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Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第四章 予測不能のアンノウン
37/113

2035.2.01

「くッ!!足りないか!」


離れたと思ったが、ほぼ直線上でしか移動できていない。スピード的に、ここに来るまでおよそ2秒。出口がどこかは分からないが、近くは無い筈だ。近くに階段があるが、降りた所で変わらなそうだが…。


「不味いッ!!」


ギリギリの所で白刃取りをする。やった事は無かったが、今は命の危機だ。いつもより頭は冴えてきているのが怖いな。


「こんな小細工で逃げれると思う?ここの構造はライナーズより知ってるんだよ?」

「テメェこそ動きがトロいぜ?ッ、さっきよりも覇気が無くなってるじゃねぇか…」


腹へと蹴りを入れるが、受け流され逆に足を掴まれる。合気道か柔道か知らないが、足が全く動かない。逆に刃の方は抜こうと思えばいつでも抜ける様な感じだ。


「化け物かよテメェ…」

「その化け物と戦ってる貴方は…、さしずめ自殺志願者って所?」

「まだ死にたかねぇよ!」


無理な体勢で、残っている足を振り上げる。全体重が掴まれている腕に掛かり、少しだけ動く様になった。その事に気付いたが既に遅い。首裏につま先を入れ、遠心力で蹴り飛ばす。


「痛ッ…。ホント最悪」

「やってやるさ…。給料分はな」


周囲の電気を無理矢理集約する。スタンガン並みまで電力を上げられれば、まだ勝機…、いや逃亡確率が上がる。


「クソッタレ!全く足りねぇ!」

「手の内は読めたよ…。スタンガンみたいに気絶させて、逃げようとしてるんだよね?」

「だったら阻止してみろよ…!!」


本来動いてはいけない技だが、こうなったら本番で無理矢理適応させるしか無い。貯めた電気が徐々に放出され始め、充電量を上回りだす。

脳が少しずつ灼けていく感覚が走る。長時間の戦闘は不能と推測。ただ電力が下がるにつれて、身体能力が上昇する。恐らく筋肉に対して電圧を何かして高くなっているかも。


「ぁッ!くぅ…」


右眼の視力が低下すると同時に、切れる感覚と焦げたニオイがする。視神経に流れ始めたと思う。

人の苦痛を感じ取る力でも持っているのだろうか。一気に距離を詰め、蹴りを入れに来る。僅かな体力を振り絞り、受け流しながら掴む。大気から取り込めないのなら、後残る手段は一つしか無い。


「はぁあああ!!」

「ぁう…」


相手の体内電気を一時的に全吸収する。こうなれば暫くは動かない。それ所か死ぬ可能性の方が高いか。


「カエサルの物はカエサルに、貰った物は返してやるよ…」


奪った力を一点に集める。フルパワーには程遠いが、気絶時間を延ばすには十分だ。


「スタンブラス――」


突然、目の前で放電が起こる。奇跡と言うべきか、絶望と言うべきか。目の前でJOKERが跳ねる。まるで自力でAEDの真似事をしたかの様に。意識など、とうに失われている筈なのに。

空気中に電気が走るのが見える。先程の放電とは比べ物にならなそうなのが目に見える。


「逃げれるか…!」


気休めでも何でも良いから逃げるしか無い。階段を降り、そこから部隊を探し合流、又はそのまま出口から逃亡。考えている暇なんてない。とにかく離れなければ…。


「よし、間に合――」


背後で目が潰れるのに十分過ぎる程の閃光と爆発に近くとも遠からぬ爆音が鳴り響く。物体では無いから、衝撃波なんて発生しない筈なのに、吹き飛ばされる。


「がッ、あぁ!!」


床が抜けたと思った瞬間、足が巻き込まれ始める。背景がゆっくりと移動し始め、左右から床が波の様に押し寄せてくる。

かつて階段だった場所は、瓦礫と埃にまみれたゴミと化した。


()()()…、また無茶したのか」

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