表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Slave Of The One-Eyes  作者: 軍団長マッスル
第三章 正体不明のNumbers
33/113

紅雪の処女

「…これはお前がやったのか?」


辺りをゆっくりと見回しながら、静かに問い掛ける。何かの間違いが起こって欲しかった。


「私はただ、ここに居ただけ。殺したのは私じゃないなぁ」

「…そうか」


そしてその間違いは起こった。犯罪に手を染めていたとしても、まだ助けられると思っている。でも、事件がある時、そこに必ず加害者は居るのだ。


「…誰が殺った」

「ふふっ、ENFORCERだよ」

「ッ…」

「私を誰かと勘違いでもしたんだろうねぇ。『ジャックちゃん』って頻りに叫んでたっけ?」


耳に残る様な高笑いを聞きながら、脳内の情報を整理しようとする。だが、いくら整理しても一瞬で砕けてしまう。


「テメェ…本当に武藤を殺ったのか」

「間違い無く、ね♪」

「…そうかそうか。全く笑える話だよな」

「?」


そう、ここに居る二人。そしてENFORCERも勘違いをしている。それに気付く感覚は、ジグソーパズル完成の比ではない。


「武藤辰吉は生きている」

「…え?」

「聞こえなかったか女。武藤辰吉は生きている、と言ったんだ」

「…嘘だ。だってこの手で――」

「武藤によれば、テメェはトドメの瞬間に逃げたって、言ってたぜ?…どうした?気分でも悪いか」


頭を抑えながら呻き始める。そりゃそうだ。自分の中での誇りと真実を、俺と言う他人に踏み荒らされ、穢され、偽り(真実)にすり替えられたんだ。だからと言って、俺が()()に対して優しくする様な徳は持ち合わせようとはしない。


「やっぱり違ったな。お前はジャック・ヘレネスじゃない。ただの俺の勘違いだったんだ…」

「ジャック…ヘレネス?」

「なぁ?CODENAME(イグジスト):()JOKER(オーディエンス)


そう、全て俺の勘違いだ。ジャックなら、身長が5cmくらい低い。あとBカップだ。隻眼だって、マグレじゃないか。そう、容姿が似てるだけの他人。偶然似てるだけなんだ。…絶対にそうだ。


「そういや、1ヶ月前にオーディエンス家の事件があったな。行方不明イグジスト・オーディエンス。お前だろ」

「…じゃあ私からも、同じモノをやろうか」

「その必要は無いです」

「「!?」」


天井を突き破って姿を現したのは、ENFORCERだった。先までの様な落ち着いた雰囲気は消え、傷だらけの体で目の前に対峙する。


「よう、貧乳野郎。どうした、モテなくて売春でもしたのか?」

「あら、永久童貞。自分こそ、モテなくて強姦でもしました?」


やはりコイツは嫌いだ。人を苛つかせる事しか言わない。こんな非常事態じゃ無けりゃ殴りかかってたかもな。…流石にしないか。


「まぁ良いや。二人揃って絶望すれば良い」

「その無駄口を叩けるならね」

「2対1でも、卑怯とか言うなよ?」


2人を前にして、酷く落ち着いている。まるで自分が、勝利するのを判っていた様に。絶対に勝利できると確信している様に。


「後で後悔するが良いさ」


そう言い放ち、カッターナイフで左腕を切った。表面の肉にほんのちょっと触れるくらいに。血が線となって流れ出るくらいに。


「その程度で、俺が絶望?はっ、嘲笑わせるぜ」

「意味が分からないのかなぁ?コレをした意味が。まぁいずれ嫌と言う程思い知るさ。ねぇ、ENFORCER」

「……今ここで殺せば問題なさそうな事は分かりました」

「貴女も約束だよね。絶望させるって。分かってるんだよ?私は」


不敵な笑みを浮かべ、揚げ足をとる子供の様に言った。


「紅雪の処女」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ