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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第四章 予測不能のアンノウン
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証明不能

「凛!特五と特八が来るまで、リヴェルパテル両班で奴を止めろとの通達だ!」

「で、止める手立ては勿論有るんだろうな?」

「任せろ、前みたいに一瞬で全滅はねぇさ」


その会話の数秒後、異常に収束された稲妻が光の粒となって消し飛ぶと同時に、()()は姿を現した。

先程まで感じていた人間としての気配はとうに失われ、生き物かすら疑うような異様な恐怖が吹き荒れる。全身の肉が焼け落ちたのか、理科室の人体模型の様に、本来繋がっていられない筈の関節が繋がっている。


「骨…?」

「おい!特五来たぞ!」


そんな事今はどうでも良くなっていた。明らかに死んだ位置からの蘇生をした化け物が、自らの力で自滅するなんてあり得ない。あの骨は何か、どこかで見た記憶が…。


(―――からね…)


まだ生きている、いや元々()()()()()無いのか。動かない筈の骨は、出せる筈の無い咆哮を上げ、赤黒く染まった稲妻をその身に受けた。瞬きすら出来ない様な神々しい光と、視認すら拒絶しようとする理解能力を一度に浴びる。体の形が、断面が見える様に徐々に復元されていく。最早裸同然だが、欲情出来る程の余裕が誰も残らなかった。

人は死ぬ。そこから自力で蘇る事は不可能。だが、もし蘇ったとすれば、


即ちソレは神と成る。


「アレが…神…?」


満足そうな眼差しを向けて、化け物は子供の無邪気さを孕んだ殺害宣言を行った。


「MODE:Γ」


宣言と同時に、服が再生される。と同時に、鎖がJOKERを貫き、囚人の様に繋がれる。ソレを意に介さないかの如く、赤黒い彗星が襲いかかる。

悲鳴すら上がらない異常な速度。音速など比較にならないのに、誰も衝撃波の餌食が出ない。


「この眼が、この鎖が、私達Γ種の証。人殺しを行い()()()咎を受ける為の罰。貴方だって聞こえるでしょう?」

「な…何が」


「自分が殺した人の声」


自我が産まれた時から、声なんていくらでも聞こえていた。でもソレが普通だった。まだ誰も殺してない頃から、当たり前の様に聞こえてきた。だからそんな事はあり得ない。


「輪廻転生。仏教から派生して出来た思想。そう、ここは()()。輪廻の輪から外れ、自らの罪を贖う場所」


この場所が地獄である筈は無い。地獄で生まれたのならば、地獄しか知らない事になる。つまり、この場が地獄だなんて理解出来ない。あるかも知れない伝説上の場所としての認識しか無い筈なんだ。


「凛君、君は物分りが良い。だからこそ、信じたく無い気持ちも有るだろう」


不愉快な声が突然後ろから聞こえる。水鳥は、俺の拒絶心と何かを嘲笑うかの様に、神経を逆撫でし屈服させる様に言った。


「ここが地獄だと仮定しよう。しかし考えてみたまえ。こんな場所で、罪は洗われるのだろうか。人が生物最上位に存在している限り、罪は連鎖されるのは容易に想像できるだろう。全員が悪だとするならば、更に加速する」


JOKERが不服そうな顔を浮かべる。確かに言っている事は、見た事が無いからか筋が通っている。俺達が知る地獄は、人間が生物最低位として存在する。故に罰を与えられ、罪を無理矢理埋める事となる。


「イグジスト・オーディエンス、君の言う事は正しい部分も有る。足りない知識で自らを貶める行為は、見ていて楽しい事だ」

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