読心
「えっと…、この角を右だっけな?」
言わんこっちゃない。家から出て数分で道に迷った。自分の家の周りくらい知ってると思われるが、勿論知っている。だが、そう言うのも全て考慮しての方向音痴だ。しかも、追い打ちとして吹雪く前触れがもう来てしまった。
「くっそ…、周り見えんと何も分かんねぇな」
この雪の多さを見て、出たいと思うのは単なるバカとしか言い様が無いが、それでも出なきゃいけない人間もちらほら見える。
「あ、協会の本部だ…」
丁度良いから匿ってもらお…、なんて思う事は無かった。協会の人間と、軍部の人間の関係は、まるで水と油の様な物だ。俺は別に軍部でも無ければ協会でも無い、単なる警察組織の人間だ。だから敵対もしないし、協力もしない。
しかし、協会の人間もイカれてる事に、大体最後に『神の仰せのままに』とか言うから好きじゃない。神様が居るんだったら、先ず今の俺を助けてくれ。
「あら、無様な格好を晒して何をしているのですか?」
「…大体声で分かるぞ、この異常ファッション野郎」
「何を言っても惨めにしか見えませんがね」
「五月蠅いやい」
そうだ、コイツなら方向音痴じゃ無さそうだし、家に帰れそうだ。最悪家じゃなくても吹雪から逃げられりゃいいや。
「お前はどこ行くんだ?」
「少し用事です。夕源の丘に待ち合わせの人が居るんです」
「俺も連れてってくんないかなぁ…?」
「…はぁ、着いてくるだけですよ?」
コレで少しはマシになりそうな予感がする。ホント誰だよ、こんな時に外出ようっ言ったの。
「言っときますが、そんな楽しい物じゃ無いですよ」
「良いよ良いよ、取り敢えずこの寒さから逃げれりゃ良いから」
「…人の苦労も考えた方が良いですよ?」
「嫌だね、俺は俺の利益と気分で動く」
そういや雪の中だと見分けづらいな、コイツ。見える部分がスカートと頭の何か赤いやつしか見えない。
「…そう言う所しか見ないんですか」
「いやいや、俺ロリコンだから興味ない」
「ふっ…、嘘の癖に」
何か嫌だな、心読まれんの。何かそんな能力持ってんじゃねぇの?
「持ってませんよ、私」
「あー!ほらまた読みやがった!絶対持ってんだろテメェ!」
「絶対持ってないですー!」
クソ…、この高圧的異常ファッション貧乳野郎め…。次読んだら絶対貶してやるからな。
「…あり?」
「どうしたんです?」
「ああ…、いや、何でも無いですー…」
「絶対何か考えましたよね」
「え?ああ…、高圧的異常ファッション貧乳野郎ってi」
思いっ切り振り抜いたアッパーで、体が吹っ飛ぶ。自己申告通り、心を読む力は無いみたいです。




