺りに穴が空いている。ここに有る救急手段では助かる確率は殆どない。


「形式上だけでも捕縛するか…」

「待って」


青髪が左手を庇いながら声を掛けてくる。仕事だから、みたいな理由で止めに来た訳では無さそうだ。そんな事だったら何も言わずに殺しに来れる筈だからな。


「移送中に死んだとしても、絶対に、通電はさせたら駄目」

「…つまり、死体に対して何もするなと」

「理解が早くて助かる…、そこのヘタレ野郎だったらどれだけ面倒だったか」

「ちなみに…、通電させるとどうなる」

「肉体が細切れになろうが、土に還ろうが、粒子レベルに分解されようが、()()()()じゃ絶対に死なない」


分裂状態から何か別のが有るみたいだが、ソレにしないのは処理出来なくなる原因が出来るのか、移行条件が分からないのかの二択。移行条件が分からないのならこんな発言はしないから、恐らく何かしらの原因があるのだろう。


「分裂状態…、分裂した方は大丈夫なのか?」

「戦闘能力なんて微塵も無かった、らしい。人間部分と戦闘部分が別れたんだろうね」

「まぁ良いか、本部へ移――」


JOKERが足を掴んでくる。先程までの化け物じみた怪力ではなく、見た目相応の力だった。


「…何か言い遺したいならどうぞ。それくらいは聞いてやる」

「じゃ、…ぁね…」

「…、!?引き剥がして!」

「は?!」


足に火傷の様な感覚が走る。いや、足が火傷した。道連れにでもしようとしたのだろうか。


「…ッ、逃げるよ」

「まさか…」

「死にたくなかったら逃げろッ!!速く!」


まだ生きている者達が一斉に障壁前へ集まる。まだ気絶しているヘタレ野郎を背負い、障壁を一瞬解除し脱出する。


「復活したとしても向こうも相当疲弊している筈。直ぐには攻めて来ない」

「あの女を狙わない可能性は?」

「無い。…目的が無いと、生きていけない性格してるからね」

「…味方にも裏切られたからな」

「裏切ったのは向こう。私はその清算係なだけ」

「取り敢えず、お前はアイツの敵なんだな」

「そのつもりだね」

「じゃあ先ずは――」


手錠を青髪に填める。自己修復合金だから、どんな馬鹿力で壊されようが復元できる。その際、腕が千切れたらもう知らない。


「…何の冗談でしょうかね?」

「重要参考人だぞ?お前。大人しく連行されなさい」

「私達仲間だって言ったじゃん!仲間にもこんな事するの?!」

「するに決まってるだろ」

「こんなの爆破して直ぐ外してやる…!」

「それ酸か鍵でしか外れないから諦めろ」

「ロリコン!燃えるゴミ!永久童貞!グラサン!」


馬鹿みたいに喚き立てる声が、銃声で掻き消された。

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