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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第四章 予測不能のアンノウン
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認識不足

「へぇ…言うじゃない」


内面が凍り付いている様な笑いを見せる。その怒りに呼応しているのか、瞳がより一層輝き始め、鎖にヒビが入り始めた。


「水鳥。前から思ってたけれど、やっぱり気にいらないね」

「私としては、気にしないから問題無いがな」

「反逆者は即刻処刑だって、知ってるでしょ?」

「だから私が来てやったのだ」


JOKERの味方の素振りを見せない。かと言って、俺達の味方でも無い様な振る舞いをする。共通の敵を持って、かつ同士討ちを狙い合うと捉えるなら…。


「係長!頼んだ!」


特五の係長にENFORCERを投げる。女とは言え、少なくとも30kgは有るのに受け取れなんて、結構酷かも知れないがしかたが無い。しっかり受け取ってくれたから良しとしよう。


「武藤!パテル!ちょっと頼んだ!」


作戦理解に時間は必要ない。武藤は呼ばれただけで作戦を理解し、ボタンを押す。


「凛!間違っても逃げんなよ」

「そんな薄情な事するかボケ!」


本部から出た瞬間、透明な金属質で出来たドームが構成される。恐らくコレが、JOKERに対する対抗策。俺達の中で、対峙し戦闘したアイツだから考えついた秘策。


「係長さんは、その娘を持って逃げて下さい!出来るだけ地下が良い」

「我々に逃げろと言――」

「黙れ三下ッ!!今はテメェとなんて話してねぇんだよ!」

「…作戦内容は」

「アイツらが時間を稼ぎます。その内に全部隊を後退させ、どこでも良いから通電性が低い場所で迎え討ちます」

「捨てる覚悟は――」

「そんな覚悟は捨てて来ましたよ」


暫くの沈黙の後、係長は回線を開いた。


「…本部の地下訓練場に引き摺り込む。そうすれば上だって戦わざるをえんだろう」

「頼みました…!」

「二回忌がそろそろなんだ。行かないと怒られるぞ」

「…了解です」


特五を任せ、来た道を戻る。障壁を時間逸脱(擦り抜け)、不甲斐ない戦闘をしている武藤達の為、後ろから不意討ちを仕掛ける。


「生きてるよな、武藤」

「今ので死にそうなんだが」

「…、水鳥はどこだ!!」

「アレだ」


磔にされ、体に刃物が刺さり過ぎて原型が見えなくなっているが、血が流れている。頭数が減ったのは良いが、本当に死んでいるのか?いや、死んでいたとしても動くかも知れない。いずれにせよ、嫌な感じは残っている。


「そりゃ、アイツがまだ生きてるからか」


JOKERがパテルと戦っているのが見えた。右腕の鎖が完全に断ち切られ、眼は赤黒いと言うか、白みが射してきている。


「今加勢は止めておけ。アイツらが自分のペースに持っていければ、足止め所か捕縛すら出来る筈だ」


未来にならなくても判る。アイツらは勝てない。確かに俺一人より部隊の方が強いに決まっている。それでも勝てない。一度敗けた恐怖からなのか、()()()()()()()のか。


「そうか…、ッ!!パテル!散開しろ!」


明らかに判断が遅れての散開。ソレを見、逃げ遅れた者が掴まれる。JOKERはソレを不愉快そうに見ていた。


「凛!何で散開なんて、…!」


磔にされていた者の顔は、潰れていてよく見えなかった。だから見落としていたのだ。


その腕には紛れも無い、隊長布が巻かれていた。

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